ひたすら受験問題を解説していくブログ
東京慈恵会医科大学2013年化学第4問
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解説


問2(2)がうまくやらないとめんどくさめです。あとは問5がこんな現象あったなと思い出せるかどうかぐらいです。

問1 ア:一次 イ:α-へリックス ウ:二次 エ:変性
ただの穴埋め知識問題です。
タンパク質のアミノ酸配列は一次構造といわれます。

立体的な部分構造であるα-へリックス(螺旋)やβ-シート(シート状)などをタンパク質の二次構造と呼び,ペプチド結合のCOとNH間で水素結合をなして立体的な部分構造を保っています。α-へリックスの場合は同じ鎖内で水素結合をなしており,β-シートでは平行する別の鎖と水素結合を形成しています。このような固定的な構造をなす一因として,アミド結合のC-N間が下図のように共鳴によって二重結合性を持っているため自由に回転できない平面構造であることがあげられます。つまり,結合にちょうどいい位置で固定されたままになるということです。
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タンパク質は部分的な立体構造である二次構造が更に折りたたまれて,三次構造と言われるポリペプチド鎖全体の立体構造を形成します。このときに折りたたむ力は,側鎖間のジスルフィド結合,イオン結合,水素結合(主鎖と形成する場合もある),ファンデルワールス力があります。

四次構造は上記のように三次構造をもつポリペプチド鎖からなる部品(サブユニットという)が組み合わさって形成される構造です。

タンパク質の変性は,これらの力による立体構造の維持がなんらかの理由で阻害されることで起こります。変性が起こると,タンパク質は機能を失うことが多く,例えば,Pbが毒性を持つのは,ジスルフィド結合を変に架橋してしまって変性させてしまうからです。

問2
(1) 4.0×10-3mol
逆適定です。アンモニアは気体で,アンモニア水にしたにしても気化してしまい,丁度の硫酸と反応させることが難しいです。そのため,とりあえず全量を反応させて,残った硫酸を別の塩基で測る手法がとられます。
要するに,アンモニア+水酸化ナトリウム=硫酸,という式が酸の価数かけた上で成立します。よって,
2×0.1×50m-0.1×60m=4m molとわかります。

(2) 46%
構成するアミノ酸の平均分子量を計算してから,その平均になる割合を計算します。0.42が4.0×10-3molなので,割ってやって,105が平均分子量だとわかります。
ロイシン,バリンの分子量は残基部分では,113と99です。平均との差で考えれば8:6=4:3なので,モル数はこの逆比になります。質量比に直してロイシン部分の割合を計算すると,
113×3/(113×3+99×4)=113/245≒0.461

問3
ジスルフィド結合は名前の通り2つのSが入った結合で,Hが2つ取れて(酸化されて)S-S結合が出来ます。
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問4 PbS
硫黄反応ってやつです。反応はOHがSHと置換することによってS2-が最終的にできるためPbSの沈殿を生じるというものです。
置換可能なものはあくまでSHであるため,SCH3になっているメチオニンはほとんど沈殿を生じないといわれています。メチオニンの時は水酸化ナトリウムではなく,金属Naとともに試料を融解してNa2Sとして取り出すのが普通かと思います。その後は酢酸でも加えて酢酸鉛です。

問5
アルブミン分子はコロイド粒子のサイズなので,水に溶かして横から強い光を照射するとチンダル現象によって,光路が光って見えるが,アラニンではこの現象は観察できない。

チンダル現象はコロイド粒子で見られる現象で,粒子の大きさと光の波長が近いため,光が粒子によって散乱され,通り道が輝いて見える現象です。

問題文中でNGとされている方法はこんなのでしょうか?
試薬=ビウレット反応,キサントプロテイン反応,硫化鉛反応,エタノールによる凝固などなど
加熱=凝固
冷却・器具=同じグラムを溶かしてモル沸点凝固点降下
器具=同じグラムを溶かして浸透圧測定
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東京慈恵会医科大学2013年化学第3問
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解説


なんか新しいのが出てきますが,東大の問題と同じで,高校で習った内容との類似点を見つけて同じように処理してやればいいだけです。

問1
環状アミドであるラクタムと,環状エステルであるラクトンが同じ感じで反応すると問題文に書かれているので,エステル部分が切れて,それぞれが別分子とエステル結合すると考えられます。
よって,
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【参考】ラクタム,ラクトンの命名法
環状の元になるカルボン酸の名称,つまり炭素数を示す,アセト(2個),プロピオ,ブチロ,バレロ,カプロ(6個)・・・の末尾にラクタムやラクトンをつけたものになります。
初めのεなどのギリシャ文字は,酸がついている炭素から見て何番目の炭素にアミノ基やヒドロキシ基がついているかをあらわすもので,となりの炭素からα炭素,β炭素・・・って感じです(この辺はアミノ酸とおなじです)。まあ要するに,αラクタムなら3員環,βなら4員環となります。

問2 8種
解像度が低くてわかりにくいですが,C6H10O2です。つまり6員環でエステル構造を崩さずに,メチル基を一個つけろと言うことです。メチレンな炭素に順番につけて数えます。
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と4パターン有り,光学異性体を別で考えるので,×2して,8種です。

問3
問4にもあるとおり,酸素の数が変わります。これは,加水分解で生じるアルコールの酸化のされ方が異なるためです。
ラクトンの酸側でまず酸素原子が2つあり,よって残りの酸素2つがアルコール側の酸化で生じなければならないと言うことです。
酸化してカルボン酸になるアルコールは第1級アルコールなので,問2の図における,右下以外が該当します。
よって,
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数が足りないのは問2の図左上と左下は同じYになるからです。

問4
問3で除外した右下です。
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問5
問3で触れました。問3の図の一つ目です。

問6
光学異性体がないのは問4もしくは問3の右で,問4のものは酸を一つしか持たないのでダメです。
よって,問3の右で,
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東京慈恵会医科大学2013年化学第2問
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解説


前半は気体の溶解の問題ではっきりと難しいと思います。後半はまあ普通でしょう。

問1 13.3kPa
問題文順に分圧を求めていきます。
乾燥空気の圧力をPとすると,初めの空気中では0.21Pです。

次に,肺に吸入された酸素の分圧PIO2は,空気の分圧は水蒸気圧分だけ減少する,的な記述があるので,0.21(P-6.26kPa)です。

ここから吸収された酸素の分圧を引きます。吸収された酸素の分圧の80%が,血液から排出される二酸化炭素の分圧PACO2なので,0.21(P-6.26kPa)-PACO2÷0.8となります。

全圧の変化分は窒素分圧によって補われるため,変化しません。
よって,0.21(101.3-6.26)-5.33÷0.8≒13.29≒13.3kPa

問2 9.0×10-3mol
ヘモグロビンと水を別で考えて足します。

(i)ヘモグロビン
1分子あたり酸素を4分子結合できるので,ヘモグロビンのモル数がわかればOKです。ヘモグロビンの分子量が与えられているので,質量を求めればOKです。0.13g/mLらしいので1000をかけて130gです。
よって酸素は,4×130÷(6.5×104)=8.0×10-3molとなります。

(ii)水
ここが忘れがちですが,水は1Lではありません。ヘモグロビン分を引いてやる必要があります。
全体の重さは血液の比重より1.06×103であり,これからヘモグロビン量130gを引くと,水は930g、水の比重が1なのでつまりは0.93Lだとわかります。

酸素の水への溶解量から,1.1×10-3×0.93=1.023×10-3mol

(i)(ii)より,8.0×10-3+1.023×10-3=9.023×10-3≒9.0×10-3となります。

問3
(1)
ただの平衡定数の定義を書いてやるだけです。化学式の係数が次数になることに注意すれば,
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(2) 17
問題文で最後に与えられている条件から計算してやります。ヘモグロビンの半分が結合状態なので,非結合体も結合体も同濃度です。溶けている酸素は問2を利用して,1.02×10-3×4.0÷101.3なので,代入すると
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となります。なんとなく1.6が√3と√2の間とかそんな適当な近似をしています。はっきりいって4を5に置き換えるぐらいの近似でも,大きくなっているか小さくなっているかに注意すれば,なかなか桁は変わらなかったりします。

まあ,冒頭でlog104が与えられていることを覚えていれば,20-4log104=17.6となり,17だと簡単に計算できますけど。

問4
(1)
(I)は酸素による酸化とあるので,
O2+2H2O+4e→4OH
です。酸性条件ではないので,2H2Oを2Hとしないように注意しましょう。

(II)は還元しているのがヨウ化物イオンなので,
2I→I2+2e
となります。

(2) ア:12.4 イ:メスフラスコ ウ:ビュレット エ:青紫
ア:最終的に200mLに溶かして0.250mol/Lなので,チオ硫酸ナトリウムは0.050mol必要です。
よって,5水和物の式量が248であることから,248×0.05=12.4g必要です。

イ:このぐらいの量の液量を正確にはかる器具はメスフラスコです。数mLとかだとホールピペットです(メスピペットも結構正確ですが,いろんな量を測れることもあって多少目盛りが適当です。)

ウ:滴定において,落とす側に使う器具はビュレットです。一般に,空気に触れて反応しやすいものなどをビュレットに入れて,あまり反応しないものを受け側のコニカルビーカーなどに入れます(酸塩基の適定で強塩基をビュレット側に入れないと,二酸化炭素が有意に影響します。フェノールフタレインの変化が見にくいという理由もありますけど。参考:https://ssh.jst.go.jp/research/show/621)。

エ:チオ硫酸ナトリウムによってヨウ素が還元されてデンプンの青紫色の呈色が消えます(色は螺旋構造の長さによって決まります。長いと青,短いと赤や褐色,短すぎると無色です。そのため,アミロースが青紫でアミロペクチンは赤紫です)。呈色するのは,デンプンは螺旋構造をしており,その螺旋内にヨウ素が入り込んで包接化合物を形成し,光の吸収具合が呈色する領域になるからで,ヨウ素を還元してなくしたり,加熱によってデンプンの螺旋構造を崩したりすると色がきえます。

チオ硫酸ナトリウムとは次のように反応してテトラチオン酸ナトリウムとヨウ化物イオンになります。
I2+2Na2S2O3→2NaI+Na2S4O6
(チオ硫酸イオンは硫酸イオンのOの1つをSに置き換えたもので,テトラチオン酸ナトリウムは置き換えたS同士が単結合で結びついたものです。)

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東京慈恵会医科大学2013年化学第1問
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解説


高校化学ではあまり触れられることのないキセノン化合物が出てきて一瞬焦りますが,聞いていることの大半は普通の熱化学分野の事項です。

問1 A:希ガス a:4 b:24 c:2.27
A:アルカリ金属(1族),アルカリ土類金属(2族),ハロゲン(17族),希ガス(18族)という呼び方は覚えておきましょう。

a:格子に入っている原子の数を図1から数えます。数える際に立方体に入っている正味の数を数えます。例えば図1で左手前の白い原子は,立方体に1/8の部分しか入っていないため,1/8個としてカウントします。
よって,1/8×8+1/2×6=4となり答えは4個です。

b:全部数えようとすると結構大変なので,原子1個当たり何個の結合があるかを数えてaの答えにかけます。例えば右面の真ん中にある原子の周りを数える場合には,その原子より右側にも別の格子(原子を共有しています)があることを忘れずにカウントします。一番近しい原子の数は12個あります。
1つの結合が2つの原子間でなされることから,原子1つ当たりに直すのは1/2にしてやることになります。よって,原子1つ当たり12×1/2=6です。これにaの4個をかけると24本の結合があることが分かります。

c:気体になると分子間力を完全に断ち切ったことになります。固体において働く分子間力は
気体がした仕事+分子間力をきるエネルギー=温度変化に要するエネルギー+状態変化に要するエネルギー
となります。計算しやすくするため,融点の固体から沸点の液体までの変化で考えます。

気体がした仕事は,問題文中にある,「気体の膨張には圧力(Pa)×体積増加量(m3)に相当するエネルギー(J)」のことです。圧力は101.3kPaです。体積の増加量は,固体から丁度沸騰し終わった瞬間の気体1モルの体積の差なので,リットルとm3に注意して,ΔV=10-3×8.31×165/101.3kPa-0となります。これに圧力をかけて,10-3×8.31×165≒1.371kJとなります。

温度変化に要するエネルギーは,温度変化は液体のみで起こっているので,モル比熱に温度変化をかけた20×4=80Jです。

状態変化に要するエネルギーは,融解と蒸発で,2.29+12.61=14.90kJです。

以上から,分子間力をきるエネルギー=-1.371+0.080+14.90=13.609kJであり,原子1モルあたりで6モルの結合があったので,13.61÷6≒2.268≒2.27となります。

問2
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かなり適当縮尺ですみません(関数入力する気力が)。固体のときは比熱が1/2なので傾きが急です。
各段階に要する熱を計算してみます。
(i)固体の温度上昇
100Kから161Kまでなので,20×1/2×(161-100)=610J

(ii)融解
問題文より2.29kJ
ここまで計2.90kJ

(iii)液体の温度上昇
問1cの解説同様,20×(165-161)=80J
計2.98kJ

(iv)蒸発
問題文より12.61kJ
計 約15.6kJ

(v)気体の温度上昇
20×(200-165)=700J
計 約16.3kJ

問3
原子半径の大きい希ガスは最外殻電子のもつポテンシャルエネルギーが比較的大きい(イオン化エネルギーが小さい)ため反応する場合もあります。
酸素分子*(キセノンとイオン化エネルギーがほぼ同じ)ですら酸化出来る六フッ化白金によって,ヘキサフルオロ白金酸キセノンが合成されたのが初の希ガス化合物で,問題文に書かれているようなフッ化キセノン達以外にも酸化キセノン(VI),酸化キセノン(VIII),四フッ化酸化キセノンなどが存在します。もともと無理やり作った化合物であり,反応性に富み,例えばフッ化キセノン(VI)は石英を侵したりします。この他,フッ化クリプトン(II)などのクリプトン化合物も有名です。

*原子じゃなく分子についてであり,酸素分子のイオン化エネルギーは酸素原子のイオン化エネルギーより小さくなります。この理由はp軌道が分裂した反結合性のπ*軌道は,元のp軌道より高エネルギーなので,電子を奪うのに必要なエネルギーは小さくなります。

(1)
反応せずとも,最外殻電子が閉殻構造で安定しているから。

(2) d
冒頭で述べたように原子半径が大きくイオン化エネルギーが比較的小さい原子です。そのため,フッ素によって電子を奪われて反応することが出来ます。
このことはを知っておらずとも,問題文中に”酸化剤であるフッ素”とフッ素が酸化剤として働いていることが明記されており,キセノンの電子が奪われる反応だとわかるので,dが答えになります。

問4
連立方程式を立てて解くだけです。
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東京慈恵会医科大学2013年化学解説
東京慈恵会医科大学2013年化学の解説です。家庭教師で化学を教えている生徒が受けるかもとか言い出すから解いてみました。2012年は簡単めでしたが,ある程度の難易度に戻った感じでしょうか。上位国立っぽい問題で,同じランクに上げられる順天とは正反対です。
個別には第1問,第2問が難しめ,あとは普通でしょうか。

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