ひたすら受験問題を解説していくブログ
東京大学2000年前期数学第2問
todai_2000_math_2q.png

解説


複素数としてしっかりと条件を式に変換できるかが鍵となる問題です。基本をしっかりして欲しいという東大の方針通りですね。ちなみに○本さんは幾何で解いているようなのですが,私は初等幾何のセンスがないので計算ごり押しで行ってみました。興味ある人は赤○を参照してください。
なお,別解答として,複素平面上の直線と,ある点からその直線への垂線の足との関係がどのようなものであるか知っていればさくっと終わる方法を挙げておきます。

【解答】
まず,wがどういう点であるのかを整理します(wの定義とします)。ABにORが直交し,かつ,AB上にあることになるので,適当な定数kを見繕えば,
todai_2000_math_2a_1.png
証明すべきものも複素数の形にしてやります。
todai_2000_math_2a_2.png
あとは必要条件,十分条件に分けて証明していきます。

(i)必要条件
w=αβとwの定義下より,
todai_2000_math_2a_3.png

(i-i)k=-α=-1のとき
まず,αはα=1なので考えるべき円上の点です。次に,α=1をwの定義上に代入すると,
todai_2000_math_2a_4.png
となりβも円上の点であることがわかります。

(i-ii)k≠-αのとき(k≠-1でもあります)
wの定義上に代入します。
todai_2000_math_2a_5.png
となりαは円上です。このときβは,
todai_2000_math_2a_6.png
となりβも円上にあることがわかります(最後の変形はαが円上であることを使っています)。

(ii)十分条件
wを求める方針です(計算を楽にするため,一行目は分母分子を逆にしてwを分子にしています。最後は共役な複素数達はいらない子なので消しています。)。
todai_2000_math_2a_7.png

【別解答】
wが直線l上で,かつ直交するということは,lは原点と2wの点の垂直二等分線ということです。つまり,
todai_2000_math_2a_8.png
が成立していることになります(原点と2wから等距離です)。

(i)必要条件
wを代入して,それぞれα,βで除すると
todai_2000_math_2a_9.png
となるのでα,βともに考えている円上にあります。

(ii)十分条件
(i)において,逆向きの矢印も成立しています。
todai_2000_math_2a_10.png
であり,α,βを結ぶ直線lは原点と2αβの垂直二等分線になっていることがわかります。つまり,原点と2αβの中点であるαβは当然直線l上であり,原点とαβを結べば直線lと直交します。これはwの定義に他なりません。
スポンサーサイト

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2000年前期数学第1問
AB=AC,BC=2の直角二等辺三角形ABCの各辺に接し,ひとつの軸が辺BCに平行な楕円の面積の最大値を求めよ。

解説


はっきり言って,工夫も要らない作業問題です。家庭教師で教えている生徒が間違えると少し凹むレベルです。でもこんなのも解けなくて理1,2に受かっている人もいるのでなんともいえないところではありますが。

楕円の面積なので軸を2a,2bとすれば,面積はabπとなります(円の変形ですね)。なので,内接楕円のabが最大になる値を求めればOKです。以下のように座標をとってやって,辺ABと楕円が接する条件で考えます(対称性からACは無視)。
todai_2000_math_1a_1.png
ABと楕円の方程式を立てて判別式を立て,aとbの関係を求めます。
todai_2000_math_1a_2.png
abに代入して最大値を求めます。この際に,0<a<1です。また,a=0,a=1でab=0かつ3次の項が負の3次関数なので,abを微分して0になる大きい方のaを代入すればOKです。
todai_2000_math_1a_3.png

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2000年前期数学解説
東京大学2000年前期数学の解説です。簡単な問題から難しめの問題までそろっていて東大のように幅広いレベルを振り分けなければいけない入試問題としてはいい感じです。大数評価とは大分違って当てにならない私の思う難易度順は4>6=2>3>1>5です(4は大小関係を一部勘違いしてはまったというのもありますが,試験だったら時間オーバーになってしまいました。ややこしい)。理1,2なら1,5と6(1)は確実に,できれば3も欲しいかなといったところです。4,6(2)以降,2は理3向け問題でしょうかね?

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2012年前期化学第3問II
todai_2012_chem_3q_0.png
todai_2012_chem_3q_5.png
todai_2012_chem_3q_6.png

解説


吸水性ポリマーの仕組みは知らなければケはわかりにくいが,クの選択肢は明らかに除外できるものが多く易しめです。

たまには趣向を変えて,問題文を順番に見ていきましょう。Hは炭素数が3で,炭素と水素のみから構成されているので,飽和ならば分子量は44です。しかし,問題文には42とあるので,環状も含めて不飽和度は1です。

次に,酸化によって分子量が30増えたIは炭酸水素ナトリウムと反応するので,COOHを持っていると推測でき,分子量の増加分もぴったり,沸点の高さにも合致します。よってIは炭素数3,カルボキシ基のC=O以外に二重結合を1つもつカルボン酸です(環状にはなりえません)。Jは当然カルボン酸ナトリウムです。

Kはカルボン酸とメタノールなので,エステル化されたものと考えられ,カルボキシ基が消費されて沸点が低くなるのも合致します。

臭素の記述から,H,I,J,Kはすべて炭素間二重結合を有する化合物だとわかります。

ポリマーYはJを重合させたものであり,Jは炭素数3で二重結合を一つもつカルボン酸ナトリウム,つまりCH2=CH-COONaのアクリル酸ナトリウムなので,付加重合したYはポリアクリル酸ナトリウムです。

Lは炭酸水素ナトリウムと反応するので,COOHをもち,不斉炭素も有することからC3CH(OH)COOHの乳酸だとわかります。これはグルコースの分解反応によって得られるという記述と合致しています。

MはLの脱水縮合×2なので,OHとCOOHのどこが縮合するかによって,エステル×2か無水酸+エーテルが考えられます。反応の起こりやすさと,開環重合してZになることからもエステル×2がMになります。

カ:
todai_2012_chem_3a_3.png

キ:
todai_2012_chem_3a_4.png
Iは分子間水素結合を形成するが,Kは形成しないから。

沸点の違いは基本的に働く分子間力の違いです。このケースでは酢酸とかと同じで分子間の水素結合です。基本的にカルボキシ基を持っていて,それが分子内の結合に使われたりしない限りかなり沸点が高くなります(マレイン酸(分子内)<フマル酸(分子間)です)。

一方,融点に関しては分子間力に加えて,分子の対称性が重要になってきます。結晶構造は一定の方向性を持っているため,対称性があるものほどどの方向からでも結晶に組み込まれるので,固体になりやすい=融点が高くなります(融点:n-ペンタン≪2,2-ジメチルプロパン,沸点:n-ペンタン>2,2-ジメチルプロパン)。

ク (2)
次のような構造式を有するポリアクリル酸ナトリウムが水を吸うのは,以下の3,4は並行でしょうが,
todai_2012_chem_3a_7.png
1.分子自体が網目構造であり網目に水が入る
2.酸ナトリウム部分が電離し,COOが水和する。
3.COO-電気的反発により網目構造が広がる(膨らむ)。
4.2で電離したNaが水に溶けているので浸透圧が高くなり吸水する。
という機構によるものです。

選択肢を見てみると,
(1)は静電引力ではなく,静電斥力が正しいです。(2)はOK。(3)は凝集ではなく反発。(4)は関係あるのか私には不明。(5)ナトリウムイオンはポリマー内に保持され,ポリマー外から水が移動してきます。


内より外の浸透圧が高くなり,水が浸透したから。

字数制限厳しすぎてキレそうです。クで述べた吸水メカニズム4の浸透圧差が逆転して,ポリマー内部の水が外部に移動します。そのため,吸水性ポリマーでは,尿などの電解質を含む溶液では吸水性能が水と比較して小さくなります。


todai_2012_chem_3a_5.png
 
サ (3)
ポリマーXはHの付加重合なので,ポリプロピレンです。一方ZはMが開環重合したポリ乳酸といわれる生分解性プラスチックです。
todai_2012_chem_3a_6.png
XはZのようにエステル結合のような化学的に切れやすい結合を持っていません。また,結合が切れてできる生成物はZでは乳酸というグルコースの代謝によってできる物質であり,生物が容易に分解することが出来ます。

一応,選択肢を無理に検討します。(1)揮発はともにポリマーではしにくい上,繰り返し単位で切った分解物では,乳酸であるZの方が揮発しにくいです。確かに還元の可能性はZの方が高いと思いますが,だから何,といった感じです。生物的に酸化されやすいという観点ならば意味がありますけども。(3)はOK。(4)は再重合しやすいならば,分解されても元に戻るので,低分子量にはならないと思います。(5)は可能性としてZの方がOがあるためあり得ますが,無理やり出来てもC=Cが形成されるのではないでしょうか。

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2012年前期化学第3問I
todai_2012_chem_3q_0.png
todai_2012_chem_3q_1.png
todai_2012_chem_3q_2.png
todai_2012_chem_3q_3.png
todai_2012_chem_3q_4.png

解説


アの反応2は鬼畜で,反応6はいい感じです。ウは正直めんどくさい。オはコツがいる感じです。あとは普通な感じです。

ア 反応1:(3) 反応2:(4) 反応3:(9) 反応5:(8) 反応6:(7)
反応で必要な試薬がなんなのか問う問題で,各反応での違いをまずは調べ,その反応に適する試薬を選んでやります。当然,分子全体で見たら受験生が見たことない物質なので,官能基に注目して類似の反応では何を使っているのか考えてやることになります。本問において,嫌がらせとして,不明な官能基X系統があり,作問者の正確の悪さは気があいそうです。

反応1:
いきなりX系統です。目的のX1については問題文に記述がありませんが,(おそらく)それが変化していったX3については問題文に記述があり,窒素ガスを発生し,陰イオンと置換することから,X3はジアゾ基だと推測できます。
(ジアゾ基の分解ではOHと置換すると認識している人が多いかも知れませんが,実際には求核試薬である陰イオンと置換です。ジアゾ基が窒素として分解すると,ジアゾ基の+がベンゼン環に移ることになります。これを陰イオンが攻撃して置換するのですが,水中で他に目ぼしい陰イオンがなければ,求核試薬であるOHがアタックすることになり,フェノールだのアルコールだのが出来ます。)

ジアゾからX2をはさんでいくので,X2がアミノ基,X1がニトロ基だと推測でき,試薬一覧から反応1と反応5でニトロ化,ニトロ基の還元を起こす選択肢があるので,確定となります。

更に,反応1におけるベンゼン環への付加のしかたから,X1はフェノールによって電子密度が高まるオルト位についており,求電子性であり(ベンゼン環につく時点で求電子ですけど),もう一方のX1の位置からもメタ配向性を有すると推測できます(ピクリン酸を思い出して欲しいです)。これはニトロ基が合致しています。

以上から,ニトロ化なので(3)になります。

反応2:
激ムズというか赤本さんと青本さんで意見が割れていたり,複数回答を認める予備校があったりな問題です。なので,予防線を張って,私はあくまでこう考えてますよというスタンスで行きます。私を信じるか他を信じるかは好きにしてください。まあ正解がなんであれ,こんな問題出した奴は表出ろって思っています。

起こっている反応はアミノ基のアセチル化,要するにアミド結合の形成です。一見してこの選択候補になるであろう試薬の選択肢が,4,12,13,14,15と多くあります。
このとき問題として思い浮かぶのが,フェノール基がアセチル化されずにアミノ基をアセチル化できるか否かです。しかし,X1はニトロ基であり,立体的にかなり邪魔で,かつ,ニトロ基が二つもオルトについている場合には,フェノールの電子密度は高くない(そのために簡単に水素イオンがはずれますけど)と考えられます。つまりは,酸触媒によるフィッシャーエステル化はほとんど起こらないと推測できます(フィッシャーエステル化は立体障害にとてつもなく弱いです)。

以上から,アミノ基をアセチル化することだけを考えればOKとなります。アミノ基をアセチル化する場合,Nの非共有電子対が,カルボキシ基の電気的に正の炭素を攻撃することになるので,酸性下ではアミノ基がNH3になってしまい,非共有電子対がなく,反応性が悪くなります。
次に酢酸か無水酢酸かですが,塩基性条件下では酢酸はカルボキシラートイオンになってしまい,Cがもはや正に帯電していないため,求電子試薬であるアミノ基の攻撃対象となりません(エステル化でも酸性条件では酢酸と無水酢酸の両方がOKですが,塩基性条件では酢酸ではなく無水酢酸でなければならないのと同じですね)。

よって,(4)が答えになります

なお,○本の主張で4がダメな理由として,フェノール部分が塩になってしまう・・・的なのが意味を成さないことは,反応1において酸性条件下にもかかわらず,生成物のアミノ基にHがついていないことから明らかです。


反応3:
カルボキシ基にエチル基がついてエステル化しています。よって,ただのエステル化なので,エタノールと塩化水素の(9)です。

反応5:
反応1のところでも触れましたが,反応7と反応6を妄想してみれば,ニトロ基をアミノ基にしているとわかります。余計なものは色々ついていますが,つまるところニトロベンゼン→アニリン→ジアゾベンゼンのいつもの流れです。よって,水素化する(8)です。

反応6:
反応5で触れたようにジアゾ化なので,いつもの亜硝酸ナトリウムと濃硫酸による(7)です。

イ (2)
これもいつもの酸性度による電離度の違いを利用した分離です。一方を電離させ水層に,一方を電離ささずに有機層へと考えます。
フェノール基がエーテル基になっていることなので,フェノール基より酸性度の弱いというか塩基性の水酸化ナトリウムをいれてCを電離させます。電離していないDを得たいので,有機層を回収します。よって,(2)です。

ウ 0.94kg
1反応あたり0.7倍になるので,面倒ですが(0.7)9を計算します。計算してやると,
todai_2012_chem_3a_1.png
ふざけ半分に無理やりそれっぽい感じで計算してみましたが,普通に計算する方が早い気もします。

エ 53mg
チロキシンに炭素は15個あります。また,二酸化炭素の分子量は44です。よって,
todai_2012_chem_3a_2.png

オ (4)
方法としては色々ありますが,選択肢同士も比較に使うと楽な気がします。そして,個人的には不斉炭素の回転より,鏡の方が認識しやすい気がします(鏡像になっているかなっていないかを確認します)。
L型=(1) 不斉炭素を回転
(1)=(3) 問題文と平行に鏡
(3)≠(4) 不斉炭素を回転させて不一致。
(3)=(6) 垂直に鏡
(6)=(8) 水平に鏡
(6)=(5) 不斉炭素を回転
(7)=(5) 垂直に鏡

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2012年前期化学第2問II
todai_2012_chem_2q_3.png
todai_2012_chem_2q_4.png

解説


一見,白金イオンが目新しいけども,だからといって難易度は全く高くない問題です。基本がわかっていればうろたえることはないと思います。コは近似の判断で少し迷うかもです。

カ α:Ag+ γ:Zn2+

小テストレベルの基本問題です。金属ごとに必ずこの配位数でこの形という風に決まっているわけではなく,配位子によっても構造は変わるのですが,高校で出てくるものはパターンが決まっています。他に抑えておくべきものはCu2+がβだということです(実際にはヤーン・テラー効果とかいうので,上下に伸びたδ型で,普通の濃度でよく見られる4配位型ではその上下の部分に水がついていますが,通常は省略してβと答えます)。

残りのNa+とMg2+ですが,Na+は基本的に錯体を形成しにくいのですが,クラウンエーテルなどが配位することはそれなりに有名だったりします(東大98年後期でもクラウンエーテルは出題されていたりします)。Mg2+に関しては,アンミン錯イオンは形成しなかった気がしますが,EDTAとはδ型の錯体を形成します。


todai_2012_chem_2a_10.png
2つとかわざわざ書いていただかなくてもな問題です。こういう問題を解くときは結合が同じか否かを対称性から決めつつ,1配位子ずつつけていけばOKです。

1:配位可能箇所を分類します。→すべてが対称(違いはない)であることがわかります。
2:数の少ない配位子であるCl-を一つ割り当てます(自分の好みは上です)。
3:2によって配位可能箇所の対称性が変わるので再チェックです。→Cl-の対面とそれ以外の2パターン
4:残ったCl-を3で見つけた2パターンに入れます。

もう少し配位子が増えてもこんな感じで繰り返していけばOKです。

ク Fe
ヘモグロビンといったらFeです。ヘムという色素部分はFe2+の錯体で,鉄の部分に酸素が結びついて全身に運びます。鉄の部分が酸化されてFe3+になったものは酸素との結合能力が低かったりします。
ヘム自体はヘモグロビン以外にもP450やカタラーゼなど多くのタンパク質で見出されています。

尚,赤い血はヘムですが,軟体動物(一部を除く)は青い血液を持っており,これには鉄ではなくCu+(酸素と結びつく際にはCu2+)を含むヘモシアニンによるものです。銅もさまざまなタンパク質に使われています。


todai_2012_chem_2a_11.png
これはキの劣化版の問題です。全く同じように,結合可能箇所が何種類になるのかで考えて行きます(大抵対面とそれ以外がよくでてきます)。
この左,つまりcis-ジアンミンジクロロ白金(II)はシスプラチンといわれる抗がん剤です。

コ 5.0×10-4 mol/L

キレート滴定という奴です。生成定数からはカルシウムイオンとEDTAが1対1に錯体形成をすること,および,とてつもなく大きいので,カルシウムイオンもEDTAも終点では0.1%すら残らないことがわかります(ためしに入れてみればいい)。つまり全部反応すると考えてOKなので,

100x=5・0.01⇔x=5.0×10-4

となります。

【参考】キレート滴定の仕組み
EDTAはNとカルボン酸イオンのO-の部分で配位する6座配位子で,2価から4価の金属イオンとキレート錯体を形成します。本問で行っているキレート滴定ではカルシウムイオンとは結びついて色が変わるけれど,EDTAよりはカルシウムイオンと結びつきにくい薬品を指示薬にしています。例えばエリオムブラックT(EBT)といわれる薬品です。
1.EDTAを入れる前はEBTとCa2+が錯体を形成し,赤色に呈色します。
2.EDTAを入れていくと水中の遊離Ca2+がなくなってきます。赤のまま。
3.水中の遊離Ca2+が十分なくなると,EDTAはEBTからCa2+を奪って錯体を形成します。ここで青色になります(もともと青になるようにpHを調整しておきます)。

サ 活性化エネルギー
触媒といっているので間違えないで欲しい問題です。結局のところ活性錯体が別のものにかわることになるので,そのエネルギーの高低が変わるというお話ではないでしょうか。

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2012年前期化学第2問I
todai_2012_chem_2q_1.png
todai_2012_chem_2q_2.png

解説


まあ知らなくても物理選択者なら思いつくことではありますが,オは知らない人もいたのではというところです。他はほとんど典型問題です。

ア 0.115nm
ナトリウイオンの半径を求めるためには当然ナトリウムイオンを含む(a)から行きます。辺がナトリウムイオンと塩化物イオンの直径の和になっているので,
todai_2012_chem_2a_1.png
不明なのは塩化物イオンの半径です。よって(b)から求めます(このためのセシウムイオン半径です。)。いつもの立方体の対角線がの奴なので,対角線がセシウムイオンと塩化物イオンの直径の和です。
todai_2012_chem_2a_2.png

イ Na+
アと比較するために金属ナトリウムを求めればOKです。体心立方格子なので,立方体の対角線が半径の4倍です。つまり,立方体の1辺(aとします)は
todai_2012_chem_2a_3.png
ここから密度を計算すると,体心立方格子には2原子のNaがあるので,
todai_2012_chem_2a_4.png
比較のためにナトリウムイオンの半径を概算で3乗します。
todai_2012_chem_2a_5.png
よってナトリウムイオンの方が小さくなります。
(近似の方向は,ウで述べる理由からナトリウムイオンの方が小さいと予測できるので結論ありきで考えられます)


ナトリウムイオンはナトリウムより一つ内側の原子殻までしか電子が入っていないため。

字数制限が厳しいだけですね。東大は行指定で頼みます。

エ 655kJ/mol
ありがたいことにボルン・ハーバーサイクルと言われる格子エネルギー計算に必要な過程が図2-2に示されています。エネルギーの符号,係数,および,1周で0に戻ることに注意して足したり引いたりしてやると,
433+79+242/2+376-354-UB=0
⇔UB=655

頻出なので,図2-2がなくても出来るようにしといてください(図があるとエネルギーの符号が与えられている状態なので簡単です)。図が与えられていなくとも,熱化学方程式の分野は代入していけばどうにでもなります。


塩化ナトリウムはイオン結合性が強いが,塩化銀は共有結合性が強いため。

ぶっちゃけた話、赤本とかに書いてあるように共有結合性の一言でもいいのですが,まじめに考察すると次のようになります(試験においてここまで考える必要はないし,むしろ時間的に無駄ですけど)。

数値が合わないということはボルン・ハーバーサイクルのどこかが実情と合致していないと言うことになります。そもそものところUAが何かといえば,陽イオンと陰イオンを引き離すのに必要なエネルギー,つまりクーロン力の位置エネルギーの変化で,結晶の距離→∞です。結晶格子中には様々な位置に同符号と反符号の粒子が存在するため,1陰イオン対1陽イオンのクーロン力ではなく,複数の粒子を考慮したマーデルング定数(Mとします。参考参照)というのを用いて,次のように表せます(r0は結晶における最も近いイオン間の距離。クーロン力以外のイオン間の反発は無視しています)。
todai_2012_chem_2a_6.png
要するにクーロン力による位置エネルギーに比例するということなのですが,これよりもUBが大きいということは,どれかの値が想定と違うと言うことです。
・結晶格子の種類に依存するMが小さい=結晶格子の仮定が間違っている。
・r0が大きい=これも結晶格子の仮定が間違っている。
・eが小さい=各イオンの電荷がeより小さい。
のいずれかです。結晶格子が実はいびつな形をしていることに関しては,構成粒子の対称性から除外できる,もしくは,そもそも計算に算入済みの可能性が高いです(問題文に明記されていないので断言はしません)。また,問題文には格子エネルギーの定義として,”イオンを”と明記されているため,eが違うということは算入済みではないことが判り,このルートがあり得そうです。
銀はナトリウムに比べて電気陰性度が大きいため,ナトリウムに比べて正に荷電する割合が小さく,完全なイオンにはなっておらず,イオン結合と共有結合の間にあると考えると合致するということです。

高校化学ではイオン結合と共有結合をきっぱりと区別していることも多いのですが,実際には完全なイオン結合や完全な共有結合ではなく,電気陰性度の兼ね合いによって,その中間の結合になっています。

【参考】マーデルング定数と理論的格子エネルギー
マーデルング定数とかわけわからんのを出してくるなよ。単に比例するでいいじゃないか。とお思いの方もいるかもしれませんが,実は東大後期2002年で出ています。さすが「前期?なにそれおいしいの?」レベルの後期です。

マーデルング定数とは陽イオン1つと陰イオン1つという単純なクーロンポテンシャルではなく,結晶格子中に存在している全粒子から受けるクーロンポテンシャルをまとめるための定数です。つまり,最も近いイオンから受けるポテンシャル,次に近いイオンから受けるポテンシャル,その次に近いイオンから・・・・というように延々と足していったものが1対1のクーロンポテンシャルに比べて何倍かという定数です。
ジョギングしながら考えてみましたが,私には解析的に解けなかったので,あまり深入りはせずに塩化ナトリウムの場合にどうなるかを3項のみ計算してみます(興味ある人は"マーデルング Ewald”で検索すると幸せになれるかも)。

(i)最も近いイオン
距離をr0とするとただのクーロンポテンシャルです。1対1のクーロンポテンシャルを1とすれば,配位数的に6倍の6になります(座標でいうと格子点(x,y,z)で|x|+|y|+|z|=1の点なので,3C1×21=6通りです。)

(ii)2番目に近いイオン
r0√2の距離に12個の同符号のイオンが存在するので,-12/√2倍のクーロンポテンシャルになります。(|x|+|y|+|z|=2の点のうち小さいもの。(1,1,0)系統なので,3C2×22=12通りです。)

(iii)3番目に近いイオン
|x|+|y|+|z|=2の点のうち大きいものと|x|+|y|+|z|=3の最小のものを比較すると,(2,0,0)系統と(1,1,1)系統の比較なので,2>√3より,距離r0√3のものであり,x,y,zが±1をとり得るので23=8通りになります。このイオンは|x|+|y|+|z|が奇数なので,異符号のイオンです。よって,8/√3倍のクーロンポテンシャルになります。

(i)(ii)(iii)をまとめると,
todai_2012_chem_2a_7.png
となります。

さて,マーデルング定数が求まったところで,UAを求めてみますが,実際はクーロン力だけが働くわけではないので,少し違う値になります。イオン距離とのポテンシャル図を見たことある人はご存知のように,異符号のイオンと言えど,近づきすぎると反発してしまって合体はできません。この項の力も距離が大きくなると小さくなるので,そのポテンシャルの次数を-nとしてやれば,比例定数Kのもと次のようになります。
todai_2012_chem_2a_8.png
r=r0のときにエネルギーは極小値になるはずなので,
todai_2012_chem_2a_9.png
となります。なお,nはイオン半径に関わるようです。

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2012年前期化学第1問II
todai_2012_chem_1q_3.png
todai_2012_chem_1q_4.png

解説


浸透圧と,会合体の平衡に関する問題で,いかに出題者の言いたいことを汲み取り,上手く計算するかというところです。変数の数と式の数にはつねに気を配っておいてください。教えていても,式が一本足りないのにひたすら解こうとしている人が結構います。

カ PS-X溶液
浸透圧は濃度が均衡になろうとする圧力です。つまり,膜を通れるものが移動して均一になろうとします。溶媒が通ると溶液の液面に差が生じ,液面の差による圧力差分だけ戻ろうとします。これら二つがつりあうことから,液面差による圧力から浸透しようとする圧力が求められます。


浸透圧は体積あたりの溶質粒子数に比例するが,PS-Xはスチレンより分子量が大きいため,同質量でも粒子数が少なくなるため。

Π=cRT=n/V RT=w/(MV) RT
においてスチレンとPS-Xで変わるのはどれかを考えて行きます。等式の順にc,n,Mですね。どういう違いが生じるか考えてみてください。


平衡定数にぶち込みます(平衡定数を見たらとりあえず入れてみるのは基本)。初期濃度が不明なので適当にCと置いて,会合する割合も不明なのでαと置いてみます(この辺は弱酸とかと思考は同じですね)。
todai_2012_chem_1a_4.png
求めるべきはαなんですが,この時点でもう一本式がないとどうしようもないことに気づいて欲しいです。また,αはCに依存するので,Cを決める手段があるということを示唆しています(ついでにケでクを使えとあります)。このことから,問題文中に濃度に関する記述を見出すと,考えている液体は10g溶かした液体で,浸透圧が濃度のヒントになっています。
todai_2012_chem_1a_5.png
では,初めの式に戻って,普通に連立すると2次方程式になって嫌なので,近似できないかをまず考える癖をつけましょう。
todai_2012_chem_1a_6.png
スチレンより100倍以上大きい分子なので(浸透圧のオーダーから考えて),Cは”10÷スチレンの分子量”の100分の1のオーダーです。よって,左辺はものすごく小さくなければなりません。つまり弱酸同様にα≪1です。この前提の下に解いていけば,
todai_2012_chem_1a_7.png


C=4α=10/Mです。よってM=10×8.3×103/4=2.075×104≒2.1×104

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2012年前期化学第1問I
todai_2012_chem_1q_1.png
todai_2012_chem_1q_2.png

解説


凝固点降下に関する問題で,内容自体は物珍しいものではありません。ほとんどが記述なので,記述の上手さで点が分かれそうな感じです。


todai_2012_chem_1a_1.png
電気陰性度はO>HなのでOが負,Hが正になるように分極します。形については,酸素は非共有電子対を2つ持っており,共有電子対とあわせて4つの電子対をまとっています。これらが互いに反発するので,最も反発が小さい=離れた位置になるように配置しようとすると,酸素を四面体の中心において,各電子対を四面体の頂点に配置した形になります。ちなみに,非共有電子対の方が共有電子対よりも酸素近くの電子密度が高いので,その分反発が強くなります。これが水の結合角がメタンより小さい理由だったりします。


一つのナトリウムイオンに対し複数の水が,水分子の負に帯電している酸素原子とナトリウムイオン間の静電引力によって結合している。

陰イオンへの水和は正に水素原子によってなされます。水和はイオンが近くなることからもわかる通り発熱反応です。この発熱と,結晶格子をばらばらにするエネルギー,つまり吸熱反応の兼ね合いで溶解熱が決まります。


凝固していくにしたがって濃度が上がっていく=凝固点が降下していくので,点Aが凝固開始であり,そのときの濃度が元の濃度です。まずは凝固点降下から質量モル濃度(沸点上昇や凝固点降下は温度変化が不可避であり,体積で計算すると体積自体が変わってしまうため,モル濃度ではなくこちらを使います)を求めます。この際に塩化ナトリウムは電離して2倍の粒子になることをお忘れなく。

1.85×2×x=3⇔x=150/185=30/37

さて,質量パーセントに変換していきます。溶媒を1kgとして溶質と溶液の重さを出して分数にします。
todai_2012_chem_1a_2.png


凝固して析出するのは水だけであり,塩化ナトリウムは溶液部分に残ったままである。そのため,溶液の濃度が上がり,さらなる凝固点降下が起こるから。

ある濃度になると食塩も一緒に出てきます。この混合物を共晶といい,そのときの温度を共晶温度とかいいます。合金とかその辺の分野でよく聞く気がします。


水の析出にともなって濃度が増加し,凝固点がABの様に降下するが,溶液濃度が23%に達するとそれ以上は下がらないため一定となる。これがBCに対応するので-21℃が最低凝固点である。

【参考】共晶
NaClの含有量と温度によってどのような状態があり得るのかを図にしたものを塩化ナトリウムの固-液状態図(相平衡図)といいます。
todai_2012_chem_1a_3.png

23%より低い濃度の不飽和溶液を冷却していくと,不飽和溶液-氷+溶液の間の曲線に達するまで温度は下がり,曲線に達した後は水のみ氷として析出しながら曲線に沿って温度が低下していきます。23%に達すると氷と塩化ナトリウム2水和物が同時に析出していきます。

一方,飽和溶液(23~26%とする)を冷却していくと,不飽和溶液-飽和溶液+NaCl・H2Oの間の曲線に達するまで温度は下がり,その溶解度曲線に沿って塩化ナトリウムのみが2水和物として析出していきます。こちらも,23%にまで達すると,氷と塩化ナトリウム2水和物が同時に析出していきます。

このように氷と塩化ナトリウム2水和物が同時に析出してきたものを,共融混合物や共晶と呼び,そのときの温度を共融点または共晶温度と言います。

【参考】凝固点降下はなぜ起こるのか
高校生向けの回答
まず凝固についてですが,水⇔氷+Qの平衡が成り立っており,ここから熱を奪うと平衡が右に移ることによって氷ができることによるものです。ここで,溶質を加えて溶液にする場合,水の濃度は減少するため,氷になる量が減り,平衡が左にずれます(ルシャトリエ的に考えればOKです)。溶質の濃度が上がるほど,溶媒である水の濃度は減るので,凝固点降下は溶質を多く溶かすほど大きくなります。

一般向け回答
水→氷は発熱反応であり,エンタルピーの変化は負で,乱雑さは減るのでエントロピーは減少しています。よって,定圧変化において変化の方向を決定付けるギブスのフリーエナジーの変化が0になる,つまり平衡となる温度が存在します。
さて,ここで溶媒である水に溶質を溶かした場合に何が変わるかを見ていきましょう。エンタルピーは水→氷なので別に変わりません。一方,エントロピーは純粋な水よりも,溶質が混ざっている溶液であることの方が乱雑さが大きいので,水が凍ることによってエントロピーがより減少することになります。
ΔG=ΔH-TΔSに入れてやれば,水でΔG=0が成立している温度ではΔG>0になってしまい,Gが減少する方向に定圧下では変化することから,水→氷ではなく氷→水の方向に変化することになります。つまり,その温度では平衡に達しないと言うことです。
このことはエンタルピーやエントロピーの温度に対する変化量が無視できる場合に,ΔG=0となるTが,水のときよりも溶液のときの方が小さくなることからもわかります(つまり-TΔSの項において-ΔSが正かつ大きくなるので,同じ項全体で同じ値になるためにはTが小さくなる必要があります)。
ΔG=0となるTが小さくなるということは,凝固点が下がっているということです。

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2012年前期化学解説
東京大学2012年前期化学の解説です。ここのところ数学ばっかりで久しぶりの化学解説です(家庭教師の授業では化学の方が数学より多いせいか,化学お腹いっぱい感がありまして)。本年は受験生には無理だろという問題が第3問Iアの反応2で出ている以外はまあ普通な感じです。ただ,第1問IIク(難易度高)や第2問IIコ(難易度並)などで近似計算を使うことが求められており,近似への対応力でかなり差がでたのではないでしょうか。東大って近似好きですよね。平衡定数見たら近似ぐらいの勢いです(受験生時代はこの辺の判断が苦手で,結構余計な計算をしてしまっていましたが)。

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2001年前期数学第6問
todai_2001_math_6q.png

解説


問題文から何を言っているのかわからない人もいそうな問題です。そのため少し難易度は高めでしょうか。
無理やり状況を考えるならば,AとBを長さ1のひもで結んで,表が出たらAを動かす,裏が出たらBを動かすという感じで,紐の長さが1しかないので前にいる方を動かそうとすると,後ろの奴も動いてしまう状態です。

次に,こういう問題でも,対称性のチェックは重要です。AとBを交換しても問題は変わらないので(表裏は変わるが意味はありません),AとBは対称です。

(1)
nからn+1への動き方を考えてつなげることになります。こういった場合には,やり方が変わるもので場合分けしてやります。つまり,a=bかa≠bかです(A,Bが対称なので,A>BとA<Bと分けなくてOKです)。a=bのときは片方だけ動くので,必ず次にはa≠bになり,どちらが前に出るかの2通りです。a≠bのときは前のが動くか後ろのが動くかがそれぞれ1通りあります。表にまとめると(答えは右上です)
todai_2001_math_6a_1.png

(2)
ただの漸化式問題です。
todai_2001_math_6a_2.png

(3)
aの期待値のことです。期待値の基本は,値×確率の和ですが,独立試行の期待値のごとく,各回で得られる期待値を足してもOKです(独立じゃなくても各回の期待値を求められればいけます。要するに期待値の階差数列的な考え方になります)。

Aの期待値を直接求めてもいいのですが,対称性からAの期待値=Bの期待値なので,A+Bの期待値を2で割って求める方が少し楽な気がします。。

各回の確率は(2)の途中で求めているので(Xn/2n),A+Bの期待値Enの表を作ってやります。a=bのときは片方しか動かないので+1,a≠bのときは1/2で片方のみの+1,1/2で両方の+2になります。
todai_2001_math_6a_3.png
よって,
todai_2001_math_6a_4.png

となります。

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2001年前期数学第5問
todai_2001_math_5q.png

解説


長々しくて読むのも打ち込むのも嫌になる問題ですが,内容自体は悪くない論理問題です。起こり得る事象を整理し,最後について聞かれているので,最後から逆向きでいけないのか考えます。

起こりえる事象は
(i)水量が変わらず最後まで残る
(ii)水量が増えて最後まで残る
(iii)途中で取り除かれる
となります。

(1)
(ii)か(iii)であることを示せとのことです。直接考えてみても出てこないときは,背理法を試してみることは定石です。その場合,(i)が起こりえないことを示せばOKです。

初めに述べたように,逆向きに考えます。
(i)の状態ではxと1-xのビーカーが存在します。これを逆向きに操作するとなると,水が増えていないxのビーカーではなく,1-xのビーカーの水を他のビーカーに分けてやることになります。
さて,分割後の量ですが,xのビーカーが操作の対象にならなかったということは,分割後の2つのビーカーの水の量はx以下である必要があります。
つまり,三つの段階の水の総量は3xより小さい,つまりx<1/3なので水の総量が1未満になってしまいます。これは矛盾します。

よって,(i)の状態はあり得ず,それ以外の(ii)(iii)しかあり得ません。

(2)
同じく背理法で処理すると,(ii)(iii)があり得ないことを示せばOKです。

(ii)
xに水を追加すると言うことは,ある時点において,水量がx以上となるビーカーが存在すると言うことです。しかし,初めはどのビーカーもx未満なので,このx以上のビーカー(Aとします)は操作によって増えたビーカーということになります。
また,ビーカーA以外にもxに追加することになるビーカー(Bとします)が存在しています。x以外に今考えているビーカー3つ(Aになる二つのビーカーとB)のうちで,少ない2つを足すとAになるので,2つの液量の和はxより大きくなり,Bの液量は2番目に多いビーカー以上の水量がなければならないので,少なくともAの半分以上,つまりx/2より以上となります。

以上から,ある時点での水量の合計が,x+x+x/2=5x/2以上になり,x>2/5ならば1リットルを超えてしまいます。よって(ii)は起こりえません。

(iii)
途中で取り除かれると言うことは,x以上の水量のビーカーがxを含めて3つあることになります。よって,全水量は3xより多くなり,x>2/5ならば1リットルを超えてしまいます。よって(iii)は起こりえません。

つまり,(i)しかあり得ません。

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2001年前期数学第4問
todai_2001_math_4q.png

解説


複素平面と数列の融合問題です。本問題は複素平面の問題ですが,当然ながら座標として扱っても解けます。

bについて聞かれているので,bについて整理します。bの定義をaの漸化式に導入するためにはan+1で割ってあげればOKです。
todai_2001_math_4a_1.png

(1)
求めた漸化式よりn=2,3求めると,
todai_2001_math_4a_2.png
となります。卑怯な方法ですが,円上と言われているので,運がよければ直角三角形や正三角形が得られ,すぐに円が求まるかもしれません。いくつかの組み合わせで引いて角度を計算してやると,
todai_2001_math_4a_3.png
となってビンゴです。つまり,b1,b2を直径とする円になります。よって,中心は中点なので,1/2となり,半径は|1-2i|/2=√5/2となります。

(2)
見るからに数学的帰納法が第一選択肢です。
(i)n=1,2,3のとき
(1)よりというかCの定義から明らか。

(ii)
n=kのときにbkがC上に位置すると仮定します。証明すべきn=k+1の式は
todai_2001_math_4a_4.png
です。2乗して左辺を漸化式を利用して変形していきます。
todai_2001_math_4a_5.png
n=kの要素で表せたので,C上という条件が活用できないか考えます。同じように計算するとbkと共役な複素数の積や和が出てくるので,それを活用します。
todai_2001_math_4a_6.png
代入します。
todai_2001_math_4a_7.png
となりn=k+1においても円C上にあることがわかります。

(i)(ii)より,すべての自然数nにおいてbnは円C上に存在します。

【別解答】座標利用
bの漸化式を求めるところまでは同じです。
(1)
本解答と同じように求めます。次に,座標表記にして円の方程式に入れます(実部がx軸,虚部がy軸です)。
todai_2001_math_4a_8.png
となり中心(1/2,0),半径√5/2です。

(2)
座標表記なので,x成分,y成分の漸化式が欲しいです。bn=xn+yniとでもおいて考えて見ます。
todai_2001_math_4a_9.png
円の方程式の左辺に代入してみます。
todai_2001_math_4a_10.png
となり数学的帰納法でC上の点だとわかります。

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2001年前期数学第3問
todai_2001_math_3q.png

解説


c(t)を求めるまでは基本中の基本という問題です。c(t)を求めた後は,c'(t)<0がすぐには示せないため工夫が要ります。この工夫は本問特有のものではなく良く使うものなので,今回でマスターしてしまいましょう。

必要もないですが,とりあえず図にすると(わかりにくいですがaは下側ではなく三角形です),
todai_2001_math_3a_1.png
まず,aを求めます。3座標からなる三角形の面積なので,ベクトルの外積÷2で(高校生ならコツコツ求めてもいいと思います),
todai_2001_math_3a_2.png
bは三角形の曲線の下部分になりますが,求めるのが大変そうなので,曲線の上(図の濃い色)を求めてaから引いてやります。PQの直線を求めて積分すれば,
todai_2001_math_3a_3.png
となります。このc(t)を微分してt>1で負になることを示せればOKです。微分する上で,分母がめんどくさそうなので,分母分子にtをかけた上で微分します。
todai_2001_math_3a_4.png
これが負ということですが,分数のような複雑な形をする場合には,符号が考えている変域で不変となる部分を除外して考えることが出来ます。よって,t>1より2>0とt2-1>0を除外すると,示すべきものは
todai_2001_math_3a_5.png
となります(整式の分数は後に微分することを考えると簡単にしておけば楽です)。つまりt>1における最小値が0より大きいということなので,微分してやります。
todai_2001_math_3a_6.png
とつねに単調増加になるので,境界の値であるt=1を調べて0以上ならOKです。
todai_2001_math_3a_7.png
となり,c'(t)はつねに負である,つまりc(t)がt>1で単調減少関数であることが示されました。

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2001年前期数学第2問
todai_2001_math_2q.png

解説


もしf(x)が整式ならば誰もが解いたことのある感じの問題です。ただ,sinとcosが入ってきて邪魔しています。この場合に,同じ手法が使えないのか試みることは解法を考える基本ではないでしょうか。

整式の場合は適当においてやり(1次ならばax+bのように),積分して恒等式で解くことがよくあるパターンです。
本問では,sinxやcosxも次数の一種だと考えて恒等式でせめればOKです。

ただ,問題は他にもあります。被積分関数が一見xとyをきれいに分離できないことです。まあ形から明らかに,加法定理でいけることになるのですが。
todai_2001_math_2a_1.png
となります(最後のA,Bは未知の定数です。積分のsinxなどのyによらない部分を積分の前に出してやって,積分は定積分で定数になることからこう置けます)。そしてこれを改めて代入してやります。計算の際には三角関数の直交関係(参考参照)を利用してやると早いでしょう。
todai_2001_math_2a_2.png
これが恒等式なので,
todai_2001_math_2a_3.png
一意的な解A,Bを持てばいいので,これらの直線が平行(一致も含む)にならないことが条件です。係数の比でやっても連立方程式の行列式≠0でも同じです。
todai_2001_math_2a_4.png
改めてAとBを連立方程式から求めると,
todai_2001_math_2a_5.png
いきなり=Bとすんなり来ているのは連立方程式を単に引いてやればA=Bがすぐ得られるからです(対称性ってやつですね)。


【参考】三角関数の直交性
大学生の皆様はご存知の内容です。フーリエ級数展開とかその辺に書いてある基本事項です。区間[a,b]における関数の内積(f,g)を
todai_2001_math_2a_6.png
と定義して,これが0の時には直交するとか言います。ここで,次の一連の関数たちが,区間[0,2π](これは1周期ならいいので,[-π,π]でもOKです)において,互いに直交であることを証明してみます。
todai_2001_math_2a_7.png
まず,1との積ですが,計算は簡単なので省略して結果のみ書いておくと,
todai_2001_math_2a_8.png
次に三角関数同士の内積ですが,そのままでは積分しにくいので,
todai_2001_math_2a_9.png
と変形して考えると,n≠mならば,さっき考えた1との積を2種類加えただけになるので,いずれも0となります。また,最後のsincosのやつのみn=mでもsin(n-m)x=0となるため,同様に考えて0になります。

次に,sin同士,cos同士でm=nのケースですが,普通に計算して,
todai_2001_math_2a_10.png

となります。計算するまでもないですが,1同士の内積は2πになります。
以上から,初めにあげた関数たちは自身以外とは直交する関数ということになります。

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

模試の成績について

Q


東京大学理科Ⅱ類を目指している○○と申します。
先週末にあった河合塾の東大模試が全然解けなかったのですが、この時期にほとんど手が出ないようでしたら志望校を下げることを考えたほうがいいのでしょうか。

A


正直なところどの程度できないのかわからないのでなんともいえません。

でも,模試は所詮模試であると言うことです。
東大模試なんて問題が薄っぺらいくせに難易度を上げようとしているため参考程度にしかならない別物です(スーパーのプライベートブランドみたいなものです。高校生にはわかりにくいかもしれませんが)。
ただ,別物ですが相関はあるのは確実です。
これに関しては東大受験生に京大模試を受けさせても上位者は受かりやすいという結果が出ると思いますが,そりゃそうだよね、という話です。

解けなくて心配なようならば,もっと信頼のおける問題,つまり,過去問を解いてみてください。
過去問が解けなければ本番でも解けません。
特に東大さんのように受験層が安定している場合には,合格点をとれるか否かだけを気にしてよいので,模試のメリットである受験者内の順位の情報は大していらないことになりますし。

最後に,志望校を下げるかはどれだけ東大に行きたいかです。
下げたところに行って仮面浪人になるなら下げないほうがいいし,きっぱり諦められるなら下げてもいいと思います。
無責任なことを言うと,E判定でも受かる奴は受かるので,自分が納得できるよう,好きにすればいいと思います。

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2001年前期数学第1問
todai_2001_math_1q.png

解説


簡単な図形の問題ですが,世間で言うところのヒラメキが少し必要なため,誰にでもすぐ解けるというものではありません。ですがヒラメキなんてのは言い訳であり,つまってからどう考えるのかが,数学だと思ったりします。

三次元が嫌ならば,二次元で考えてみることをお勧めします。この問題は次数を落とすとこんな感じです。

半径rの円上に3点A,B,Cがある。三角形ABCの各辺の長さは,AB=√3,AC=BC=2を満たしている。このときrの値を求めよ。

これならかなり解きやすくなります。まず作図の段階で,仮にxy座標に描くとしたら,以下のようにABがx軸(もしくはy軸)に平行,かつ,中点がy軸(もしくはx軸)上にくるように描くのではないでしょうか(これは実は重要な考え方で,ABのみが対称性を崩している要素なので,ABの中点を考えることによって,対称性の崩れを緩和してやろうという考えです)。
todai_2001_math_1a_1.png
そして,OC=OBなんて条件式を立てて、OM(またはOC)を未知として計算するのではないでしょうか(OC=MC-MO,OBは直角三角形OMBで考えます)。

では,憎き三次元でも同じ感じのものは使えないかと考えてみます。まず,図の描き方として1つだけ異なるABを例えばz軸に平行にとって,かつ,中点Mがxy平面上になるように描いてやります。そして,Cは2次元では垂直二等分線上だったので,CおよびDはABの垂直二等分面上の点であることがわかります。つまりMCDは中心Oを通る面上(xy平面上)にあることがわかります。
todai_2001_math_1a_2.png
結局確かめたいことは,OA=OCなので(OBはOAと対称,ODはOCと対称です。),Aの座標,すなわちMの座標がわかればOKと,Cの座標がわかればOKです。二次元の場合と同様にOM(またはOM')を未知として計算して出してやることになります。

とりあえずMCD同一平面ということがわかったので,わざわざ三次元にこだわる必要はありません。二次元に逃避しましょう。
todai_2001_math_1a_3.png
不明なのはMC=MDです。これはMとCを含む別の三角形を探すとABCがあり,三平方の定理によって,
todai_2001_math_1a_4.png
となります。二次元のときのABCでもCMは求める必要があったので,形が似ているCDMもMM'を求めます。
todai_2001_math_1a_5.png
Oに近い辺の方が長くなるため,AB<CDよりMM'はOをはさむので,OMを未知数としてOA=OCを立てると,
todai_2001_math_1a_6.png

無駄に長々としてしまいましたが,結論としては二次元が一番ということでした。

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2001年前期数学解説
東京大学2001年前期数学の解説です。発想力と定石をバランスよく含んだセットです。ただ,全体的に簡単めな気がします。第5問は詰め込み学習で解法をひたすら頭に入れてきた層(結構東大合格者でも半分以上はいる気がします。)には難しい気もしますが,そうじゃない層にはそんなでもないただの数学パズルです。
私の考える難易度順は6=5>3>2=1>4ぐらいでしょうか?

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2002年前期数学第6問
todai_2002_math_6q.png

解説


見慣れない感じの問題ですが,群論だのオイラーの定理だのの話を聞いたことあると割りとすぐに見えてくるものがあるのではないでしょうか。闇雲に考えるとなると(3)は難問で,(2)の適切な誘導がきらりと光ります。
このように余りで操作を考えることはよくあることです。例えば受験史上最難問とか言われている東大後期1998年第3問(グラフの論証)も,余りで操作を考えていけば解けた記憶があります。

(1)
単純に3回やってもいいですが,有限要素の置換(入れ替え)操作は多くとも”要素数の階乗+1”回以内に繰り返すので(鳩ノ巣原理),繰り返し構造ありきで1回目の操作を見ていきましょう(Nまでは順に偶数,N+1以降は順に奇数)。
1→2
2→4
3→6
4→8
5→1
6→3
7→5
8→7
となり,順にたどれば,1→2→4→8→7→5→(1)の繰り返しと,3→6→(3)の繰り返しの2グループに分かれます。
さて,3回のシャッフルなので,右に3ずれればいいことになります。でも,答えるときは1がどこに来るよりも,1番目が何かの方が手っ取り早いので,逆向きに3戻りましょう。
{8,7,6,5,4,3,2,1}
きれいに逆向きになるんですね。

(2)
aになるかbになるかで挙動が違うので場合分けします(abの境目に対して対称なので,本当は全く同じ挙動なんですけどね)。

(i)1≦k≦Nのとき
偶数を順に占めるので,f(k)=2kです。よって,f(k)-2k=0≡0(mod 2N+1)

(ii)N+1≦k≦2Nのとき
N+1がbの1項目,つまり,k-Nがbの何番目かであり,奇数を順に占めていくので,f(k)=2(k-N)-1です。よって,f(k)-2k=-2N-1≡0(mod 2N+1)

(i)(ii)より,f(k)-2kは2N+1で割り切れます。

(3)
2N+1の余り基準で考えれば,1から2Nの整数はすべて識別できます。(2)より,
f(k)-2k≡0(mod 2N+1)
なので,
f(k)≡2k(mod 2N+1)
です。よって,2n回繰り返せば,
f2n(k)≡22nk(mod 2N+1)
になるので,
22n≡1(mod 2N+1)
を示せばOKです。

2N+1=2n+1
であることから,
2n≡-1(mod 2N+1)
であり(ここで(1)で丁度逆順になっていることも思い出すといいかもしれません),
22n≡1(mod 2N+1)
です。

よって,
f2n(k)≡22nk(mod 2N+1)≡k(mod 2N+1)
となり,置換である以上
f2n(k)=k
にしかなりえません。

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2002年前期数学第5問
todai_2002_math_5q.png

解説


k/nの時点で例のアレがほぼ確定です。

点Pkの座標はk/nをxに置き換えてやれば,一瞬でy=1-xの0≦x≦1だとわかります。あとは三角錐の体積を求めるだけです。QkはPkからの距離が1なので,QkOPkが直角三角形であることに注意すれば,
todai_2002_math_5a_1.png
Vkを求めてlimΣを計算します(以下ではベクトルを活用していますが,普通に求めてもいいと思います。)
todai_2002_math_5a_2.png

なお,積分の計算は半径1/2の円の半円として計算しています。

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2002年前期数学第4問
todai_2002_math_4q.png

解説


とりあえず定石どおりQを文字でおいてやれば後は最後までなんの障害もなくな問題です。
きっと存在条件とかあるので,判別式か,2次式以外なら微分して最大最小でも求めるのでしょうね。というところまではすぐに見えるようにしておきましょう。

要するにPQを結べばそれが法線というだけなので,Qのx座標をtとでもして条件式を出してみます。t=0以外で調べるので,t≠0としてOkです。
todai_2002_math_4a_1.png
これが満たすべき条件式で,これが0以外のtで成立する条件を探せばいいことになります。t2+1=Xとでもおいて処理しやすくします。当然X>1が変域です。左辺をf(X)とし,X>1で解をもつ条件をもとめればいいので,値域を求めようとしてみます。微分して,
todai_2002_math_4a_2.png
よって,単調増加なので,X=1,∞の値を検証すればOKです。
todai_2002_math_4a_3.png
解をX>1で持つためにはf(1)<0なので,a>1/2となります。

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育