ひたすら受験問題を解説していくブログ
東京大学2014年後期総合科目II第2問A
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解説


総合科目2でも頻出の微分方程式の応用問題です。微積に抵抗がなければ大した問題ではないといえます。抵抗がある人はA-4あたりで完全に詰む問題ですけどね。

(A-1)
図2-1の側面の面積を求めます。側面の扇形の中心角をΦとでもして,
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ここから高さ1-hの円錐部分を引けばいいので(面積なので比は2乗),
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(A-2)
変数分離形といわれる典型的な微分方程式の解法で,設問に解き方まで載せてもらっているのでただ積分するだけの問題です。形的に高校数学の要領に則って置換積分でいけとのことなので,
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初期条件を入れて積分定数Cを求めます。
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(A-3)
一定の紫外線が当たっているだけなので,n(0)=N(1)なだけで,さらにKがK|cosθ|になるだけです(照射面積が斜めになっている分1/|cosθ|倍になっているためです。)。cosθはθが側面と底面のなす角にもなっているので(側面から垂線を引いて直角三角形でも作ってください),
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(A-4)
微小な高さdhごとに円錐を切って,その帯ごとに(A-3)を適用してやります。その際にその帯びにはdN(h)個いて,光の強さはKをK(1-h)に変えてやることになるので(一つ目の”=”の後から考えた方がわかり易いですが,初めのは参考までに),
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注:途中で積分の方向を逆にしています(u=1-hと置き換えている感じですね)。
尚,分母に0があり,問題文に”t=0”とか書いてあるので,一応t=0を定義すると,N(1)になります。

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東京大学2014年後期総合科目II第1問B
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解説


やっていることは本年度で一番高度ですが,問題を解く上での補題的なものが問題文に書かれているため,難易度は並以下になっています。ここでは補題部分も証明しつつ解説します。満点狙いの方は,補題自体をどう導いているのか(証明ではなく何故この補題を考えたか)も考えてみると面白いかもしれません。

(B-1)
”Σ振り分け回数×確率”なので,ある振り分け装置の骨格(振り分け先は違うがコンベアの形は同じ)があった場合,振り分け回数の少ないところから1/2,1/4,3/16,1/16と埋めていくことがその骨格の最小の行き先割り当てです。また,異なる骨格では,1/2の回数が1少なくなることは,他の振り分け回数が1増えること以上に時間を短縮します。よって,1/2をまず振り分け,1/4とそれ以外で同じことを考えると,1/4だけ振り分けるものが最小だと分かります。よって,以下のような振り分け装置の組み合わせが最小で,計算すると,
1/2+2×1/4+3×(3/16+1/16)=7/4
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ちなみに,他の骨格は次のものしかないので,総当り余裕です。
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【参考】
ずるいといわれそうですが,証明は必要ないとのことなので,(B-2)とF1の内容を使ってしまいます(B-1下に記載の前提はB-1でも満たしています)。1/16と3/16が最長かつ隣になるものでOKだと分かります。

(B-2)
同じ骨格においてD1と振り分け時間の異なる任意のDkを交換してやることを考えます。交換前から交換後を引くと,
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となります。初めのものが最適な組み合わせならば,右辺≦0になりますが,P1<Pkかつt1≠tkなので,t1>tkとなります。つまり,D1の振り分け時間t1は最大となります。

次に,振り分けの終点では必ず2個の同一時間のものが生じるので,t1と同じtkが存在しますが,t2<tkならば,先ほどと同様にD2とDkを交換してやると,時間が短縮できてしまい,最短であるという仮定に矛盾してしまいます。

【参考】F1
もし最適かつD1とD2がとなりあっていない組み合わせがあるとしても,D1とD2は最長の時間であり,D1には同時間のペアDiが存在します。このDiとD2を交換しても振り分け時間に変化はなく,交換後も最適な組み合わせであり,D1とD2は隣り合っています。

(B-3)
D1,D2はともに一回の振り分けが免除されているので,それぞれ1単位ずつかかる時間が小さくなっています。D1,D2以外の振り分け時間は変わらないので,平均振り分け時間はP1+P2だけ小さくなり,
T'=T-P1-P2

【参考】F2
Sが最適ではないとすると,Sとは異なり,かつ,(B-3)を満たす最適な組み合わせS''が存在します。Sとこの最適な組み合わせのいずれの場合にもD1とD2を一緒にしてしまえば,(B-3)より,ともにP1+P2だけ小さくなるので,S'の平均振り分け時間はS''由来のものより大きくなるので最適にはなりません。
よって,S'が最適ならばSも最適になります。

(B-4)
順にF2を使っていくだけです。つまり小さいもの同士を次々に隣り合うようにして合併していくことになります。すると,最終的にできたものが最適な組み合わせならば,F2によって順次最適だと判定が下せるということです。"81分の"を省略して書いていくと,
todai_2014_sogo2_2a-3.png

となります。枝分かれ部分の数字を足して81で割れば平均振り分け時間になります。
(81+48+21+9+33+15)/81=23/9

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東京大学2014年後期総合科目II第1問A
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解説


ゲーム理論といわれる経済学の一分野の問題で,ほぼ同一の問題がゲーム理論の教科書にも載っているぐらい有名な問題です(載っている本の例は大学生向けになりますが,本記事の最後に挙げておきます)。1~3はクールノー複占市場に関する問題で,簡単ですが場合分けを忘れてしまいがちです。4は情報不完備(ゲームの情報を全て持っていないこと。本問では相手の費用に関する情報が確定したものではありません)なクールノー複占市場の問題で難しめです。

というか初めて解いてみた時より式がとんでもなく膨大になっているんで,何か大きな見逃しをしていると思います。

(A-1)
問題文の利潤の式に代入して最大値となるq1を求めるだけです(このq1のとり方を最適応答対応といいます)。利潤は,
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となります。ここでq1≧0なので,頂点を含められる場合と含められない場合で分ける必要があり,
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(A-2)
均衡点の定義から,ともに相手の生産量(戦略)に対して最適応答対応になっています(均衡点について興味ある方は”ナッシュ均衡点”や本問の場合は”クールノー・ナッシュ均衡点”あたりで検索してみるといいかもしれません。)。つまり,企業2においても(A-1)の添え字を入れ替えたものになります。ここで,問題は場合わけがあることであり,均衡点において生産量が0となる戦略があり得るのか考える必要があります。q2=0とした場合を考えてみると,
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このときの企業2の最適応答対応は,
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となり,初めに置いた最適応答q2=0よりもいい戦略が存在することになり,均衡点であることに矛盾します。また,添え字を入れ替えれば,同様のことがq1=0に関してもいえるので,
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これは
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となり,連立方程式の前提q1>0を満たしています。また,添え字を変えても同様に成立します(絶対値が出てくる辺りが添え字の交換を考慮した式展開です)。

(A-3)
つまり,均衡点が市場全体として最適であるか否かです(パレート最適とか言った気がします)。まじめに利潤の和を考えて平方完成してもいいのですが,コストが低い企業のみが作ったほうが利潤は大きくなるので,単位コストが一定であることから,コストの低い企業2が全力の場合が利益が最大になります。よって,q1=0にしてやればいいことになります(このときにq2≧0になることは既に(A-2)で議論済みです)。
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次に(A-2)との比較ですが,(A-2)の企業1,2の和から引いてやると(q2はq1の添え字を入れ替えただけです。),
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(A-4)
相手のコスト情報を確率的にしか分からない場合はその期待値で考えようということなので,企業2の生産量の組を所与とした場合のq1Lを利潤から求めると,
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他のものも添え字とH,Lを入れ替えただけのものになります。
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H>Lより,企業1と2のいずれでも0になる条件はqLの方がqHより厳しく,0にならない場合でもqH≦qLが成立します(等号成立はともに0の場合のみ)。さて,場合わけが面倒なので,0になるケースがあり得るかで考えます。対称性から企業2の生産量が0か否かで考えます。

(i)q2L=0,q2H=0のとき
この場合,
todai_2014_sogo2_1a-10.png

となりq2L=0に矛盾します。

(ii)q2L≠0,q2H=0の場合
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となり,q2H=0に矛盾します。

(iii)q2L≠0,q2H≠0の場合
ただの連立方程式です。期待値に直してやれば,
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となり,(A-2)のコストが変わっただけです。結果に代入してやれば,
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次に引いて比較してやります。
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まあ当たり前に(A-4)の方が小さいです。これは相手が高コストの雑魚企業の可能性があるその分だけ有利になることから明らかな気もします。


【参考】ゲーム理論の教科書(大学生向け)
次の本において1~3のほぼそのまま(解法は一部が練習問題扱いです),4は一般化してコストを離散的ではなく連続的にしたものが取り扱われています。左の新版は手元にないので章数が分からないというかもしかしたら載っていないかもしれませんが,右の旧版では1~3が第2章6節(1),4が第5章7節(4)において扱われています。
全般的なゲーム理論に関する本としても,日本語で書かれたものの中では割としっかり書かれているので,ある程度数学ができてゲーム理論に興味がある人にはお勧めな気がしなくもないです。


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東京大学2014年後期総合科目II解説
東京大学2014年後期総合科目IIの解説です。相変わらずの応用数学っぷりですが,割と取り組みやすい感じです。難易度は第1問Aの最後,第2問Bの最後が難しめで,あとはまあ普通な感じです。出題分野としては第1問Aが経済学のゲーム理論の有名問題,第2問Bが経営工学とかオペレーションズリサーチとかその辺の問題,第2問Aが生態学の問題,第2問Bが工学系の力学っぽい問題です。

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京都大学2014年前期数学第6問
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解説


角度を上手く把握でき,積分も上手くできれば計算量が変わってきます。もし上手くできなくてもやっていることはただの積分なので,計算量は増えますが,数学としての難易度は並な感じです。

まず対称性をチェックすると,どちらの直線もx=yに対して対称です。交わる2点のうちで,x=yより下側のものをAとしても問題に変化はありません。A(a,1/a)とすると,lの傾きは,-1/a2です。一方,OAの方は1/a2となります。この時点で,対称性に気づければ一方の傾きにマイナスをかけたものなので,x軸となす角もマイナスをかけたものになっています。つまり,1/a2はtan(π/12)ということになります(これに気づかなければtanの加法定理からaを求めることができますが,π/12と気づきにくいです)。
よって,円の半径をb,としてC1とともに極座標として考えれば(原点からC1への距離をrとします),
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積分を計算すると,
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半径bを求めます。
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以上から,
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京都大学2014年前期数学第5問
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解説


割り切れるとかいう整数問題の解法は因数分解して因数の振り分けが基本です。これをしっかり忠実に守れば普通に解けてしまう問題ですが,この普通が結構苦手な人は多く,もしかしたら難しいという評価を下している予備校とかがあるかもしれません。

81で割れるというので因数分解します。

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この右辺が81で割れるということは,パターンとして因数分解した左側=(a+b)が81で割れる,81で割れないが27で割れる,27で割れるが9で割れる,9で割れないが3で割れる,3で割れない。という場合が考えられます。この際に因数分解の右側の3で割れ具合も検討することになります。(a+b)の割られ具合は場合分けしているため分かっており,右側部分も(a+b)を利用して割られ具合を考えてやると便利です。よって,

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として考えていきます。右側の3abが9で割れない3の倍数であるため(∵a,bはともに3で割れない),右側全体はa+bが3の倍数のときは9で割れない3の倍数,a+bが3で割れない場合は3で割れなくなってしまいます。
このことからa+bは27で割れなければいけません。そしてそのときは右側が3の倍数になるためOKです(結局場合分ける必要すらなくなりました)。

a+b=27kですが(kは整数),a+b=27がもっともa2+b2が小さくなります(全てのa+b=27kなるa,bに対してをa,bから合計27(k-1)引いてやれば,a+b=27になるa,bに対応させることができます。当然前者のa,bは後者以上なので,a2+b2も大きくなります)。また,a+b=27ならば,
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となり,27/2に最も近い自然数aで最小になります。よって,(a,b)=(13,14),(14,13)であり,このときa2+b2=365です。

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京都大学2014年前期数学第4問
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解説


ポイントとなるところは2点だと思います。要するにどういうことなのかが把握できるかどうか,分数関数の取り扱いに慣れているのかというところです(慣れていない私は微分して極大極小をとるxが気持ち悪くなった段階まで行って引き返しました)。

まず,本問で言っていることは,xを色々変えるとf(x)がある範囲になり,そのf(x)の範囲のすべてのf(x)が条件を満たすということです。そしてそうなるa,bの範囲を求めるということになります。

後ろから行く方が楽なことが多いので(前から攻めると余計なことをしてしまう場合が多くなる気がします),f(x)の条件を求めます。
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となります。あとは全てのxでf(x)がこの範囲にくるようにa,bを考えます。f(x)は分数関数なので,まずすべきことは不連続点を洗うことです。
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より,f(x)に不連続点はありません。よって,さっき求めた区間の両方に属するということはあってはなりません(例えば,f(x)=0なるxとf(x)=3なるxが存在した場合,連続性から中間値の定理よって,f(x)=3/2なるxが存在してしまいます)。

なので,適当なxを入れてどちらの区間に入りそうか考えることになりますが,a,bによって変わってきてしまうので難しそうです。しかしこれまた分数関数なので,limをとった場合に収束する値は分母と分子の次数の違いから簡単に求まりそうです。
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なので,-1≦f(x)≦1にすべてのf(x)が入らないといけないことになり,
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図にすると次の境界部分を含むです(交点書くの忘れましたが)。
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京都大学2014年前期数学第3問
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解説


基本問題ですが小骨があるので,近年の腑抜けた京大数学だと中の下程度の難易度でしょうか。小骨というのは,途中式をきれいに変換できるか,cosθ=tなどと置き換えて最大や最小を考える問題で,θとcosθの増加が逆なのを忘れないかというあたりのことです。

まず,図に描くまでもなく,この分野の三角形の面積といえばsinを使ったアレなので,2辺とその挟む角のsinが知りたいです。辺の長さといえば正弦か余弦です。この場合は∠Aと対辺のBCが分かっているので正弦が楽です(というか計算も正弦の方が楽なので高優先度です)。
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また,∠Cの角度も∠Aで表せるので面積Sは(途中から∠Bにしているのはcos∠Bを求めろといわれているからです。)
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まず,三角形になる範囲かチェックします。0<∠B<2π/3なので-1/2<cos∠B<1を満たすか考えます。
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さて,ここでS'はcosの2次関数なので,極大になるのは変数を増加させた場合に導関数が正から負に変わるほうであり,一見すると±の-の方に思われるかもしれませんが,dcos∠B/d∠Bが負なので,cosは負向きに変化させねばなりません。よって,cos∠Bの負向きの変化によって正から負になる+の方が極大であり,0<∠B<π/3に置ける唯一の極値なのでこれが答えです(c=cos∠BとしてS'を∠Bで微分することを考えれば,dS'/dc・dc/d∠Bとなり,dS'/dcに基づく符号の判定,つまりcと置き換えた場合の符号判定とは正負が逆になるということです)。

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京都大学2014年前期数学第2問
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解説


STAP細胞さんのD論が面白すぎて,更新の時間が・・・。アレって中学生の教え子がやってもマジ切れレベルですね。そういう関係ない話はさて置き,本問はくっそ簡単すぎて特に言うこともないレベルの確率の問題で,さくっと漸化式を書いて終了の期末試験レベルです。まあでも,漸化式を立てられないって人も世の中にはいるので一応試験問題としては機能しているのかもしれません。

まず,同じ頂点にいるか違う頂点にいるかの2パターンしかありません。

あるnで同じ頂点にいたとすると,n+1では1/2(2つ目の粒子が1つ目と同じ方向に動く確率)で同じ頂点、1/2で違う頂点です。
一方,あるnで違う頂点にいる場合,n+1では1/4(BとCにいた場合は共にAに移る場合しかあり得ない)で同じ頂点,3/4で違う頂点です。
よって,漸化式を求めてp(n)を求めると
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【別解答】
粒子1も粒子2も独立なので,粒子1が各点にいる確率を考え,それを2乗すれば同時にその点にいる確率が求まります。
Aにいる確率をA(n),Bにいる確率をB(n),Cにいる確率をC(n)とします。B,Cの対称性から
B(n)=C(n)
であり,
1-A(n)=B(n)+C(n)=2B(n)
です。また,1秒ずらして考えると(もしくはAとCからくることを計算すれば),
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2乗して足すと,
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京都大学2014年前期数学第1問
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解説


確定申告に追われて更新できず恐縮です。ベクトルによる直線の方程式がその内容ですが,書かれていることを数学的な表現にしていくだけの問題で,簡単すぎて落とせない問題です。

まずはl,m,n上の点P,Q,Rをベクトルの表現で表します。通る点のベクトルに方向のベクトルを何倍かして足せばいいので,P,Q,Rは
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と表せます。垂線という条件からPQ⊥v,PR⊥wです。よって,内積=0より
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これをPQ2+PR2を計算して最小値を考えます。
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これはr=0の時に最小値7をとります。このときp=2r=0であり,Pの座標はAに一致します。

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東京大学2014年前期化学第3問II
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解説


作るもの自体は文3は標準的ですが,カルボン酸の代わりに酸塩化物(酸クロリド)を使うため,なじみのない受験生もいたかもしれません(重問あたりで使っていた問題があった気がしますけど)。また,ケやコは盲点になっている受験生もそれなりにいそうで,サシスは数理能力のない人は引っかかりであり,まずまずの難易度でしょう。
文4では見慣れないものをつくりますが,基本の反応の応用に過ぎないので,丸暗記ではない受験生には何の苦もないでしょう。ソも一見難しそうですが,あまり理解せずに書いても当たってしまう感じです。


ナイロン66なので炭素数が6のアジピン酸がベースです。このOHをClに置き換えます。
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なお,カルボン酸誘導体の反応のしやすさは,Cの電荷がどれだけ+になるかが鍵です。これはカルボン酸の反応がCの+に対しての求核反応が基本だからです。よって反応性としては,
酸塩化物>酸無水物>エステル>アミド
であり,反応性の高いものから低いものへの変換は容易で,逆は難しくなっています。

ケ (4)
縮合の際にはHClが出ます。生成物が溜まると平衡的に不利なのはもちろんのことですが,アミノ基の求核性(+を求める)はNの非共有電子対によるもので,H+濃度が上がるとH+がNに配位結合してしまい,アミノ基の反応性が落ちます。

(1)そもそもZにカルボキシ基はありません。しかもカルボキシ基はpHを高くすると電離して陰イオンになるため,Cの+が減少して,カルボン酸の反応性は低くなります。
(2)(3)初めに述べたように縮合は加速します。縮合速度を抑えるとどうなるかは私にはわかりません。どうなるんでしょうね。
(5)なんのために酸塩化物を使っているのか。
(6)なぜ普通に熱しないのか。

コ (1)
水酸化ナトリウムを溶かすほうが極性溶媒の水だと考えられます。酸塩化物は水に溶けないこともあり,もう一方は有機溶媒ですが,水より重い有機溶媒なので,クロロメタン系です。よって1です。


r<1なので,アミノ基の方が多いということです,よって,全てのカルボキシ基はアミド結合に使われてアミノ基があまります。できる高分子は
N-N-C-C-N-N-・・・・-C-C-N-N
のようになります。もともとあったC-Cの個数はNx/2であり,N-Nの個数はNy/2です。できる高分子に使われるN-NはC-Cよりひとつ多いので,Nx/2+1であり,残りはNy/2-Nx/2-1となります。高分子も加えると全分子数はNy/2-Nx/2です。Ny/2は使えずrを使えとのことなので,
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計算するだけです。
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ス 1.0%
過剰分は
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なので,それありきの変形で計算しましょう。
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アミンと酸塩化物の反応なので,HClがぬけてアミド結合です。また,アクリル酸は二重結合を持つので,付加重合します。アクリル酸(酸-COOHにアクリル基CH2=CH-)を忘れていたら困る問題ですが,以下のような反応になります。
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ソ a:アミド b:イソプロピル
親水っぽい結合なんてアミド結合しかありません。アミノメタンでは温度による溶け方の変化はない(溶けっぱなし)ので,アルキル基の大きさによって溶け方が変わるのだと考えられます(この辺はOH1個だとCが3つまで水に任意の割合で溶けて,炭素数が多くなるほど溶けないことは基本事項かと思います)。

【参考】溶解度の温度依存性
ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)の溶解度の温度依存性に関しては,低温の方が単純に水素結合が切れにくいということだけではなく,疎水性相互作用が高温の方が強く働くことが原因です。
疎水性相互作用は自然界が乱雑な方向(エントロピーが増大する方向)に向かうことに由来しています。一見,疎水基を向け合って凝集することはエントロピーが減少するように思われるかもしれませんが,まわりの水のエントロピーも考えると増加しています。これは,疎水基が水に入った場合に,疎水基付近の水素結合が切れ,水が疎水基をかご状に取り囲む構造(メタンハイドレートも同じようなかごに閉じ込められてますよね)をとり,乱雑ではなく規則的な構造になってしまうからです。このような規則的な構造をできるだけ減らすには,疎水基と水が接する面積をできるだけ減らしてやればいいことになり,疎水基を内側に折りたたまれます。
これのどこに温度上昇が関連するのかというと,定圧定温下ではギブスの自由エネルギーの変化が負になるように世の中はできています。ΔG=ΔH-TΔSであり(Hはエンタルピー,Tは温度,Sはエントロピー),エントロピーの影響は温度が高いほどその絶対値が大きく負です。よって,温度が高くなると,エントロピーが増加する方向に進みやすくなります。つまり,疎水基が集まるほうが有利となります。

【参考】刺激応答性ポリマー(通称:スマートポリマー)
さまざまな刺激に対して応答するポリマーが研究されていて,なかなかホットな分野です。本問で扱われたポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)は32度で溶ける溶けないが変化する温度応答性ポリマーであり,例えば温度変化で薬物放出を制御する素材なんかの研究がされているようです。
他にもpHの変化に応答するキトサンゲル,酵素とpH応答性ポリマーを用いたグルコース応答性ゲル,光応答性ゲルなどさまざまなものがあります。

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東京大学2014年前期化学第3問I
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解説


多糖に関する問題で,あまり出さない宣言していた気がしますが,問題自体はア以外は多糖の知識を問うようなものではないので,私はありだと思います。カが第2問ウと同様で原子レベルの酸化数を考える問題であり,このぐらいは押さえとけよ受験生ということなのでしょうか。


半分知識問題ですが,有機のヘミアセタール化を思い出してみれば,①の炭素には2つの配置が考えられるので,その一方だとわかります。よって,OHとHが逆のもの(βグルコース。OH基が全て隣と逆配置で最も安定な構造)を選びます。

これだけでは,ひとつのCについた基が上下逆の2パターン考えられるので,どれが上か決めてやる必要があります。Oの反時計周り隣のCにCH2OHが上側につくか,時計回り隣のCに下側に着くかのいずれかを探します。

以上から,(1),(2)がOK
(3)は交互じゃない,(4)は交互じゃないしCH2OHが逆,(5)はCH2OHが逆,(6)は交互じゃないので違います。


銀鏡反応を示すアルデヒドの割合が小さく,反応速度も小さくなるから。

アンモニアと反応するのは図3-1の記述で言う鎖状分子のアルデヒドです。水中において,βが60%強,αが40%弱,残りがアルデヒドであり,かなり少ない割合しか存在しません。反応物の濃度が小さくなるとその過程の反応が遅くなることは反応速度論などで学習済みでしょう。


銀が還元されて出てくるということは,アルデヒドは酸化されています。よって,カルボン酸ができるということになります(酸化数変化の比的にアルデヒド1molに銀が2molです)。まず元となるアルデヒド型ですが,ヘミアセタールをアルデヒドに戻すことを考えます。
京都大学2013年第3問bの参考でも述べていますが,もともとアルデヒドにROHがROとしてついて,HがアルデヒドのOについてOHになる感じです。つまり,環構造中のOがROHのOで,そのOについた炭素についているOHがアルデヒドだったということになります。これを考慮してアルデヒドに戻して酸化すると,
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となり,最後のものが答えです。

エ (3) (5)
還元性を示す部分はアルデヒドになる部分,つまりヘミアセタールのOH(図3-1でいう①についたOH)です。これが結合に使われるとアルデヒド構造に戻れなくなるので,このOHが残っていないものを選びます。
(1)(2)は左右端に残っています。(3)は残っていません。(4)は右端だけ残っています。(5)は残っていません。(6)は左右端に残っています。

オ (C30H50O25)n+2n H2O→(C6H10O5)2n+n C6H12O6+n C12H22O11
DCとCB間が切れるので,繰り返し単位で,-AB-とCとEDがひとつずつできます。そしてその際に,加水分解なので水が2個追加されます(生成物のほうは水の追加で考えるよりもできる構造が水分子何個分少ないかで考えるほうが楽です)。よって,AとBは同じなので,
(C30H50O25)n+2n H2O→(C6H10O5)2n+n C6H12O6+n C12H22O11

カ 4.3g
こういう問題は繰り返し単位で考えます。繰り返し単位の分子量は810なので,8.1/810=1/100 molの繰り返し単位があります。加水分解後のアルデヒド基は-AB-にはなし,Cは1つ,EDも1つなので,2/100 mol。銀はその2倍なので,4/100molです。銀の分子量は107.9≒108なので(有効数字は2桁なので3桁までは丸めてOK),4.32gとなります。

キ 4個
条件2からCに2つをどうつけるかになります。Cにつく個数が排反な事象で分けやすいでしょう(排反な事象に分けるのは数え上げの基本です)。Cに2個つくパターンは条件3によって1パターンですが,これはCをBとしてみることができるため,条件2によって不適です。Cに1つつくパターンはCの④と⑥のどちらを使うか,さらにそのグルコースにグルコースをつける場合に,④と⑥のどちらを使うかになるので,2×2=4パターンです。

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東京大学2014年前期化学第2問II
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解説


物質の溶けやすさがどのように決まるのかの問題です。新研究とかで見たことのある受験生は少し対応しやすかったのではないでしょうか。

ク a:3 b:4
イオン化傾向が高い金属ほど水と激しく反応します。酸に溶けるか溶けないかは,水素よりもイオン化傾向が大きいか大きくないかで,水素よりもイオン化傾向が小さい銅や銀は溶けません。溶かすにはどうするかというと,酸化剤で酸化物にしてやれば塩基性酸化物として酸に解けるようになります。

ケ 8HNO3+3Cu→2NO+3Cu(NO3)2+4H2O
問題文にもありますが,とりあえず私が覚えている事項は希硝酸ならNOで,濃硝酸ならNO2です。これだけ覚えていれば書けるでしょう。希硝酸の場合の酸化数変化は+5→+2なので-3の変化です。一方,銅は0→+2の+2変化なので,化学式の骨格は

2HNO3+3Cu→2NO+3Cu+2+2H+4O-2

いつも通り酸素と水素の比をあわせるために,8-2=6のH分のHNO3を足してやります。

8HNO3+3Cu→2NO+3Cu(NO3)2+4H2O


コ c:2 d:1
式(1)のQが大きいほど,つまり発熱反応であるほど溶解度が大きくなるようなので(大学生向けに言えば,発熱反応ということはΔHが負であり,ΔGも負になりやすいということです),つまり,イオン化の吸熱過程は絶対値が小さく,水和の発熱過程は絶対値が大きいとQも正の大きな値になります。式で書くと,

Q=Qイオン化+Q水和=|Q水和|-|Qイオン化


e:
式(3)にそれぞれ代入して求めて差をとります。
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f:
同じく式(6)をそれぞれで求めて差をとります。
todai_2014_chem_a2_6.png

シ α:2.2×102 kJ・mol-1・nm β:5.6×101 kJ・mol-1・nm
代入してやるだけです。
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”絶対値の変化量”って書かれている意味がわからないのですが,とりあえず溶解熱がどうなるかで考えます。B-Aなので,正だとBの溶解熱が大きいということです。

セ 最も高いLiI 最も低いLiF
参考にある事項から,定性的にLiの半径は小さいので,イオン化の際に相手のイオン半径の影響が強く出てしまうことから,陰イオン半径の小さなFが溶けにくく,大きいIが溶けやすいと計算しなくても推測はできます。
まじめに計算するにしても数値代入は赤本にでも任せるとして,多少誘導を無視して数理的に解いてしまいましょう。相手のイオン半径を陽イオン半径rのx倍だとします。
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となり,x=1でQ'は負から正になるので,極小値です。したがって,全陰イオンがこのxより大きい値なので,近いほうから極小に近い溶解熱になり,LiF<LiCl<LiBr<LiIの順の溶解熱になり,溶解度もその順です。

【参考】イオン半径が溶解度に与える影響
よく挙げられる例としては,2族元素において,硫酸塩と水酸化物の各金属の溶解度が逆転する現象です。硫酸塩の溶解度はBe>Mg>Ca>Sr>Baですが,水酸化物ではBe<Mg<Ca<Sr<Baとなります。
なぜこのような逆転現象が起こるのかですが,陰イオン半径が大きい(硫酸イオン)とQイオン化は陽イオン半径に余り依存しなくなり(本問の式(3)参照),一方で,陽イオン半径が小さくなるとQ水和はその分大きくなるからです(本問の式(6)参照)。
逆に陰イオン半径が小さい(水酸化物イオン)とQイオン化は陽イオン半径が小さくなると急激に大きくなり溶けにくくなります(水和の方も当然大きくなりますがイオン化の変化が勝ちます。)

以上を図でまとめると,
todai_2014_chem_a2_4.png

のようになり,陰イオン半径が小さくなると水和は上シフト,イオン化は右シフトになるため,陰イオンが小さいものでは陽イオンが小さいものはイオン化が難しくなって解けなくなってしまいます。
一方,大きな陽イオンではもともとイオン化に要するエネルギーはある程度平らな範囲にいるので,陰イオンが小さくなってもそれほど影響は受けず,むしろ陰イオンが小さくなったことによって上シフトする水和熱の増加の影響を主に受けることになります。

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東京大学2014年前期化学第2問I
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解説


ウのような有機物の酸化還元反応は考え方を知らない人も少なからずいそうです。あとはカのような理論値からズレた理由を問う問題は過去にも出ており,今回は簡単ですが多くなる場合や少なくなる場合に結局何が考えられるのかを論理的に導けるかどうかです。

ア K2Cr2O7+2KOH→2K2CrO4+H2O
ニクロム酸イオンはpHによって可逆的にクロム酸イオンになります。価数が変わらずに+6であることを覚えていれば作ることができると思います。


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2-プロパノールが酸化されるので,アセトンになります。

ウ 8.6×10-1 mol・L-1
酸化還元反応なので,酸化数の変化を基準に式を立てていきます。
まず,ニクロム酸カリウムの方はクロムひとつ当たり+6→+3で(あんまり意味がないですが緑色ってのもヒントです),酸化数変化は-3です。ニクロム酸カリウムとしては-6の変化です。

次に,2-プロパノールの方は変化がある炭素で考えます。
ヒドロキシ基がついている炭素の酸化数は,その炭素についている元素と結合の本数から算出できます。Hと2CとOがそれぞれ単結合なので,-1+2×0+1=0が酸化数となります。一方,反応後のアセトンですが,2Cが単結合でOが二重結合なので,2×0+2=+2となり,酸化数変化は+2です。

以上から,次の化学式の骨格が決定します。
K2Cr2O7+3CH3CH(OH)CH3→3CH3COCH3+2Cr+3+6H+7O-2+2K
あとは硫酸でHなどを補います。酸素と水素の比的に14-6=8だけHが足りないので硫酸4つ追加します。
K2Cr2O7+3CH3CH(OH)CH3+4H2SO4→3CH3COCH3+Cr2(SO4)3+7H2O+K2SO4

この化学式から反応したニクロム酸イオン:アセトン=1:3だとわかります。
アセトンの分子量は58なので,ニクロム酸カリウムの濃度をxとすると,
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(一応プロパノールが十分あるかについてですが,プロパノールの比重的に2mlでは1g以上はありそうなので,生成物のアセトンの質量と比較するとプロパノールが余ってニクロム酸イオンが全量反応したと考えられます。)

エ 9.8×10 kJ
触媒では活性化エネルギーは変わるけれど,生成物と反応物のエネルギーが変わるわけでもないので,発生(吸収)するエネルギーも変わりません。

オ H2S 1,3
硫化鉄と希硫酸を混ぜて熱するので,弱酸遊離というか揮発酸が出てくるというかの反応で,硫化水素が出てきます。
性質としては水に微量に溶けて電離するので弱酸性であり,分子量は空気の平均28ぐらいよりも大きいため下方置換で収集します。硫化水素は無色で腐卵臭のする気体であり,5は塩素,6は二酸化窒素ではないでしょうか。


硫化水素が溶解したままであり,硫化物イオンが過マンガン酸カリウムと反応するので,その分鉄が多く見積もられてしまうから。

100%を超えるということから,硫化鉄を定量する物質と反応してしまう物質があると分かります。ここでは過マンガン酸カリウムで鉄(II)を酸化して定量しているので,鉄(II)と同様に酸化される物質が煮沸しないと残ることになります。
入れているもの的に硫化水素しか還元力を持つものはありませんし,”煮沸=気体を追い出す”というのは常識レベルなので,硫化水素が完全に合致します。

キ 96%
硫化鉄っぽいものを1gとかしたものを滴定しているので,ここに硫化鉄が何g入っているかということです。つまり,鉄のモル数を出して計算することになりますが,鉄は+2→+3の+1変化で,過マンガン酸カリウムは+7→+2の-5変化なので,5:1で反応します。過マンガン酸カリウムは分子量158,硫化鉄は87.9なので,
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1g中0.961gなので,96%です。

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東京大学2014年前期化学第1問II
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解説


反応次数に関する問題で,よく「化学式を書いて,その係数を次数にすれば反応速度の式が立てられる」的なことを聞くかもしれないですが,実際はそうではないケースも多いというお話です。
内容的にはコサが上手く式をいじれない人は苦手かなという感じです。律速段階だとかボトルネックだとかそういう話を聞いたことがあると大分話が飲み込めたのではないでしょうか。

カ 吸熱
I2中のIは閉殻構造をとるのでI原子2つよりも安定であり,結合を切る際にエネルギーを要するため。

キ 右に移動する
温度を上げるとルシャトリエの原理によって吸熱方向に反応が進む。反応6の正反応は解離であり吸熱反応だから。

こういうのは大抵ルシャトリエです。変化を打ち消す方向ってやつですね。大学では平衡定数を圧力一定の元で微分したもので考えます。そもそもルシャトリエってただの経験則にすぎませんしね。

ク 活性化状態(遷移状態)
化学反応途中の高エネルギーの状態をこう呼び,その中間体を活性錯体と呼びます。この活性化状態と反応前の状態のエネルギー差が活性化エネルギーです。
今の高校では活性化状態で習いますが,遷移状態の方がなじみがあるのは私がおっさんだからでしょうか。

ケ 1.59×102 kJ・mol-1
6と7が起こった結果が4の9kJの発熱です。よって,
-150+Q=9⇔Q=159


常に平衡なので,”K=”の式が成立しています。
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サ [I2]にのみ比例する。
(6)の正反応が起こるとすぐにIが消費されるということになるので,Iのできる速度がすなわち全体の速度になります。このように一連の反応の中でボトルネックとなって全体の反応速度を決めてしまう反応段階のことを律速段階といいます。流れ作業をしていて一人遅い人がいるとその人の処理速度で決まってしまう感じですね。

したがって,Iのできる速度は[I2]に反応速度定数をかけたものになるので、[I2]に比例します。

【参考】計算による解法
I濃度が一定になると仮定します。6の正反応の定数をk,逆反応をkとします。
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コはk≫k2なので
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サは(実際は平衡が成り立たないので[I]は一定ではないですが)k2≫k,kより,
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【参考】化学式の係数と反応次数や平衡定数の関係
本問のように”反応速度式の次数≠化学式の係数”のケースはありますが”化学平衡の次数=化学式の係数”は常に成立します。高校では反応速度がつりあう的な議論で証明するため成立しないように思うかもしれませんが,化学平衡は反応速度式から来るものではなく,熱力学関数である自由エネルギーの減少からくる概念です。反応速度式的な考え方は全く必要としないので”反応速度式の次数≠化学式の係数”でも,”化学平衡の次数=化学式の係数”が成立します。


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東京大学2014年前期化学第1問I
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解説


基本的内容がほとんどです。1gあたりの燃焼熱を計算するのは少し珍しいですが,受験層を考えると特になんの効果もないでしょう。とはいえ,ウで蒸発熱を忘れたり(使えって書いてあるので気づくべきですが),エあたりの理由を上手くかけなかったりで,化学が苦手な層は失点を重ねるかもしれません。ていうか字数制限はやめて欲しいです。昔の行に戻して欲しい感じです。

ア 1.4×102 kJ
(1)は水素1mol当たりであり,水素は1molは2gなので,286÷2=143kJです。

イ 1.2×102 kJ
結合エネルギーによる算出で生成される水は気体で,(1)では液体なので蒸発熱分差が出るから。

結合エネルギーはその結合ひとつを切るのに必要なエネルギーなので,表から(省略した状態は全て気体です)
H2=2H-436kJ
O2=2O-496kJ
2H+O=H2O+2×463kJ=H2O+926kJ

以上を(1)の左辺に代入していきます。
H2+1/2 O2=2H-436kJ+O-248kJ
=H2O+926kJ-436kJ-248kJ
=H2O+242kJ

です。これを1gあたりにするため2で割ると,121kJです。
ちなみにウによると水の蒸発熱は44kJらしいので,足すと燃焼熱はぴったり286kJと(1)に一致します。

ウ 5.6×10 kJ
(1)と(2)をあわせると(気体は状態省略),
CH4+2H2O=4H2+CO2-165kJ
=4(H2O+242kJ-1/2 O2)+CO2-165kJ
=4H2O-1/2 O2+CO2+803kJ
となります。整理すると,
CH4+1/2 O2=2H2O+803kJ
=2H2O(液)+891kJ
となります((1)と同じ液体の状態までします。)。メタンは1molで16gなので16で割ると,約55.7kJです。

エ H原子側
最外殻はLiはL殻でHはK殻であり,小さい半径のH側に電子がある方が低ポテンシャルだから。

基本的に安定な構造をとるようになります(つまり,エネルギーが低い状態になろうとします。)
ここでは主にクーロン力を考えることになるので,電子のポテンシャルエネルギーは”-原子核から受ける電荷/距離”に比例することになります。

また,これを踏まえて共通な部分と異なる部分を考えると,共に原子核が電子に与える影響は+1の電荷分で共通です。何が違うのかというと,最外殻がLiはL殻でHはK殻になるため,電子と原子核の距離に違いがあり,距離が小さいほうがポテンシャルエネルギーも小さくなります。よって,Liの周りを回っているよりも,Hの軌道に入ってしまったほうが安定化することになります。

オ 9.6 mL
図1-1の8分の1の立方体で考えると,1辺が0.2nmであり,水素もリチウムも1/2個入っています。したがって,これが1mol集まると(つまりアボガドロ定数をかける)LiHが1/2 molということになります。つまり水素0.5gなので,2倍すればいいので,
(0.2nm)3・6.0×1023・2=9.6cm3

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