ひたすら受験問題を解説していくブログ
慶應大学理工学部2016年化学第3問
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解説

スだけが考察問題で(2)の前半は普通の構造決定,(1)に至ってはただの知識問題です。

(1)
ア:アセチレン
3C+CaO→CaC2+CO
ですけど別に知らなくていいです。”カルシウムと炭素のみ”で決定してOKです。

Ca2+(C≡C)2-なので,水のH+とOHがそれぞれに反対符号についてアセチレンとCa(OH)2を生じます。

イ:
電子の塊である不飽和結合に+がついて,それと反対に-が付きます。酢酸はCH3COOとH+なので,それらが別々の炭素につきます。
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ウ:酢酸エチル
付加後は飽和になっており,エタノールと酢酸のエステルになります。

エ:エタノール

オ:吸水
けん化すると酢酸エチルだった部分はOH基に,アクリル酸メチルだったものはCOONaになります。OHは水素結合で親水に,COONaは電離してNa+aqになるため,浸透圧で水を吸引します。また,COOは天気的な反発で立体構造を広げ,水が入るスペースを確保します。
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カ:共
共重合はポリエチレンテレフタラートのように反応比や順序が決まっていません。

(2)
キ:Al
過剰な水酸化ナトリウムで溶解するのは両性元素で,最低限Al,Zn,Pb,Snは覚えてください。

ク:
分子式を見たらまず不飽和度チェックです。(20-8)/2=6であり,ベンゼン環に4使われるので,実質2です。次に塩化鉄(III)との反応より,フェノール性ヒドロキシ基を持つので,残りはO2つ,C3つです。2置換である以上,これらの並びだけ考えればOKです。
二酸化炭素で遊離しないので,COOHを持っていることがわかり,残りの不飽和度は1でC2つです。この段階で構造は以下の2種類です(シストランスを除く)。
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さて,更にオゾン分解(二重結合で切れてそこにOが二重結合で付きます)後に芳香族化合物Dが二酸化炭素で弱酸遊離したので,こちらにはCOOHがないことがわかり,先ほどの右がAです。したがって,クの答えDは,
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ケ:
さっきの右側に水素を付加させるので,
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コ:α-ガラクトース
グルコースのβが各炭素の最も大きい基が6の炭素から上下交互にと覚えましょう。αは1が逆,4が逆だとガラクトースも覚えましょう。

サ:グリコシド
1の炭素はヘミアセタールな炭素で,そこのOHが別のOHと脱水する結合をグリコシド結合といいます。

シ:
αなIといいつつβなのかよって突っ込み待ちなんでしょうか。一見エーテルっぽくつけるだけですが,βなので1位の炭素のOHは上です。
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ス:7
付き得る部分が以下のa~eです(フェノール樹脂の時と同じ感じでベンゼン環がホルムアルデヒドのC=Oに付加します)。
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7についた場合,aのみ付かなくなるので4か所,8の時b,cがダメで3か所,9または10の時は影響なしで5か所です。したがって7が答えです。


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慶應大学理工学部2016年化学第2問
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解説


反応速度の(1)エが若干発展でそれ以外は普通です。(2)の電気分解は溶質がなくなるケースなので,解いたことなければハマるかもしれません(私の印象だと慶應自身がニッカド電池でこういうのにハマってなかったでしたっけ?)。

(1)
ア:NH3
オストワルト法は硝酸合成で白金触媒,ハーバー法はアンモニア合成で鉄触媒,接触法は硫酸合成で酸化バナジウム(V)とはっきり整理しておきたいです。

イ:NO
NH3→NO→NO2→HNO3の流れは押さえておきましょう。

ウ:P4O10
リンの酸化物で脱水剤といえばこれです。
P4O10 + 12HNO3⇔4H3PO4 + 6N2O5

エ:k[N2O5
化学反応速度の次数は必ずしも係数に一致しませんが,反応が素反応の場合には係数が次数になります(第1段階は自発的分解なので次数は1)。複数の素反応からなる反応は一番遅い素反応(律速段階という)で決まります(流れ作業を考えるとわかりやすいです)。なお,各素反応は次の通りです。
N2O5⇔NO2+NO3
NO2+NO3→NO2+O2+NO
NO+NO3→2NO2

オ:2.40×10-4
濃度変化を時間で割ります。
(0.144-0.0960)/200=2.40×10-4
でもこれ,引き算の時点で有効数字2桁じゃないですか。0.144の後は不明なんで。

カ:2.00×10-3
平均濃度とさっき求めた速度を反応速度式に入れます。
2.40×10-4=k×0.120⇔k=2.00×10-3

キ:
これも速度式にぶち込みます。
1.60×10-4=2.00×10-3・(0.0960+x)/2⇔x=6.40-2

(2)
並列は全体の電気量が分かれてそれぞれの電解槽に行きます。

ク:1.27×10-1
陽極ではO2が発生し(Ptでハロゲン化物イオン無し),陰極ではCuが析出するので,必要な電子は4:2,発生molは逆比になるので,2:1です。22.4mL発生しているので1mmolです。したがって,Cuは2mmolで63.5×2m=127mgです。

ケ:89.6
電解槽2側の流れた電子を全体から電解槽1分引いて求めます。全体は
1158×1.00/96500=12.00mmol
したがって,電解槽2には電解槽1に4.00mmol流れているので,
12.00-4.00=8.00mmol
流れており,陰極ではH2が発生するので,電子の半分です。よって,4.00mmol発生し,
4.00×22.4=89.6mL

コ:11.2
電解槽1に流れた量を全体引く電解槽2で求めます。全体は,
1737×1.00/96500=18.00mmol
電解槽2はNaOHの記述より,電子と当モルであることに着目し,
0.480/40=12.00mmol
となり,
18.00-12.00=6.00mmol
の電子が電解槽1に流れたことになります。陰極ではCuが2.5mmolの析出し,その後の残った1.00mmolの電子でH2が発生するので,
22.4×1/2=11.2mL

サ:1.3
Cuがなくなって以降はただの水の電解なのでpHは変化しません。したがって5mmol分だけ考えると,電子1molにつき,H+が1mol増えるので,
[H+]=5.0×10-3/0.1
⇔pH=-log[H+]=2-0.699=1.301≒1.3


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慶應大学理工学部2016年化学第1問
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解説

基礎的な用語確認と計算問題の集合体です。平衡を見たらとりあえずぶち込んでみるという精神は重要ですね。

(1)
ア:赤外
熱を伝えるのは赤外線です。

イ:ヘンリー
水の量と分圧に比例し,別表現では溶かしている分圧で測定すれば圧力に関係なく体積は一定です。

ウ:39.2
水量は1Lなので分圧に比例します。したがって分圧をxとすると,
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エ:1.69×10-2
電離度をαとして電離定数にぶち込みます。その際には問題文の注意書きをよく読んで,炭酸水素イオンの電離は無視しましょう。また,下が1-αになるので近似したくなりますが,αがそこそこ大きくなるので近似せずに解いてください(試しに近似して解いた答えが0.01より大きいので)。
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(2)
オ:NH4NO3(s)+aq=NH4NO3aq-25.7kJ
この元素構成で塩といわれている段階で硝酸アンモニウムでしょう。ちゃんと求めると,
H:N:O=5:35/14:60/16=4:2:3
したがって,NO3分を引いて考えれば,NH4NO3だとわかります。式量は80なので,1mol当たりの吸収熱量は
5.14×80/16=25.7
となります。したがって,
NH4NO3(s)+aq=NH4NO3aq-25.7kJ

カ:7.04×102
水の量をxとすると,水溶液がx+16になることに注意して吸収熱量と温度変化の等式を作ります。
5140=1.70×4.20×(x+16)⇔x≒703.8≒7.04×102

キ:-1.05
質量モル濃度に比例するのですが,質量モル濃度の分母が溶媒であることと,粒のモルできまるため,電解質は電離後のモルで考えることに注意して立式します。
1.85×2×0.2/0.7038≒1.051≒1.05
水の凝固点は0℃なので,-1.05℃

(3)
ク:MgO
熱水と反応でMgが確定です。Beはもう少し反応性がないです。融点はMgが2族の底になっていますが,そんなの知らないはずです(単純な予測だとCaより高くなりそうですが,結晶構造が違うからでしょう(自信なし))。

ケ:3.61
いつもの密度の式です。結晶中にMgOが4個あるので(単位で消してもこれ系の問題は解けますね),
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コ:8.75×10-2
格子の一辺で陰イオン2つと陽イオンが接しており,陽イオンより陰イオンの方が大きいので(一般的そうですし,今回の場合は同一の電子配置になるので,原子核に強く引かれるMgの方が小さい),
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サ:15.1
4つの陽イオンが入っているので,
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慶應大学理工学部2016年化学解説
慶應大学理工学部2016年化学の解説です。第3問の(2)ス以外は知識に偏っている問題です。計算問題とかもありますが標準的なので普通の問題集をやっていればいいでしょう。本年の数学をまだ見てないですけど,数学は偏差値の割に例年難易度が高めなので,化学はしっかりと点を取りたいです。

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慶應大学医学部2015年化学第3問
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解説

全体的に別段難しくないですが,最後の問題が選択肢でなければ難しめです。
3.の構造式がそもそもOの数違ったりエステルになっていなかったり間違っていたようですので直しておきました。

1.
与えられている二酸化炭素と水からC及びHのmolと重さを出します。

C
30.8/44=0.7 mmol
0.7×12=8.4 mg

H
6.3/18×2=0.7 mmol
0.7 mg

したがって,酸素分を引いて求めてやれば,
11.9-8.4-0.7=2.8 mg
2.8/16=7/40

比を求めると,C:H:O=0.7:0.7:7/40=4:4:1となるので,組成式はC4H4Oです。

2.
C4H4O=68だが,エステルなのでOは少なくとも2つ必要。2倍で126となり,3倍以上だと密度が空気の5倍以上になってしまうので,C8H8O2となる。

3.
不飽和度を計算すると(8×2+2-8)÷2=5であり,ベンゼン環で4,エステル結合で1使っており,他は飽和です。したがって,炭素の割り振りだけ考えればOKです。元がカルボン酸,アルコール(フェノール)の順で考えられるのは,ベンゼン環に注意して,
7,1
1,7
2,6
の3通りです。オルトパラなども考えて構造式にすると,以下の6通りになります。
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4.
(1)
還元性を示す酸がBなのでというか,酸という情報が無くてもアルコールかエステルで還元性を示すものを考えれば,酸側のギ酸かアルコール側のビニルアルコール系しかありません。飽和度よりBがギ酸確定です。また,Cが塩化鉄(III)の反応よりフェノールではなくアルコールなので,上図の円で囲ったものになります。

(2)示性式:C6H5COOH 化合物名:安息香酸
ベンゼン環についた炭素はCOOHになります(一番目のCにHがあればですが)。

(3)179
カルボキシ基同士の水素結合で二量体を形成しているから。

温度変化=モル凝固点降下×質量モル濃度です。
5.53-5.32=0.21=5.12×0.735/M÷0.1⇔M=512×7.35/21≒179.2≒179

次のような感じで二量体になっています。
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(4)ア
2D⇔D2のような平衡になっているので,Dの濃度を高くした場合に会合度がどうなるかを考慮してやる必要があります。Dの初濃度をC,会合度を2αとすると,
D:C(1-2α)
D2:Cα
となります。平衡定数をKとすると,
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最後の右辺は分子がαに関して単調増加,分母が単調減少なので,結局αに関して単調増加です。つまり,左辺のCを大きくすればαも大きくなることになります。したがって,会合度2αは大きくなるので,見かけの分子量も大きくなります。

【参考】ルシャトリエがだめな理由
ルシャトリエより右に行くと考えるのは軽率です(○本に書いてあるみたいですね)。ルシャトリエで保証しているのは割合の話ではなく,総量が増えるというだけです。例えば酸の電離の場合,濃度が濃くなると電離度は下がります(本問の解説でいうと,K/Cが左辺になる感じです)。これは結局のところ反応式の係数が左辺と右辺でどちらが大きいか,つまり分母分子のどちらにCが残るのかに依存するものなので,その点に触れないと理由を聞かれていたらアウトです。


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