ひたすら受験問題を解説していくブログ
京都大学2014年化学第4問b
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解説


一見新しい化合物(生物選択の人はあの有名なミエリンがセレブロシドの一種です)が出てきますが,ただのアミド結合とグリコシド結合として処理するだけの問題です。東大もそうですが,わけの分からない化合物が来ようが,知っている部分が何であるか,類似構造を持つものは何かに注目して解けば解けるようにできています(もしかしたら私大の重箱はそれで解けないものもあるかもしれませんが,国立大,特に旧帝ならほぼ確実に解けるでしょう)。

問題文を整理すると,ガラクトース-(グリコシド)-スフィンゴシン-(アミド)-脂肪酸です。

酵素反応1:
アミド結合を切ると,ガラクトース-(グリコシド)-スフィンゴシンと脂肪酸になります。N1は糖構造がないので,T1がガラクトース-(グリコシド)-スフィンゴシンで,N1が脂肪酸です。

酵素反応2:
ガラクトース-(グリコシド)-スフィンゴシンのグリコシド結合を切ると,ガラクトースとスフィンゴシンになります。N2が糖構造を持たないので,T2がガラクトースで,N2がスフィンゴシンです。

問3
ガラクトース-(グリコシド)-スフィンゴシンであり,スフィンゴシンの第一級アルコール部分にガラクトースの1位(ヘミアセタール部分)がつくので,
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問4 あ:T2 い:T1,N2 う:T1,T2,N2
(あ)
糖の環状構造が切れてアルデヒドを持つ鎖状構造になることが要件なので,アセタール部分(1位のC)のOHがグリコシド結合で封じられていないものを選びます。そもそも糖があるのはT1,T2であり,グリコシド結合で封じられていないのはT2です。

(い)
塩酸と塩を作るので塩基性,つまりアミノ基を持っているものです。アミド結合で封じられていないものはT1,N2です。
なお,アミド結合のNHは,となりのCOとの電子的なやりとり(共鳴)の兼ね合いで,割とHが離れやすいNになっているため中性です。

(う)
原料で見ると,スフィンゴシンは不斉炭素を二つ持ち,ガラクトースは5つ持ち,ステアリン酸は持っていません。しかも結合したところで,これらの不斉炭素はなくならないので(同じ基になるような結合はありません),N1のステアリン酸以外です。

【参考】
スフィンゴシンと脂肪酸がアミド結合をしたものをセラミドと呼び(化粧品に入っているあれです。意味あるんですかね?),セラミドの第一級アルコールと単糖がグリコシド結合したものをセレブロシドといいます。単糖としてはグルコースとガラクトースが見られ,それぞれグルコセレブロシド,ガラクトセレブロシドと呼ばれています。神経系でおもに見られるのはガラクトセレブロシドで,その他の組織にはグルコセレブロシドが多く分布しています。欠かせないものではありますが,分解酵素の欠如などで溜まりすぎると病気になります。

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京都大学2014年化学第4問a
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解説


アミノ酸の決定法をしっかり抑えられているかが問われる問題ですが,テーマとしてグルタチオンはちょくちょく見かけるものなので,問題を解かずになんとなく分かってしまった人もいるかも知れません。

私が考えた順に書いていきます。一応上から読んでいっているので飛ばされているものは流し読みしている感じです。

(iv)より,等電点が3付近なので,A1はCOOHを余分に一つ持っているグルタミン酸かアスパラギン酸だとわかります(実際はグルタミン酸の方ですが,そこまで細かく覚えていても仕方ないでしょう)。等電点6が中性,10が塩基性も重要ですので押さえておきましょう。

(vi)より,問答無用でグリシンです。

(vii)より,チオールが含むのでBの元となるA2はシステインです。
ただ,システインなんて覚えていないので,(v)より,(ii)のBの分子量から逆算してA2の分子量を求めます。結合はエステル,アミド,酸無水物が考えられますが,反応のしやすさはアミドが一番なので,A=B-CH3CO+H=163-43+1=121です。
A2のRを求めるには,アミノ酸の共通部分を引いてやります。R=A-NH2CHCOOH=121-74=47となります。ここからSHを抜くと47-33=14となり,メチレンCH2があることが分かります。

最後にCの数から,A1は10-3-2=5とわかります。別に名称は聞かれていませんがメチレンを2つRに含むグルタミン酸になります(Cだけでは不安ならHの数もカウントしてみるといいと思います)。

問1 あ:A2,B い:なし
(あ)は硫黄,正確には端にある硫黄を硫化鉛として検出します。なのでA2とBが該当します。

【参考】Sの元素分析
端にない硫黄はあまり感度良く検出できないため,メチオニンは黒色沈殿が生じないことも多いため,試験で聞かれれば,アミノ酸はほぼ確実にシステインのみです。
なお,端のみ感知可能な理由は,OHの求核置換反応によるSHの脱離は端にない場合はほとんど起こらないからです。
では,メチオニンの硫黄というか硫黄が入っているかをどう検出するかですが,Nと全く一緒で,端にないものは水酸化ナトリウムではなく金属ナトリウムで処理してやれば検出できます(機械に入れると自動な今ではやっていないだろう方法ですが。)。

(い)
キサントプロテイン反応はベンゼン環を持つアミノ酸が検出されます(チロシン,トリプトファン,フェニルアラニン)。
本問においてはそのようなアミノ酸は存在しない。

【参考】キサントプロテイン反応
ニトロ基がベンゼン環について黄色になります。この反応は求電子置換反応なので,チロシンやトリプトファンのような,強いオルト-パラ配向性(それぞれOHとNH)のものはつきやすいですが,フェニルアラニンようなトルエンと同等なものはつきにくく,濃硝酸を加えて加熱程度ではつかないようです(とwikiさんにも書いてありました)。
次に,アルカリ性にした場合の色の変化ですが,これはチロシンによるもので,チロシンのフェノール基からHが電離するため,電子の状況=光の吸収具合が変化することによるものです。

問2
A1はメチレン2個でCOOH,A2はメチレン1個でSH,A3はグリシン,BはA2に酢酸をアミド結合なので次のようになります(下のは化合物A=グルタチオンとその酸化反応です)。
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京都大学2014年化学第3問b
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解説


内容としては非常に基本ですが,後半の記述が実験に関する考察になれていないと厳しい気がします。

問4 1
1:誤り。問5の通り3:1で反応します。
2:正しい。初めの橙色はニクロム酸イオン,後半の緑は三価クロムの色です。塩基性下でニクロム酸イオンはクロム酸イオンになり,黄色となることもあわせて覚えましょう。
3:正しい。ニクロム酸イオンのすべてが三価クロムにってしまったことになるので,これ以上は反応が進みません。
4:正しい。+6→+3です。酸化剤は還元されるものです。

問5 a:3 b:8 c:3 d:7
酸化還元反応は各反応物の酸化数の変化に着目して,その逆比で立式していきます。
エタノールのOHがついているCの酸化数に着目すると,H二つ(-2),Oと単結合(+1),C一つ(±0)がついているので,酸化数は-1です。これがアルデヒドになるので,H一つ(-1),Oと二重結合(+2),Cが一つ(±0)となり,酸化数は+1となります。-1→+1なので酸化数は2増加です。
一方,ニクロム酸イオンは+6のクロムが+3のクロムに二つなっているので,合計の酸化数変化は+12→+6で6の減少です。
よって,反応比率は2:6の逆比である3:1になります(a=c=3)。

次に余るHとOをカウントします。エタノールがアセトアルデヒドになる際には2個Hが出てくるので,3個のエタノールでは6個です。一方,二クロム酸イオン1個からは,Oが7個出てきます。水にするために足りないHは14-6=8個で(b=8),できる水は7個です(d=7)。

問6 1
酸化すると第1級はアルコール→アルデヒド→カルボン酸,第2級はアルコール→ケトン,第3級は酸化されません。このような反応をする簡単な理由は,Oの隣のCに水素がついてないと水素をとって酸化したり,HをOHに変えて酸化する所がないということです。
ただ,フェノールは隣の炭素にHはないのですが,ベンゼン環の共鳴を通して炭素と電子のやりとりができるため,ヒドロキノンなどを生じて,さらに複雑な化合物へと酸化が進みます。

問7 5
存在している有機物がアルコール,アルデヒド,カルボン酸と考えられるので,ここからアルデヒドを取り出すことを,図1の装置で考えることになります。蒸留の装置なので沸点差であることは明白で,実際に水素結合能の違いでアルデヒドは低沸点です。

問8
熱でアセトアルデヒドを反応系から追い出し,更なる酸化を防ぐ

生成物を取り除くことは良く使う手です。平衡的に生成物があるとそれ以上反応が進まなくなってしまったり,今回のように目的の生成物が更に反応してしまう場合などに良く使います。

問9
液体が逆流する

問10
試験管Aやガラス管内でアセトアルデヒドが水に溶けて圧力が低くなるから。

アンモニアの噴水と同じ感じです。
また,通常の蒸留装置では見られない蒸留水が試験管Cに入っている理由も,アセトアルデヒドは水溶性なので溶かしてしまった方がしっかり回収できるからです。

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京都大学2014年化学第3問a
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解説


問3が酸化条件次第な気がして結構困り者ですが,それ以外はしっかりと基本的な反応や化合物を理解しているかに尽きる問題です。有機の構造決定問題なので,自分が解いていった思考を追ってみます。

アまではなんとなく読み飛ばしな感じです。Bが縮合重合してポリエチレンテレフタレートなので,テレフタル酸もしくはエチレングリコールのどちらかです。Eのオゾン酸化の記述から,アルコールではないことが分かるので(アルコールなら酸化されてカルボン酸になってしまい矛盾),テレフタル酸だと分かります。
また,同時にEは次の部分までは決定します(カルボン酸は炭化水素という表記から除外)。
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次に白金触媒の記述からEには二重結合が2個もしくは三重結合が1個あります。

Gがニトロ基をもち,還元するとCになること,および,初めの酸素の個数が3つしかなく,B由来の部分で2つも使われていることからアニリン系と推測できます。そして,希塩酸溶液(アニリン系の塩酸塩ぽい),氷点下(ジアゾ化っぽい)から推測してもアニリン系です。そしてDはジアゾを熱分解したものなので,フェノール系だと考えられます(陰イオンがジアゾと交換されるので,塩化物イオンがつく可能性もありますが)。
この予測を確定してくれるのが,Fのスルホン化をアルカリ融解です。これもフェノールの代表的な製法です。

よって,CとDは炭素数が同じで,アミノ基とOH基がベンゼン環についた化合物だと推測できます。ここまでくれば炭素数から,32=k(Bの炭素数+2×Dの炭素数)なので,とりあえずk=1から考えてDの炭素数は12になります。k≧2ではDの炭素数が4以下になってしまいベンゼン環じゃなくなります。

さて,結構飛ばしていたFあたりに戻ると,Fをニトロ化してもGしかできないこと,およびEと同じ配置であることから,ベンゼン環から出ている炭素の配置はパラかつ同一基になります。つまり,12個の炭素のうち6個はベンゼン環に利用しているので,3個ずつパラ配置です。

問1
上記から考えると,それぞれ以下の構造式になります。
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問2 ア:エチレングリコール イ:亜硝酸ナトリウム
ジアゾ化といえば亜硝酸ナトリウム。

問3 3?
Eとして考えられる物質は次の5つです。
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幾何異性体があるという段階でアルキンが除ける気がします(答が0でもいい気もしますし,アルキンへのオゾン分解はカルボン酸が生じるので,E4は答えになりえるんですよね)。

次にジアルケンだとして,オゾン酸化した産物を酸化するとテレフタル酸になるものですが,正直なところ良くわかりません。条件によって違う気がします。どういうことかというと,ベンゼン環に炭化水素基(ベンゼン環に直接ついている炭素に水素がついていないものは×)は酸化するとCOOHになります。しかし,炭化水素基ではなくアルコールやアルデヒドがついている場合には,そちらの酸化が優先されて,ベンゼン環に直接COOHが問答無用でつくわけではなくなります。
しかし,酸化剤をより強くすると,やはり問答無用でベンゼン環にCOOHがつくようになるらしいので(次のワードで検索すると出てくる本参照”study guide phenyl ethanol benzoic acid KMnO4”),E1だけではなくE2やE3もあり得るといえばあり得ると考えます。

まあ,長々と文句を垂れましたが,大学入試であることを考えれば,こんな細かいことが要求されるわけはないので,E1が普通に想定していた答えでしょう。
そうすると,二つの二重結合がシスシス,シストランス(トランスシスは同一),トランストランスの3通りがあります。

ちなみに酸化力が強い試薬で問答無用でCOOHまでしてしまう場合はE2もあり得るので,E2の上についている基のシスとトランスが追加されます。

【参考】化合物A
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京都大学2014年化学第2問b
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解説


反応速度論の問題で,二段階の素反応を含む場合に見られる,一見したら矛盾に見える現象を扱っています。順を追って説明してくれているので流れはわかり易いですが,最後のグラフ選択問題は難しい問題だと思います。

問4
キ:
平衡状態では順反応と逆反応の速度が等しくなるので,
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ク:
(3)のvと(6)のv3は同じ速度なので,(6)の[N2O2]を[NO]で表してやります。これらを結びつけるものは(4)の平衡なので,
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問5 ケ:発熱
②に温度を上げると左に移動するとあるので,ルシャトリエより発熱です。

【参考】反応式からの推測(大学生向け)
(4)では順反応に進むと気体の分子数が減るので,エントロピーも減少していると考えられます。つまり,ΔG=ΔH-TΔSでいうところの-TΔSが正であり,これが平衡になるにはΔHは負でなければなりません。つまり発熱です。

問6 コ:う,え サ:あ
コ:
温度が上がると左に移動するということは,平衡定数が小さくなります。つまり平衡定数はTに対して減少関数であり,1/Tに対して増加関数となります。よって,減少している”う”と”え”は排除できます。

サ:
温度上昇とともに低下するということは1/T に関する増加関数ということです。何が増加関数かというと,vの反応速度定数であるkです。k=Kk3であることから,k'をある温度のkだとすると,
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が1/Tに関する増加関数になるので,図2のグラフの上下を足したものが増加関数になっていなければなりません。よって”あ”です。


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