ひたすら受験問題を解説していくブログ
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東京大学2004年前期数学第1問
todai_2004_math_1q.png

解説


√が多くて計算がかなり大変な気がします。しかも,何かの機転が必要であり,個人的には難しく感じました。色々解き方もありそうですが,本ブログでは辺の傾きと頂点の対称性を活用した解法と,邪魔な文字を求めたいものaで消してやる方法を紹介しようと思います。

P,Q,Rのx座標をそれぞれ小文字のp,q,rであらわします。直線PQの式は,
todai_2004_math_1a_1.png
となり,これがy=x2と接する点がQなので,代入すると,
todai_2004_math_1a_2.png
となります。aを求めてみると,
todai_2004_math_1a_3.png
あとは正三角形になるようにするだけです。正三角形といえば角度が60度です。他の2つの辺の傾きをm,nとすれば,tanの加法定理より±60度なので,
todai_2004_math_1a_4.png
となります。さて,PQRの対称性から傾きに関して次の式が成立します(PQRの順番は結局使わないため、どうでもいいのでRPQ順として書いておきます。)
todai_2004_math_1a_5.png
aに代入します。
todai_2004_math_1a_6.png

【参考】一般化
上記の解法ならば別に√2とかいう指定は必要ありません。PQの傾きをlだとすると,
todai_2004_math_1a_9.png
という感じで任意の傾きに対して求めることが出来ます(当然l≠±1/√3です。このとき一辺がy軸に平行です)。

ちなみにこの関数を微分するとl=0,±√3で極小値2√3をとることがわかります(PQRの並びが違うだけの同じ正三角形です)。

【別解答】
aを求めるところまで本解答と同じです。PQは小さい方をPとおいてやっても問題が変わらないので,p<qとします。
p,qなど文字が多いと邪魔なので,求めたいaで表してやります。
todai_2004_math_1a_7.png
となります。あとはPを中心にQを±60度まわした点が放物線上にあるaを見つけてやればOKです。
todai_2004_math_1a_8.png
a>0より18/5
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東京大学2004年前期数学解説
東京大学2004年前期数学の解説です。よく練られたセットだと思います。全体的に少し難しめで個人的な難易度は1>2>3=5>4>6といった感じです。多分一般的な難易度だと1,2は下のほうに来ます。

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東京大学2012年前期物理第3問
複スリットによる光の干渉を利用して気体の屈折率を測定する実験について考えよう。図3のように,透明な二つの密閉容器C1,C2 (長さd)を,平面A上にある二つのスリットS1,S2 (スリット間隔a)の直前に置き,Aの後方にはスクリーンBを配置する。A,Bは互いに平行であり,その間の距離をLとする。スクリーンB上の座標軸xを,Oを原点として図3のようにとる。原点OはS1,S2から等距離にある。いま,平面波と見なせる単色光(波長λ)を,密閉容器を通してスリットに垂直に照射すると,スクリーンB上には多数の干渉縞が現れる。密閉容器の壁の厚さは無視して,以下の設問に答えよ。
I 密閉容器C1,C2両方の内部を真空にした場合,光源から二つのスリットS1,S2までの光路長は等しいため,単色光はS1,S2において同位相である。

(1) スクリーンB上の点Pのx座標をX,S1とPの距離をl1,S2とPの距離をl2としたとき,距離の差Δl=| l1-l2|を,a,L,Xを用いて表せ。ただし,Lはaや|X|よりも十分に大きいものとする。なお,|h|が1よりも十分小さければ,todai_2012_phy_3q_2.pngと近似できることを利用してよい。

(2) 点Pに明線があるとき,Xをa,L,λ,および整数mを用いて表せ。

II  C2の容器内を真空に保ったまま,C1の容器内に気体をゆっくりと入れ始めた。一般に,絶対温度T,圧力pの気体の屈折率と真空の屈折率との差は,その気体の数密度(単位体積あたりの気体分子の数)ρに比例する。

(1) 容器内の気体の圧力がpで絶対温度がTのとき,その気体の数密度ρをp,T,k (ボルツマン定数)を用いて表せ。ただし,この気体は理想気体とみなしてよい。

(2) 温度を一定に保ったままC1の容器内に気体を入れて圧力を上げると,スクリーンB上の干渉縞は,x軸の正方向,負方向のどちらに移動するか。理由を付けて答えよ。

III  C2の容器内を真空に保ったまま,C1の容器を絶対温度T,1気圧(101.3kPa)の気体で満たした。このときの気体の屈折率をnとする。

(1) C1の容器が真空状態から絶対温度T,1気圧の気体で満たされるまでに,それぞれの明線はスクリーンB上を距離ΔXだけ移動した。気体の屈折率nを,ΔXを用いて表せ。

(2) (1)で,原点OをN本の暗線が通過した後,明線が原点Oにきて止まった。気体の屈折率nを,Nを用いて表せ。

(3) 気体の屈折率を精度よく求めるには,測定値の正確さが重要になる。いま,(1)で測定したΔXは0.1mmの正確さで測定でき,(2)で測定したNは1本の正確さで数えられるとするとき,気体の屈折率は(1)の方法,(2)の方法のどちらが精度よく求められると考えられるか。理由を付けて答えよ。ただしd=2.5×102,L=5.0×102,a=5.0mm,λ=5.0×10-4mmとすること。
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解説


散々使い古されたヤングの実験に屈折率を絡めただけの問題です。これが東大の受験問題として成立するということは,少し悲しいことで合ったりもします。
一番難しいのはボルツマン定数を覚えているかどうかとか言ったら怒られるのでしょうか?

I
(1)
素直にピタゴラスで計算して近似を使うだけです。LがaやXより大きいので,これがhに関わってくることを念頭において処理します(正直テンプレ問題すぎて,まともに学習していれば覚えてしまっているはずですが)。
todai_2012_phy_3a_1.png
他にもスリットからPへの角度がθとして近似する方法もあるので確認しておいてください。

(2)
光路差(これにπ/λをかけたものが合成波のtによらない係数部分の位相です)がmλというアレです。
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II
(1)
ρ=nNA/Vです。ボルツマン定数(1粒子あたりのR,すなわちエネルギーに関する定数)も意識しつつ状態方程式からこれを導き出すと
todai_2012_phy_3a_3.png

(2)
容器部分も含めて位相差を出してやります。気体を入れると屈折率n(n≧1)は増加すること,屈折率は光の遅くなり具合,つまり波長の短くなり具合であり,波長がλ/nになることを把握していれば,
todai_2012_phy_3a_4.png
となり,同じmを考えてみると,nについてみるからに単調増加です(もしもっと複雑なら微分することになりますが)。
よって,正に移動します。

III
(1)
さっきII(2)で求めてしまった気がしますが,n=1の場合とnの場合で差分をとると,
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(2)
まず,真空の時には明線がOにあるので,結局は明線の間隔×Nだけ移動したことになります。これがΔXなので,
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(3)
正確さ(誤差)を代入するだけのお仕事です(正確さ未満は測定不能なので,正確さを代入した値までしかnは求められません。)。正確さの単位で1つ大きいものとの差分をとってやれば,
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となり,(2)のNの方が小さくなり高精度ということになります。

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東京大学2012年前期物理第2問
図2-1のように,xy平面上に置かれた縦横の長さがともに2aの回路を一定の速さvでx軸正方向に動かす。回路の左下の点Pと右下の点Qは常にx軸上にあり,点Qの座標を(X, 0)とする。磁束密度Bの一様な磁場が,y<xの領域にのみ紙面に垂直にかけられている。導線の太さ,抵抗およびコンデンサーの素子の大きさ,導線の抵抗および回路を流れる電流が作る磁場の影響は無視できるものとして,以下の設問に答えよ。
I まず,図2-1に示した抵抗値Rの抵抗と導線からなる正方形の回路を用いる。
(1) 0<X<2aのときに回路を流れる電流の大きさを求めよ。

(2) 0<X<2aのときに回路が磁場から受ける力のx成分を求めよ。

(3) 2a<X<4aのときに回路が磁場から受ける力のx成分を求めよ。

todai_2012_phy_2q_1.png


II 次に,設問Iで用いた回路を複数の抵抗を含む回路に取り替える。
(1) 図2-2に示した抵抗値Rの抵抗を2つ含む回路を用いた場合に対して,a<X<2aのときにPQ間の導線を流れる電流の大きさを求めよ。

(2) 図2-3に示した抵抗値Rの抵抗を3つ含む回路を用いた場合に対して,a<X<2aのときにPQ間の抵抗を流れる電流の大きさを求めよ。

III 最後に,図2-4に示した電気容量Cのコンデンサーと導線からなる回路を用いる。
(1) 0<X<2aのときに導線を流れる電流の大きさを求めよ。

(2) 2a<X<4aのときに回路が磁場から受ける力のx成分を求めよ。

todai_2012_phy_2q_2.png

解説


磁場への回路突入問題で,定石どおりに解いていきます。Φを求める(ΔΦを求める)→tで微分して(Δtで割って)起電力を求める→起電力を電池として回路を流れる電流を考える→電流によって磁場から受ける力を求める,という流れです。
これ以上でもなければこれ以下でもありませんが,IIIでは一応コンデンサーと電流の関係を押さえておく必要もあります。

(1)
上であげた流れで解きます。0<X<2aのときの磁場領域はOQ(=X)を一辺とする直角二等辺三角形となります。また磁場は一定なので,
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(2)
誘導起電力は上記の通りですが,どっちにかかるかはレンツの法則で決めます。回路内のΦは増えるので減らす方向に流れようとします。つまり,Bが紙面手前向きならばQ→Pであるし,Bが紙面奥向きならP→Qです。いずれにしても,上で求めた誘導起電力にBが奇数次数で含まれているので,Bを紙面手前を正とする符号込みで考えればQ→P向きの起電力と考えてOKです。

フレミングの左手によって回路右辺(=X)にはxが負の方向にBXIの力がかかります。よって-X2B2v/R

(3)
2a<X<4aのときは下図のように上辺と左辺がX-2aとなります。計算のしやすさ的に磁場のない三角形を引くほうが楽です。(1)(2)と同様にいくと(左辺と右辺で力のかかる方向が逆であることに注意),
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todai_2012_phy_2a_1.png

II
考え方はIと同じですが,複数の閉回路が考えられるので,それぞれで生じる誘導起電力を求めてやります。

(1)
図2-2を上側の長方形と下側の長方形と分けてとらえてやります。下図のように,上側の長方形のΦはその面積が一辺をX-aとする直角二等辺三角形になるので,(X-a)の形からして微分したものもXと同じなので,I(1)のXに(X-a)を代入した誘導起電力になります。
つまり,右辺下向きに(X-a)Bvで,I(1)の答からこれを引けば下側長方形の誘導起電力が右辺下向きにaBvとでます(Φをコツコツ求めてもいいですが,こういう再利用の考え方が出来るようになって欲しいところです)。
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考えた回路において正方形と下側長方形のキルヒホッフの法則より,
todai_2012_phy_2a_5.png

(2)
誘導起電力は(1)と同じです。抵抗が一個増えていることに注意して正方形と下長方形のキルヒホッフより,
todai_2012_phy_2a_6.png

III
(1)
I(1)より誘導起電力はXBvであり,コンデンサーにはQ=XBvCの電荷が溜まっています。電流はQを時間で微分したものになるので,
todai_2012_phy_2a_7.png

(2)
電流を(1)同様に求めます。I(3)より誘導起電力は(4a-X)vBであり,Q=C(4a-X)vBなので,微分して
todai_2012_phy_2a_8.png
I(3)と同じように左右の辺で打ち消しあうので,向きをフレミングで出しつつ計算すると,
todai_2012_phy_2a_9.png

【参考】仕事を利用した解法
回路を等速直線運動させる力を考えると,釣り合いの関係から回路が磁場から受ける力と等しく逆向きになります。
また,仕事をしているにもかかわらず,速度,言い換えれば運動エネルギーに変化がないため,仕事が回路で消費されるジュール熱に等しくなります。
つまり,回路が磁場から受ける力をFとすると,仕事率が-Fvであり抵抗などによって生じるエネルギーロスや蓄積と等しくなるということです。

I(2)
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I(3)
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III(2)
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東京大学2012年前期物理第1問
高低差がhの水平面Hと水平面Lの間になめらかな斜面があり,東西方向の断面は図1-1のようになっている。水平面Lの東端には南北にのびる鉛直な壁がある。ここで小球の衝突実験を行った。すべての小球は面から離れることなく進み,互いに弾性衝突するものとし,小球と壁も弾性衝突するものとする。重力加速度の大きさをgとし,小球の大きさや回転,摩擦や空気抵抗は無視して以下の設問に答えよ。

I 図1-1のように,水平面Hで質量mの小球Aを東向きに速さvで滑らせ,質量Mの小球Bを西向きに速さvで滑らせて衝突させたところ,衝突後に小球Aは西向きに進み,小球Bは静止した。

(1) 衝突後の小球Aの速さを求めよ。

(2) 質量の比M/mを求めよ。

todai_2012_phy_1q_1.png

II 図1-2のように,水平面Hで前問の小球Aと小球Bを東向きに同じ速さv0で滑らせたところ,小球Bは壁で跳ね返り,水平面Lからの高さがxの斜面上の点で小球Aと衝突した。その後,小球Aは斜面を上がって水平面H上の最初の位置を速さvfで西向きに通過し,一方,小球Bは壁と斜面の間を往復運動した。

(1) 2つの小球が衝突する直前の小球Aの速さをvA,小球Bの速さをvBとする。速さの比vA/vBを求めよ。

(2) xをv0,vf,h,gを用いて表せ。

todai_2012_phy_1q_2.png

III 前問の小球Bが,水平面Lから高さh/10の地点と壁との間を東西方向に往復運動しているとき,図1-3のように小球Bをねらって質量M/2の小球Cを水平面H上の点から発射した。水平面L上で小球Cはうまく小球Bに命中し,その後小球Bが壁で跳ね返ってから,小球Cと小球Bが両方とも水平面Hまで上がってきた。2つの小球は同じ速さtodai_2012_phy_1q_4.pngで距離をlに保ったまま水平面H上を同じ向きに進んだ。その方向は西から北に向けての角度をαとするとtodai_2012_phy_1q_5.pngであった。

(1) 壁で跳ね返ったあとの小球Bの水平面Lでの運動の向きは,西から北に向けて角度β であった。tanβを求めよ。

(2) 小球Bと小球Cが衝突した地点の壁からの距離dを求めよ。

(3) 水平面H上で発射したときの小球Cの速さVを求めよ。

(4) 小球Cを発射した方向を東から北に向けて角度θとする。sinθを求めよ。

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解説


IIIの(2)は発想を要するため難易度が高いです。それ以外は,斜面が不明すぎるので運動の仕方がわからず,保存則以外の選択肢はないため,とっつきやすいといえばとっつきやすいです。しかし,それでもIIIは工夫を要するところが多い印象です。

I
(1)(2)
弾性衝突なのでお決まりの立式で,反発係数と運動量保存則です。右(東)を正としてAの衝突後をv'すると,
todai_2012_phy_1a_2.png

II
(1)
それぞれの速さを求めますが,斜面の運動なんてわかりようがないので,エネルギー保存則でいくことになります。
エネルギー保存則において運動エネルギーと位置エネルギーの質量に関する次数は同じなので,重さによらず高さのみで決まります。また,衝突時にはAとBは同じ高さになるので,速さの比は1です。

(2)
まじめに計算してもいいのですが,斜面とはいえIそのまんまであることに気づいて欲しいです。つまり,同じ速さで逆向きに衝突しています。
衝突時の速さをvとし,Iから衝突後の速さv'(=2v)を求めてAに対するエネルギー保存則から高さを求めます。衝突前と後の二つのエネルギー保存(それぞれ高さhとxで保存しています),
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III
(1)
小球に南北方向(yとします)の力は加わりません。つまり,y方向の速度は一定です。これを踏まえて,x,y方向に速度を分解し、水平面H上の速さ、水平面HとLにおけるエネルギー保存則で式を立てます。
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(2)
結局のところdだったのがlになったということです。本問の運動は質量に依存しないので,BもCも同じ軌道(互いに平行)です。違いが生じる理由について考えてみると,同じ軌道の開始位置と終点が違うだけです。Bは水平面Lを,Cは水平面Hを他の小球より長い時間移動していることになり,それ以外は同じということです。
todai_2012_phy_1a_1.png
小球BとCはx方向の速さは同じなので,Bが壁にぶつかった際の小球の距離は,図のように2dとなります。
Bが進んだものは青と黒,Aが進んだものは赤と黒で,赤と青の時間は同じです。y方向でもいいのですが,x方向で計算したほうが楽です。赤と青の時間一致の式を立てると,
todai_2012_phy_1a_5.png

(3)
発射直後と,水平面HにB,Cが戻ってきた時でエネルギー保存則を使います。
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(4)
Vが出ているのでy方向を求めればOKです。衝突時のy方向の運動量保存則より,
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東京大学2012年前期物理解説
東京大学2012年前期物理の解説です。全体的に「東大の癖にこんなの聞くのかよ」という内容が少なめで難易度の高いセットだと思います。
第1問III,特に(2)が発想を要するため難しいと思います。第2問は複雑めの回路を磁場に突入させる問題で,基本事項をしっかり理解していないと面を食らってしまう気もします。第3問も基本事項をしっかり抑えているかです。

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東京大学2011年前期物理第3問
図3-1のように,摩擦なしに動くピストンを備えた容器が鉛直に立っており,その中に単原子分子の理想気体が閉じ込められている。容器は断面積Sの部分と断面積2Sの 部分からなっている。ピストンの質量は無視できるが,その上に一様な密度の液体がたまっており,つりあいが保たれている。気体はヒーターを用いて加熱することができ,気体と容器壁およびピストンとの間の熱の移動は無視できる。また,気体の重さ,ヒーターの体積,液体と容器壁との摩擦や液体の蒸発は無視でき,液体より上の部分は圧力0の真空とする。重力加速度の大きさをgとする。以下の設問に答えよ。
I まず,気体,液体ともに断面積Sの部分にあるときを考える。このときの液体部分の高さはh/2である。

(1) はじめ,気体部分の高さはh/2,圧力はP0であった。液体の密度を求めよ。

(2) 気体を加熱して,気体部分の高さをh/2からhまでゆっくりと増加させた(図3-2)。この間に気体がした仕事を求めよ。

(3) この間に気体が吸収した熱量を求めよ。

II 気体部分の高さがhのとき,液体の表面は断面積2Sの部分との境界にあった(図3-2)。このときの気体の温度はT1であった。さらに,ゆっくりと気体を加熱して,気体部分の高さはh+xとなった場合について考える(図3-3)。

(1) x>0では,液体部分の高さが小さくなることにより,気体の圧力が減少した。気体の圧力Pを,xを含んだ式で表せ。

(2) x>0では,加熱しているにもかかわらず,気体の温度はT1より下がった。気体の温度Tを,xを含んだ式で表せ。

(3) 気体部分の高さがhからh+xに変化する間に,気体がした仕事Wを求めよ。

(4) 気体部分の高さがある高さh+Xに達すると,ピストンをさらに上昇させるために必要な熱量が0になり,xがXを超えるとピストンは一気に浮上してしまった。Xを求めよ。

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解説


標準レベルで,最後だけ数学的な考え方が必要な問題といった感じです。高得点を取るべき大問です。

I
(1)
ピストンが止まっているとして考えれば,上が真空かつピストンに重さはないので,気体の圧力と液体の圧力が等しくなります。
密度をρとすると,
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(2)
仕事の定義より,
todai_2011_phy_3a_2.png
で終わりです。

液体の位置エネルギーで考える方法もあります(下の式の中点前が重さにgをかけたもの,中点後が高さの増加です)。
todai_2011_phy_3a_3.png

(3)
お決まりのdU=dQ-dW⇔dQ=dU+dWです。よって熱量差は,Uの変化と気体がした仕事で表せます。仕事は(2)で求めているので,Uを求めます。つまりTを求めることになります。
PV=nRTでVとT以外は不変なので,Vが2倍になったらTも2倍になります。というかU=3PV/2なので,Tを求める必要すらありません。
よって,
todai_2011_phy_3a_4.png
となります(温度差を求めて定圧モル比熱を使ってもおなじことです)。

II
(1)
液体の高さを求めます。面積がSの部分から高さx分だけ液体が2S部分にはみ出ます。はみ出た液体は面積比的に半分の高さになるので,
todai_2011_phy_3a_5.png

(2)
温度なので状態方程式で求めます。
todai_2011_phy_3a_6.png

(3)
定義どおりに積分します。
todai_2011_phy_3a_7.png
これも液体の位置エネルギー増加分で計算可能です。図3-2の液体の下端を位置エネルギーの基準とすると,
todai_2011_phy_3a_8.png

(4)
Qを求めて最大値を求めます。普通に求めてもいいのですが,どうせQの変化量を見るので,dQ=dU+dW=dU+PdVをdxで割ってやります(つまり微分するということになります)。すると,
todai_2011_phy_3a_9.png

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東京大学2011年前期物理第2問
電気製品によく使われているダイオードを用いた回路を考えよう。簡単化のため,ダイオードは図2-1のようなスイッチSDと抵抗とが直列につながれた回路と等価であると考え,Pの電位がQよりも高いか等しいときにはSDが閉じ,低いときにはSDが開くものとする。なお以下では,電池の内部抵抗,回路の配線に用いる導線の抵抗,回路の自己インダクタンスは考えなくてよい。
I 図2-2のように,容量Cのコンデンサー2個,ダイオードD1,D2,スイッチS,および起電力V 0の電池2個を接続した。最初,スイッチSは+ V 0側にも-V 0側にも接続されておらず,コンデンサーには電荷は蓄えられていないものとする。点Gを電位の基準点(電位0)としたときの点P1,P2それぞれの電位をV1,V2として,以下の設問に答えよ。

(1) まず,スイッチSを+ V 0側に接続した。この直後のV1,V2を求めよ。

(2) (1)の後,回路中の電荷移動がなくなるまで待った。このときのV1,V2,およびコンデンサー1に蓄えられた静電エネルギーUを求めよ。また,電池がした仕事Wを求めよ。

(3) (2)の後,スイッチSを-V 0側に切り換えた。この直後のV1,V2を求めよ。

(4) (3)の後,回路中の電荷移動がなくなったときのV1,V2を求めよ。

II 図2-2の回路に多数のコンデンサーとダイオードを付け加えた図2-3の回路は,コッククロフト・ウォルトン回路と呼ばれ,高電圧を得る目的で使われる。いま,コンデンサーの容量は全てCとし,最初,スイッチSは+V 0側にも-V 0側にも接続されておらず,コンデンサーには電荷は蓄えられていないとする。
スイッチSを+V 0側,-V 0側と何度も繰り返し切り換えた結果,切り換えても回路中での電荷移動が起こらなくなった。この状況において,スイッチSを+V 0側に接続したとき,点P2n-2と点P2n-1の電位は等しくなっていた(n=1,2,…,N)。また,スイッチSを-V 0側に接続したとき,点P2n-1と点P2nの電位は等しくなっていた(n=1,2,…,N)。スイッチSを+V 0側に接続したときの点P2N-1,P2Nの電位V2N-1,V2NをNとV 0で表せ。なお,点Gを電位の基準点(電位0)とせよ。

todai_2011_phy_2q.png

解説


Iは標準+αぐらい,IIは状況が把握できずに終わってしまった人も多そうです。
コンデンサーにおいてQ=CVが常に成り立っていること,つまり,どれか二つがわかればもう1つを求めることができることに注意しましょう。また,ダイオードの扱いは両端の電圧を比較して流れるか流れないか考えていきます(それが難しいケースでは流れると仮定して両方向の場合を求めてみますが,本問では不要です)。

元々は加速器か何かの高電圧を得るための回路で,ノーベル賞を取っているとか○本には書いてありました。個人的にはスタンガンの方がなじみがあったりします(注:簡単にできるけどつくらないでね)。

(1)
まず,P0の電位はV0です。コンデンサー1,2ともに電荷はないので,Q=CVよりV=0です。このVは電位差なので,コンデンサー間の電位差が0になるようにします。
すると,GとP1の電位は等しいのでV1=0,P0とP2の電位は等しいのでV2=V0です。

(2)
(1)で求めた電位の大小から,D1のみ電流が流れます。ただの直列に抵抗とコンデンサーをつないだ回路なので,V1=V0まで電位が上昇します。
また,相変わらずP0とP2の電位は等しいのでV2=V0です。

このとき,静電エネルギーU=CV02/2です。
また,電池がした仕事は電圧×動かした電荷なので,W=V0Q=CV02となります。

(3)
(1)や(2)と同じロジックです。
つないだ瞬間にコンデンサーの電荷は変わらないので,P1はGよりV0高くなります。よって,V0です。

一方,P0とP2の電位は等しいのでV2=-V0です。

(4)
(3)で求めた電圧的に,P1からP2に電荷が流れます。
以下のような単なるコンデンサー2個を直列につないだ回路になります。
todai_2011_phy_2a_1.png

電圧降下と電荷保存則から(V2は電荷が流れなくなるまで続くので,V1=V2は直ちに出てきますが),
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II
図2-3において,電荷移動がないならばコンデンサーの電荷は一定なので,その間の電圧も一定です。+と-につないだものを上添え字で表すと,
todai_2011_phy_2a_3.png
です。GをP-1とでもしてやれば,さっきの式の下の式より,すべての奇数Pは+-接続のいずれでも同じになります。
一方,偶数系のPはP0が2V0変化するので,+接続の方が-接続より2V0大きくなります。

これを問題文で与えられている,電圧の等式
todai_2011_phy_2a_4.png
に代入すると
todai_2011_phy_2a_5.png
となります。+接続のときにP0=V0より,等差数列なので,
V2N=(2N+1)V0,V2N-1=(2N-1)V0となります。

ちなみにこのことは,電荷移動なしだのこことあそこが等しいだのを前提としなくとも,回路をくり返し単位ごと,スイッチを入れるごとに漸化式立てていけば積み上げ式で求めることができます。

【参考】積み上げ式による解法
(I)単位回路の考察
積み上げ式で考える場合,まずは図2-2の回路においてn回+-のスイッチ切り替えを行った場合を考えます。
以下では,下添え字左側では,Pの1か2のどちらの電位であるのか(Vの場合),もしくは,コンデンサー1か2のどちらの電荷であるのか(Qの場合)を表します。
下添え字右側では,+側にスイッチを入れた回数を表します。

上添え字左側では,スイッチで繋がっているのが+か-のどちらであるかを表します。
上添え字右側では,つないだ瞬間をb,つないで十分時間経過したものをaと表記することとします。

(i)+に切り替え時(n回目)
前提として(数学的帰納法的に満たすことは容易に証明されます。)
todai_2011_phy_2a_6.png
ということで話を進めます。まずダイオードの方向から,コンデンサー1のP1側は+電荷になります。同様にコンデンサー2もP2側が+電荷になります。コンデンサーがはさんでいる電荷から,
todai_2011_phy_2a_7.png

(ii)+十分時間が経過した時
(i)において電圧がP2の方が高かったので,D2には電流が流れません。コンデンサー1の電荷がCV0と等しくなるまでコンデンサー1に電荷が流れるので,
todai_2011_phy_2a_8.png
となるまで電流が流れます。

(iii)-に切り替え時
各コンデンサーの電荷は変わらず,一方の端子の電圧が変わることになるので,
todai_2011_phy_2a_9.png
となります。

(iv)+十分時間が経過した時
(iii)において,電圧の大小からD2のみ電流が流れます。よく出てくる電荷持ちコンデンサーの直列問題なので,電荷保存則と電圧降下の式(にCをかけたもの)で解きます。
todai_2011_phy_2a_10.png


(i)と(iv)および,n=0の数値より,
todai_2011_phy_2a_11.png
となり,n→∞で収束します(つまり電荷移動がなくなります)。これらの電荷移動は図2-3の様に回路を増設していっても,増設された回路からの電荷の収支は0になるため変わりません。

(II)単位回路間の関係
(I)の結果より,増設分の1つ目ではP2とP1が図2-2の電源と同じ位置に相当し,かつ,その電位差は2V0になっています。
異なる点は,基準となる電位が,0から2V0にシフトしているだけです。

これを考慮すると増設一つ目では図2-2の回路に2V0を足したものになることがわかります。
よって,各増設分の対応する箇所の電圧は公差2V0の等比数列になり,解答で求めたものになります。

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東京大学2011年前期物理第1問
図1のように,長さlで質量の無視できる棒によってつながれた,質量Mの物体Aと質量mの物体Bの運動を考える。ただしM>mとする。棒は物体Aおよび物体Bに対してなめらかに回転でき,棒が鉛直方向となす角をθ とする。はじめ,物体Aは水平な床の上で鉛直な壁に接していた。一方,物体Bは物体Aの真上(θ=0°)から初速度0で右側へ動き始めた。その後の運動について以下の設問に答えよ。なお,重力加速度の大きさをgとして,物体Aと物体Bの大きさは考えなくてよい。また,棒と物体Aおよび物体Bとの間にはたらく力は棒に平行である。
I まず,物体Aと床との間に摩擦がない場合について考える。

(1) 物体Bが動き出してからしばらくの間は,物体Aは壁に接したままであった。この間の物体Bの速さvを,θ を含んだ式で表せ。

(2) (1)のとき,棒から物体Bにはたらく力Fを,θ を含んだ式で表せ。棒が物体Bを押す向きを正とする。

(3) θ=αにおいて,物体Aが壁から離れて床の上をすべり始めた。cosαを求めよ。

(4) θ=αにおける物体Bの運動量の水平成分Pを求めよ。

(5) 物体Bが物体Aの真横(θ=90°)にきたときの,物体Aの速さVを求めよ。Pを含んだ式で表してもよい。

(6) θ=90°に達した直後に,物体Bが床と完全弾性衝突した。その後,物体Bが一番高く上がったときθ=βであった。cosβを求めよ。Pを含んだ式で表してもよい。
 
II 次に,物体Aと床との間に摩擦がある場合について考える。今度は,θ=60°において,物体Aが壁から離れた。これより,物体Aと床との間の静止摩擦係数μを求めよ。
todai_2011_phy_1q.png


解説


少し複雑なので保存則系でせめてやる良くありがちな問題です。(6)も結局そうなのですが,求めるべき時点での速さが少しだけ気づきにくいかもしれません。

I
(1)
円運動のような少し複雑な運動は,設問でわざわざ聞かれない限り,詳細な運動(時間の関数として与えるようなもの)で表す必要はありません。こういう問題は保存則でまず考えてみるのが鉄則です。

ここではエネルギー保存則でいきます。地面を基準にすると,
todai_2011_phy_1a_1.png

(2)
円運動で力といっている時点で,向心力なんだなと気づいて欲しい感じです。中心方向の力は向心力となるので,重力も考慮して中心方向の運動方程式を立てると
todai_2011_phy_1a_2.png

(3)
物体Aにかかる力で水平方向は棒と壁の垂直抗力だけです。垂直抗力の性質上,棒の力だけ考えればOKです。作用反作用的に棒の力は-Fなので,これが右向きの成分を持てばよくなります(sinθはどうせ正なので無視しています)。
todai_2011_phy_1a_3.png

(4)
(1)にθ=αを代入して水平方向成分を求めるだけです。
todai_2011_phy_1a_4.png

(5)
AとBの水平方向の速度が一緒です。水平方向の外力がないので運動量保存則より,
todai_2011_phy_1a_5.png

(6)
完全弾性衝突ということはエネルギーロスがありません。よってエネルギー保存則でいけそうです。
一番高く上がったときにはAとBは同じ速さになるので,(5)同様に速度はVです。
初めと比較してエネ保を使うと,
todai_2011_phy_1a_6.png

II
水平方向の合力と摩擦力=μ×垂直抗力Nの比較です。
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東京大学2011年前期物理解説
東京大学2011年前期物理の解説です。第1問は(6)のみが難しめであとは標準レベルです。第2問はコンデンサーと電圧の関係をしっかり理解していること,および,ダイオードの処理の仕方が理解できているかが問われる問題で,若干難しい印象です。最後のIIは何がなんだかわからない状況になったひとも結構いそうな気がします。第3問はIIの(4)のみが標準オーバーですが,常に数学的に物理を考える練習をしてる人ならば楽勝です。

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