ひたすら受験問題を解説していくブログ
東京大学2018年前期化学第3問
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解説

いずれも基本問題ですが,エオあたりから少し差がつくのでしょうか。計算はしたくないのですが仕様がないですね。

I
ア 5.0×10-2mol/L
要するに2Lに0.09×2molのHClと、0.20×10Lの分のアンモニアが溶けています。これは、
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となり,0.10mol塩酸過剰です。2.0Lなので,5.0×10-2mol/L
注)生徒に教えてもらったんですが1/8.3≒0.12048なので,1/8.31≒0.12034なのでそっちの方が計算楽なんですね

イ 5.6×10-10
KaKb=Kwは覚えておきたいところ(加水分解のKhもKaかKbのどちらかと捉えておくと話が早い)。
よって,Ka=Kw/Kb=10-14/(1.8×10-5)≒5.56×10-10

ウ 7.1×10-10
40分はアの4倍なので,0.0800×4=0.320molとなり塩酸0.18molより大きく、塩化アンモニウム0.18molとアンモニア0.14molになります。つまり緩衝液なので,さっき求めたKaかKbに入れます。この際には体積は打ち消されるのでそのままでいいです。よって,
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エ 4
pHは初め≒1,10分≒1ちょっと,40分≒9ちょっとです。また,塩酸が完全中和されるところはアの値から20分ちょっとです。
以上を踏まえると,3か4に絞れています。

加える水酸化ナトリウムは塩化アンモニウムと反応するので,中和点までは初めにあった塩酸の量と同じなので,0.18÷(1.0×10m)=18分です。
よって,4です。

(というか塩酸とアンモニアの中和点は酸性よりで,その後は緩衝液に強塩基入れた反応=中和点はアンモニアのpHなのでそれだけでもわかります)

オ 1.2
80分時点では水酸化ナトリウムが過剰なので,塩化アンモニウムを加えるとそれが水酸化ナトリウムと反応します。求めたい状態のpHは9と結構中性よりなので,塩化アンモニウム過剰で緩衝液になっていると考えられます(アンモニア自体がもうちょい塩基性なので)。
よって,加えた後のアンモニアは溶かしたアンモニアと,余っていた水酸化ナトリウム=水酸化ナトリウム-塩酸,との和です(余っていたアンモニアと水酸化ナトリウムの和といってもいいです。下図参照)。
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0.320+1.0×10m×40-0.18=0.44
よって,pHが9になることから,加えた塩化アンモニウムをxとすると
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II

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気体の時はほとんど理想気体と同じと見なしていいでしょう(そこに焦点を当てている問題ではないので。同じ物質でも圧力によって理想気体より体積が大きくなるか小さくなるかが変わることは圧縮率因子Zを縦軸,横軸にPをとったグラフなどで見慣れているでしょう)。一般に気体から液体はかなり体積が減り,液体から固体は少し体積が減る感じです。同じ相内では少し左下がりな感じです。

キ CH4+H2O→CO+3H2
ただの係数合わせ。


高圧にすると,ルシャトリエの原理より気体分子数が減る方向に平衡が移動するため,平行が右に偏る。また,高圧の方が,分子の衝突が起こりやすく反応速度も速くなるから。

平衡反応なのでルシャトリエです。工業的な製法なので,速度にも触れておきたいです。

ケ 一酸化炭素:0.32mol メタノール:1.24mol
反応した水素は2.72-0.24=2.48なので,生成したメタノールは半分の1.24mol。また,反応したCOも同じ量なので,1.56-1.24=0.32mol

コ 92kJ/molの発熱反応
全部燃やせそうなのですべて燃やしてしまいます。その際にCOはCO2を経由し,CH3OH(気)はCH3OH(液)を経由することに注意します。求めたい熱量をQとすると,
-110+394+286×2=38+726+Q
よって,Q=92


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東京大学2018年前期化学第2問
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解説


発展事項は皆無なので,満点狙いで行きたいです。


Ca(OH)2+CO2→CaCO3+H2O
CaCO3→CaO+CO2

関連する事項として,CO2をCa(OH)2水溶液にさらに吹き込むと,pHが上がってCO32-濃度が下がり,CaCO3はCa(HCO3)2になって溶けます。
また,アルカリ土類のCaCO3は酸化物になりますが,炭酸アルカリであるNa2CO3は分解しないことも必須事項です。

イ 0.48nm
イオン結晶中の陽イオンと陰イオンは接しているので,a=2(r+r)であり,rのみ変化します。差の二倍なので,0.42+(0.114-0.086)×2=0.476≒0.48

ウ MgO
理由:結晶の構造が同じで価数も同じなので,イオン間の距離が近いMgOが最もマーデルング(クーロン)エネルギーが大きくなるから。

クーロン力で考えます。つまり価数が大きくて近いと強いです。高校範囲において,結晶中では完全なイオンではなく中途半端な価数であることは,たまにしか考えないので(融点が塩化ナトリウム>塩化リチウムだったり,理論値とボルンハーバーサイクルによる実測値で格子エネルギーに差ができます),単純に比較していきます。

イによると価数と構造は同じなので,距離のみを考えると陽イオン半径が一番小さいMgOになります。

更に結晶構造が違う場合には,結晶を構成しているすべての粒子間のクーロンエネルギーの総和を考えるので,結晶格子の種類で決まるマーデルング定数も考慮の対象になります。


Al 1mol当たりの体積で考えます。
Al:24.0/2.70=10.0
Al2O3=(27+16×3/2)/3.99≒12.8
よって,12.8/10.0=1.28≒1.3


AlとH2のイオン化傾向の差が大きく,水の存在下では水のHが電子を受け取り,Al3+は還元されないから。


Al2O3・3H2O+2NaOH→2Na[Al(OH)4]
錯イオンの形を覚えます。

キ 下図右2つ
6配位の正八面体構造はすべての配位位置が同じ扱いです。そのうち一個をOHにしたもの(左)では,OHの対頂点とそれ以外に分類できるのでその二通りが考えられます。
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なお,nが増える反応は平衡なので普通の多塩基酸と同じようにH+濃度によって平衡が移動していきます。これは銅のアンミン錯体とかでも同じです。


C+O2-→CO+2e-
C+2O2-→CO2+4e-

ケ 1.76×102 kg
Cを2価と4価のそれぞれのみとしてとらえれば,Alは
72/12×2/3×27=108
108×2=216
となり,実際との差の逆比で割合を出せばいいので,
2価:4価=216-180:180-108=1:2
よって,C72kgの内の2/3がCO2になったので72×2/3×44/12=176kg

酸化物イオンから電子を奪いますが,実質的にはCから奪う形になります。

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東京大学2018年前期化学第1問
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解説


ただのアミノ酸の同定問題です。教科書に書いてある反応をしっかりと押さえておきましょう。

ア 2C2H5OH+2Na→2C2H5ONa+H2
アルコール性ヒドロキシ基は金属ナトリウムと反応して水素を放出します。

イ 1,6
酢酸鉛はナトリウム融解によって出てくるS2-と反応してPbS(黒色)を生じます。つまり,Sを含むアミノ酸=システインとメチオニンが検出できます。

ウ 4
塩化鉄(III)はフェノール性ヒドロキシ基の検出です。つまり,チロシン。色がつくのは鉄イオンに対してフェノキシドイオンが配位し,その色ですね。配位するためにはOの電子密度がある程度ないとダメなので,ピクリン酸はダメみたいですね。

エ a:ジスルフィド b:還元
実験5の過酸化水素は酸化剤ってことです。つまり,還元性をもつ-SH基を酸化して-S-S- にします。酸化されたものなので,元に戻すのは還元です。これはパーマの仕組みですね(還元して,固定して,酸化)。

オ A:3 B:2
Aは実験2と実験5からシステイン,実験3と実験4からフェニルアラニンを持つことが分かります。
(実験3はキサントプロテイン反応と言われ,ベンゼン環に対してNO2をつけるのでチロシン,フェニルアラニン,トリプトファンの検出です。反応性も考慮すると本当はチロシンの検出反応ですね。黄色になった後に塩基性にすると,フェノールが電離して黄橙色になります。この反応はタンパク質も検出できますが,一部のタンパク質では芳香族アミノ酸は少ないので反応しないです(ゼラチンやコラーゲン))

よって,Aは光学異性体を持つ異なる2種類のアミノ酸からなるので,22=4。A自身を引いて3(こんな罠やめてくれ)

Bは実験3と実験4からチロシンを持ち,実験1からチロシンのみです。分子内に対称面を持つので,その分相殺してやると3,B自身を引いて2


Bの加水分解産物なので,チロシンです。これに臭素水ですが,臭素水と言ったら多重結合の付加とベンゼン環への置換です(オルトパラ配向性になる電子供与基が特に)。チロシンのフェノール基はベンゼン環に直接ついている元素Oに非共有電子対があるので,オルトとパラ位の電子密度が上がるためそこにBrがついていきますが,パラは既に埋まっています。よって,
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実験7より,66.0/44=3/2 mmolのC,24.3/9=2.7 mmolのHよって5:9

ク 6,7
Cは実験2よりシステインかメチオニン(1,6),また,その他の実験から4,5は消えます。
(i)システインだった場合
システインは3Cです。Cの数は5の倍数なので,他のアミノ酸の候補はCが2,7,12です。アミノ酸の定常部分で2なので0,5,7の側鎖を考えます。
一個も該当しないので不適

(ii)メチオニンだった場合
4C同様に側鎖のアミノ酸は3,5です。よって7が該当します。

ここらかは必要ありませんが一応Hの数を数えると(不飽和度で行くといい),10Cと2Nで不飽和3なので,2×10+1×2+2-2×3=18でOKです。

ケ 3,8
理由:側鎖にカルボキシ基とアミノ基の両方を等量含むため,中性条件では双性イオンとして電気的に中性な状態で存在するから。

実験2から4までで,1,4,5,6が除かれるので,2,3,7,8が候補でこのうちの異なる二つです(実験1)。
さて,無水酢酸と反応するので,遊離アミノ基かヒドロキシ基を持っています。つまり2か8。
Fはこのヒドロキシ基かアミノ基を潰した結果,もともと中性化合物であったDが陰性の酸性化合物(つまりCOOH過剰)になったようなので,もともと中性ならばカルボキシ基とアミノ基を持っていたことになります。
つまり,3,8


3,8で8のアミノ基がアセチル化されています。
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東京大学2018年前期化学
もうめんどくさいからいいかなって思ってましたが,お怒りの「更新しろバカ」ってコメントを頂いたので。
化学は前に物理の解説で言ったようにかなり難易度が低くなっています。噂によると配点が15,15,30(15,15)の様ですね。
また,有機が一番初めに来ていることも特徴でしょうか。

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東京大学2018年前期物理第3問
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解説

他二つよりレベルは若干落ちる感じでしょうか。
I
液体の圧力を簡易的に高さで表すと,ACの比較からp0=5hなので,ABの比較からp1=3hです。よって,

p1=3p0/5

II
(1)
Cの圧力は一定です。また,Bから排除された液体が何所に行くかを考える際にAかCです。しかし,Aの上が真空であることを考慮するとAC間の液面差は常に5hでなければなりません。よって,ともにx/2ずつ上昇します。

(2)
Vの方はそのままですね。高さの比です。
x/4h

pの方はBC間の液面差で考えます。液面はBがx減ってcがx/2増えています。ここでp1=3hから

Δp={5h-(2h-3x/2)}-3h=3x/2
よって,x/2h

(3)
W=pΔV≒p1Sx=3p0Sx/5

(4)
Bの高さxの液柱を鉛直面で2分割します(別に水平面で切ってもいいです)これらの重心は高さ2hを0の基準にとると-x/2です。これをAでは3h+3x/4だけあげていて,Cでは2h-3x/4だけ下げています。移動した液中の重さをそれぞれmだとすると
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ここで,mが液柱x/2分であり,液柱5hがp0なので,
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なお,液体の密度をρとか置いて解いてももちろんいいです。

(5)
等しくない
容器Cにおいて水面をあげる際に大気圧に対して仕事をするから。

差をとると,(3)の方がp0Sx/2大きいです。これはちょうどp0Sでx/2だけ押しのけるのに必要な仕事ですね。

III
(1)
IIで触れたようにAがh上がるならx=2hです。よって,II(1)よりΔV=1/2よって3/2倍、Δp=1よって2倍です。Tは状態方程式的にこれらをかけた物なので3倍です。

(2)
第一法則で考えます。
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