ひたすら受験問題を解説していくブログ
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プロペラの役割(東京大学1996年前期物理第3問III)

Q

はじめまして。

早速ですが、添付の1996年度東大物理第3問につきまして、
問Ⅲのプロペラの役割を教えていただけませんでしょうか。
どの過去問集にもプロペラの役割について解説は書かれておらず、
ずーーーっと気になっています。

また、もしプロペラがなかったらどのような運動になるのでしょうか?
振動は永遠に止まることはないのでしょうか?

どうぞよろしくお願いいたします。

A


プロペラの役割は明記されています。

「プロペラは振動に伴って回転し,気体内に熱を発生した。」

という記述の通りです。ジュールの実験(落下する物体を液体に入れた羽につなげ,運動エネルギーを熱に変える実験)と同様に,ピストンの運動エネルギーをプロペラを通して気体分子の運動=熱運動に変えています。

無い場合にはどうなるかですが,IIと状況はかわらないので,摩擦などを考えない理論上の話では振動し続けます。
この場合には断熱線に乗った可逆過程になりますが,プロペラがあると熱運動が巨視的な運動に変換されることはないことから,不可逆過程になっているということです。
水を棒でかき混ぜてお湯にできても,お湯に棒を入れても勝手に棒が逆回りを始めないというエネルギー変換の制限の話です。

Q

ご回答ありがとうございます。
以下のような理解であってますでしょうか。
どうぞよろしくお願いいたします。

<エネルギーの流れについて>
【プロペラがない場合】
 重力の位置エネルギー⇔ピストンの運動エネルギー
 をいったりきたりする(これで“閉じた”系)。
 この“閉じた”系に着目した場合、エネルギー保存則が成り立っている。
 つまり、エネルギー散逸がなくピストンは振動しつづける。

【プロペラがある場合】
 重力の位置エネルギー⇒ピストンの運動エネルギー⇒気体への熱
 というエネルギーの流れ。
 初期位置h、最終静止位置は2/5 h であり、
 最終的には3/5 mghの重力の位置エネルギーが気体に発生した熱というエネルギーになった。


<p-Vグラフ上での動きについて>
【プロペラがない場合】
 p-Vグラフ上の断熱線に沿っての振動を永久に繰り返す。
 つりあい位置からの振動を繰り返すので、気体は外部に(つまり、ピストンに)正の仕事も負の仕事もする。
  p-Vグラフ上を掃く面積で考えればわかりやすく、
   ピストン上昇のときは⊿V>0でp-Vグラフを掃く面積は正、つまり気体が外部にする仕事は正
   ピストン下降のときは⊿V<0でp-Vグラフを掃く面積は負、つまり気体が外部にする仕事は負
 長周期平均をとれば気体が外部にする仕事は0となる。
 つまり、気体はピストンへ正味の仕事をしないので、ピストンのエネルギーは一定で、ピストンは振動し続ける。

【プロペラがある場合】
 p-Vグラフ上の断熱線に沿って振動するが、だんだんと振動は小さくなっていき、
 最終的にはp-Vグラフ上の初期位置(hに対応するV)よりも左側位置(2/5 hに対応するV)で静止する。
 このように最終的に⊿V<0となるので、気体は外部に(つまり、ピストンに)に負の仕事をすることになる。
 見方を逆にすれば、ピストンは気体に正の仕事をすることになり、これが気体に発生した熱というエネルギーになった。

A


2点変なところがあります。

一つ目はエネルギーの流れです。
エネルギーの流れとしては,プロペラがなくとも気体の内部エネルギーになる分もあります。
断熱圧縮されるということはdU=-pdVなので内部エネルギー(温度)は増加します。
この内部エネルギーは上昇時には全く同じ断熱線を通ることになるので最終的にピストンの位置エネルギーに戻ります。

もう一つはpV図上の動きです。
プロペラがあるときにはdU=-pdV+Wになります。Wはプロペラが気体にする仕事=熱で常に正なので,動くたびに内部エネルギーこと温度は元の断熱線より上に来ることになります。
pv図でそもそも断熱線は別の等温線を結ぶものだったので,傾きは等温線よりも急でした。同様に考えれば,同じ体積変化の場合により高い温度になるので,プロペラがある場合には更に急な曲線になります。

また,プロペラが両方向に回転する場合は上昇時にもWは正なのでより高い等温線と結ぶことになり,断熱線よりも緩やかな傾きの曲線になります。

このジグザグで最終位置の等温線がある(V,p)に収束していく感じになります。
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2016年第2回東大実戦第6問

Q

今年の第2回東大実戦第6問です
断面が楕円になることがどうやって分かるのか知りたいです

A

模試の問題掲載はさすがにダメなのかなと思ったので考え方だけで。
教え子にも聞かれたのですが,解答では式をいじいじして判断しているようですね。正直なところ読むに堪えない感じなので流し読みですが・・・。なのであの解答は忘れていいです。

・直感的な説明
もともとの図形も,z=2の図形も同じだ円であり,長軸短軸がz=2の方では回転しています。この図形を作る際に,z=2に回転させていない楕円を設けて,楕円柱を作り,そのあとに回転させること(ねじる)を考えれば,途中にできる図形はなんとなく楕円が第一選択肢になると思いませんか?だって元が楕円から回転した楕円に滑らかに移っていっているのですもの。

・数学的な説明
一般的に説明します。元の図形を複素数P(α),回転・伸長に使う複素数をωとします。めんどくさいのでz=1に回転した図形(Rとする)を載せて元の図形と結びます。そしてz=t,つまりt:1-tに内分します(元の図形側がtとし,内分した点をSとします)。座標表記は(x,y,z)を(x+yi,z)としています。

P:(α,0)
R:(ωα,1)
S:(ωαt+(1-t)α,t)=((ωt+1-t)α,t)

これは単純にαにtが決まれば定まる複素数をかけているだけです。すべての複素数は回転と伸長に分解できるので,回転させた後に|ωt+1-t|倍した図形になっています。つまり,その2乗が面積の倍率になります。

この話は楕円という特殊なもとの問題に戻っても当然に成立します。

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千葉大2015年第2問の問2

Q


よろしければ2015年の千葉大の化学の大問2の問2の解説をお願いします。
電気分解による槽内のph変化についての問題なのですが、予備校の解説では納得ができませんでした。
具体的には、なぜ陽イオン交換膜が使われているのか?(イオン交換膜がある場合のphの考え方)(交換膜があっても、オキソニウムイオンは移動できる?)(そもそも陽イオン交換膜とはどういうものなのか)を知りたいです。
よろしくお願いします。

chiba_2015_chem_q2_q2.png


A


駿台さんのしか見てないですが,pHは13であっています。

まずイオン交換膜が使われる理由ですが,この実験は使わないで行うことも多いようです。あまり解けませんが,ヨウ素は水に溶けて次亜ヨウ素酸とヨウ化水素になるので,それらが水酸化カリウムと反応してしまうのを避けるためではないでしょうか(塩化カリウムの場合と同じですね)。

次に,イオン交換膜の仕組みですが,イオン交換樹脂と同じような構造を持つ化合物から作られています。具体的には陽イオン交換膜の場合は―SO3を持つものが代表的です。これは負に帯電しているため,陰イオンは電気的にはじかれてしまって通過することができません。一方,陽イオンは吸着と解離を繰り返しつつ,電極からかけられる電圧によって陰極側に移動していきます。

以上を考慮して本問の概要を図にすると次のようになります(係数は無視しています)。

chiba_2015_chem_q2_a2.png

なお,オキソニウムイオンについては通過可能ですが,もともと存在している量が非常に微量なので無視できます。例えば,ヨウ化カリウムではなく,ヨウ化水素酸の電気分解ならば陰極に移動するため中和反応が起こるはずです(塩酸+塩化ナトリウムで電解すると,水酸化ナトリウムはあまりできなくなります)。

問題に戻ると,0.5×1930÷96500=0.01molの電子が流れ,OHも同量です。陰極側の溶液の量は100mlなので,OHの濃度は0.1mol/Lです。よって,pHは13です。
ちなみに陽極側はほぼ中性のままです。
負の数の累乗
よくこのサイトの解答を参考にさせて頂いている高校生です。次の問題を解説してください。
qa_m_3_1.png

【解説】
関数の拡張に関する問題で,大学の内容で言う複素関数論に1ミリほど足を突っ込んだ内容です。

まずは,問題の関数を次のように考えてみましょう。きっと,本問において困っていることは負の数の累乗であって,指数部分が負であるとかは何の問題もないと考えます(ただ,分母にくるだけなので)。
qa_m_3_2.png

この値は例えばx=2のときには純虚数になりますし,x=3のときも複素数になります(要は3乗して-aになるものなので,例えば偏角がπ/3のものです)。そのため,他のものも複素数で表せると考えて解いていきます(証明無しにド・モアブルの定理を実数乗まで拡張していますが・・・)。
qa_m_3_3.png

解を実数の範囲で考えた場合,(2k-1)/xが整数でなければならないので,x=奇数/自然数という形になります。なので,結論は「だけではなく,x=負の奇数/自然数において定義される」となりました。

なお,解が複素数の範囲で考えた場合は,先ほど求めたものをそのまま代入するだけで,ド・モアブルの拡張をどこまで認めるかによってその拡張した範囲までのxで成立し,いずれも複素数です。

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対称性を利用した求積問題(東京大学2005年前期数学第6問の類題)

Q


次の問題を東大2005年6問目と同じように解いてみたところ答と一致しません。どこがおかしいのでしょうか。問題自体はハイレベル理系数学という問題集のものです(ブログ主注:余計な部分をなくして書き換えています)。

rを正の実数とする。xyz空間において
x2+y2≦r2
y2+z2≦r2
z2+x2≦r2
をみたす点全体からなる立体の体積を求めよ。

==以下解答概略==
対称性をチェックすると,x,y,zの符号を入れ替えても同じなので,それぞれyz,zx,xy平面に対して対称。
また,x,y,zはどの二つを入れ替えても同じなので,x=y,y=z,z=xに対称。

z=tで切った断面を図示すると,tの値によって次の2通りが考えられる。いずれにおいてもyz,zx,xy平面の対称性から薄い灰色(iiでは濃い灰色と同一)の断面を考えてやればよく,さらにy=z,z=xの対称性からy≦t,x≦tの濃い灰色の断面だけ考えて32倍すればよい。

(i)0≦t≦r/√2
qa2_a1_1.png
qa2_a1_4.png

(ii)r/√2≦t≦r
qa2_a1_2.png
qa2_a1_5.png

(i)(ii)を足して32倍すると,
qa2_a1_6.png
==以上解答概略==

他の方法で求めた答えは
qa2_a1_7.png
となり一致しません。

A


この問題も対称性を上手く使っていくと楽な問題です。質問者様の間違っている点はx=zの対称性を使った後に,y=zの対称性を使っているところです。x=zで切ったものはもはやy=zで対称ではなくなってしまっています。条件式に書けば,”x≦z”という式が追加されており,yとzを交換するとこの”x≦z”が”x≦y”になってしまうため対称性は使えません。

本問の図形は複雑なので簡単な例で見てみましょう。例えば,下図の正方形ですが,x軸,y軸,x=y,x=-yに対称です。これを,x軸→y軸の順に対称性を活用すれば面積は1/4になりますが,初めにx=yを使った後にy軸の対称性を使おうとすると意味がわからなくなります。このように対称性を活用して図形を分割するときに別の対称性が崩れることはよくあります。そのため,互いに直交するなどのわかり易い対称性(x軸とy軸の対称性)以外はその都度確認する必要が出てきます(逆にもとの図形になかった対称性が出てくることもあります。例えば先ほどの正方形においてx軸で折り返した後,x軸に平行かつできた長方形の真ん中を通る直線による対称性です。)。
qa2_a1_3.png

以上から,本問でもx=zの対称性のみでy=zの対称性を導入しなければさくっと解けます。(i)の方で使えない対称性の条件y≦tを取っ払えば,
qa2_a1_8.png
となりコツコツやった積分と一致します。

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