ひたすら受験問題を解説していくブログ
京都大学2014年化学第1問b
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解説


受験生なら嫌というほど目にしてきた結晶格子の問題です。基本的な事項が多いですが,硫化亜鉛型(閃亜鉛鉱型)の問題はもしかしたら解いたことのない人もいるかもしれません。そのため,問5のfと問7は少し差が出た気もします。

問7 c:6 d:12 e:4 f:12
これ系の問題は頭の中でイメージしてもいいですが,空間把握があまり得意じゃない私などには一番近いもの以外はミスが出ます。そのため,パッと見で分かりにくいものは格子点の問題として解いてやってもよいでしょう(c,eは目でわかり易すく,eにいたっては亜鉛と硫化物の座標系がずれているため数学で解くほうが混乱を招きそうですけど)。

c:
見るからに6個です。

d:
辺の半分を1として,あるナトリウムイオンを点(0,0,0)とすると,(1,1,0)の組み合わせが考えられます(ナトリウムは偶数のみ占有)。並び替えは3C2=3通りです。±は22=4通りとなります。よって,3×4=12通りです。

e:
見るからに4個です。

f:
亜鉛を原点に,辺の半分を1だとすると,組み合わせとしては(1,1,0)になります(亜鉛は座標を足して偶数のみ占有)。並び替えは3C2=3通りです。±は22=4通りとなります。よって,3×4=12通りです。

問6 g:0.41
図3のまん中で考えます。結晶格子の辺の長さをaとして,両イオンが接する条件と,陰イオン同士が接していない条件で考えます。
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問7 0.22
結晶格子の辺の長さの半分をaとして8分の1の格子で考えます。
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問6と同様に両イオンが接する条件と,陰イオン同士が接していない条件で考えます。亜鉛が8分の1の格子の中心にあることを考えれば(対称性より中心です),対角線がa√3なので,
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京都大学2014年化学第1問a
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解説


硫化物に関する問題で,極めて普通の問題です。後半の溶解度積は難関校では頻出なので,少なくともこのレベルはすんなりいけるようにしておくべきです。

問1 ア:1 イ:2 ウ:1
ア:
粉末にすると表面積が大きくなるため,酸素との衝突回数も多くなります。その一定割合(温度依存)が反応するので,反応速度も大きくなります。

イ:
反応熱は生成物と反応物のエネルギー差なので変化しません。たとえこれが反応に必要な活性化エネルギーであっても,活性錯体(活性化状態)は同じなので変化はありません。

ウ:
定性分析の流れを覚えていればまず間違いません。銅は塩酸を入れた後に硫化水素を通じて,亜鉛はアンモニアで中和してから通じていたはずです。いずれも硫化物として沈殿し得るイオンですが,銅はの方が沈殿しやすく,酸性条件下の低い硫化物イオン濃度でも沈殿します(問4参照)。
たまに,勘違いしている受験生がいますが,銀なども酸性条件で沈殿します。系統分離は各イオンを識別できるように上手く設計されているだけで,あとに行う操作で操作前に沈殿として取り除いたイオンが沈殿しない保証などありません。

問2 2ZnS+3O2→2ZnO+2SO2
酸化できる元素はS-2のみです,なので,これが酸化されると次に酸化数の大きいSかその次のSO2になるのが一般的です。Sになったとしてもそのまま酸化されてしまいますし,気体と問題に明記されているので,SO2になります。

問3 2H2S+SO2→3S+2H2O
②では弱酸の塩と強酸を混ぜるので,弱酸遊離が起こります。強酸を混ぜると
H2S⇔H+HS⇔2H+S2-
の平衡が左に移行して硫化水素が発生します。
尚,酸化力のある酸の場合は酸化力の強さによってSやSO2,H2SO4が発生します。

H2SとSO2の反応なので,酸化還元が起こります。それぞれ硫黄になるので,酸化数変化は+2と-4であり,逆比の2:1で反応します。

問4 a:9.0×10-16  b:1.0×10-5 
溶解度積はただの平衡定数です。例えば,
CuS⇔Cu2++S2-
の平衡の場合,平衡定数は
K=[Cu2+][S2-]/[CuS]
ですが,固体部分は一定なので,省略して
Ksp=[Cu2+][S2-]
として扱います。

ただの平衡定数なので,ある状態のイオン濃度を代入して平衡定数より大きければ左に反応は進み(析出),小さければ右に進みます(溶解)。そして片方のイオン濃度が分かっていれば,代入することによってもう一方の濃度の最大値を計算することができます。

まず,CuSの場合,硫化物イオンの濃度を代入すると,平衡状態では[Cu2+]=9.0×10-16であり,もともとあった[Cu2+]より小さいので析出の結果9.0×10-16になったことが分かります。

次に,ZnSの場合,同様に代入すれば,[Zn2+]=9.0×10-1となり,もともとあった量より大きくなってしまいます。なので,全部解けたままであるため、元からあった1.0×10-5が答えです。

受験技術的にいえば,全く同じ内容を聞いてくる意味はないので,一方は沈殿が生じて一方は生じないとかの推測はして欲しいところですね。また,他のハメ手としてはAg2Sのように溶解度積が1次ではないものがあるので注意してください。

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京都大学2014年化学解説
京都大学2014年化学の解説です。簡単な問題がかなり多くい印象です。見慣れない事項が多いことは多いですが,基礎を覚えるのではなく理解している受験生にはかなり取り組みやすいはずです。第4問のaはアミノ酸の構造を細かめに覚えているかグルタチオンだとわからないとうっかり落としてしまうかもしれません。

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東京工業大学2014年数学第5問
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解説


言われていることを淡々とこなしていく感じの問題です。微積や数列と総合的な問題で,それぞれやっていることは期末テストに毛が生えたレベルですが,まとまると一応本年の中ではそれなりの難易度です。

(1)
初めから一般で求めてもいいのですが,流れに沿って普通にk=1で求めます。接線l1を求めます(接線にも添え字で番号をつけることとします)。
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Cからこの直線を引いて解の範囲で積分します(接点が重解なので,他の交点は1つしかありません。また,どう因数分解できるかは(x-1)で2回割れるのですぐ求まります。)
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(2)
直接求めるか漸化式かの2択ですが,明らかに一つ前の値に依存しているので漸化式でしょう。xk-1を所与だとしてxkを求めます。(1)と同じ手順です。接線を求めると
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これとCを連立させますが,このとき何で割れるかは明らかです。
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ここでxk=-1/3となる場合,
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となるため,x0も-1/3となってしまい矛盾します。さて,あとはこの漸化式を解くだけです。
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(3)
こういう聞かれ方の問題はSkが求まればただ代入するだけ,求まらなければレベルが少し上がって上手くはさみうつことになるでしょう。今回は前者で,まずSkをもとめてΣに代入します(積分の計算は無理やり偶関数,奇関数でやっていますが,普通にそのままやっても,xk-1だけずらしてもいいでしょう)。
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東京工業大学2014年数学第4問
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解説


典型問題ですが(3)が少し計算が面倒でしょうかという感じです。回転による座標変換は行列だろうが複素平面だろうがしっかり対応できるようにしておきたいところです。

(1)
行列で(t,s)を45°回転させると,
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(2)
つまり,xとyがともに1つに定まるようなy=aなので,条件を緩和する,すなわち必要条件で考えれば,yが1つに定まるy=aです。よって,
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なので,この判別式は0になります。
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このとき,解tも一つに決まり,xにそのtを代入すればxも一つに決まります。よって,a=-1/8です。

【(2)別解答1】変換前の座標で考える
逆の操作を考えれば,x軸,y軸はそれぞれt軸,s軸を-45°回転させた軸で,また,y=aも同様に-45°すればt,s座標に移せます。つまり図にすると(y=aは点線です),
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y=aは当然s=-t+a√2なので,2次関数と連立させれば本解答と同値な式になります。

【(2)別解答2】x,yの関係式を求める
x,yの関係式を求めてしまってもいいです。(1)を上手く変形しても当然求められますし,より一般的にはs,tをx,yで表して,s,tの関係式に代入してやります。
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となり,y=aでただ一つの解を持つ場合は(判別式でもいいです),a=-1/8となります。

(3)
y軸周りの回転体なので,まずはxとyで式を立て,その後tに変換していきます(Rは右側曲線,Lは左側曲線です)。
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【(3)別解答1】バームクーヘン(別に簡単になりません。)
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【(3)別解答2】tを介さないバームクーヘン(別に簡単になりません。)
普通のバームクーヘンにおいてx,yの関係式((2)別解答2参照)をyについて解いて代入,
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【(3)別解答3】無理やりパップスギュルダン
必要なのは回転軸からの距離と,面積です。まず簡単な方の面積は,
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次に距離ですが,t,s座標系の重心から求めます。まず,t方向の重心はただの2次関数(上で積分した関数)と同値なので,tG=1/2√2です。一方,s方向はt軸周りの回転体からパップスギュルダンで逆算します。
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y軸からの距離が分かったので,パップスギュルダンに代入します。
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東京工業大学2014年数学第3問
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解説


自分が解いてみたときの感想はただ、ただ、めんどくさいというものでした。こういうものは遷移の仕方をしっかりと押さえて,それを漸化式にしてやるという基本を徹底すれば解けます。

まず,A,B,Cで点がどう動くかを考えます。点(x,y)に各操作を加えると,
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となります。x,yの入れ替えと符号がつくだけなので,(0,1)スタートならば,(0,±1),(±1,0)の四点にしか行きません。図にしてやれば,
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となります。

(1)
まず,n=1の場合からいきます。図の上からはじめるので,Cとなる時のみ(0,1)になり,p1=1/3です。一方,点(0,-1)に1回で行く経路は存在しないので,q1=0です。

次にn=2の場合ですが,1回目にCに滞在したものはCで(0,1)にいれますが,(0,-1)にはいけません。1回目で左右(±1,0)に移動したものは(0,1)にも(0,-1)にも1/3でいけます。よって,
p2=3×1/3×1/3=1/3
q2=2×1/3×1/3=2/9

(2)
図から漸化式を立てます。(±1,0)にいる確率をrnとすると(±でまとめないで分けてrとsで表してもいいですが,図を見て分かる通り,全ての操作が1/3の確率なので2点は全く同一だと扱えます),
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最後のはお決まりのです。第1式と第2式の差から,
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足す方はrnが残るので,第4式で消してあげて,
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(3)
(2)で求めた漸化式を解いて連立します(解く際には(1)でn=1求めていますが,n=0に拡張してもいいです)。まず解くと,
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足して2で割ると,
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【別解答】
(2)のようにやらなくてもrnを求めていけます。第3式と第4式を連立して,p,qを消すと,
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という感じに変形して求めることができます。ポイントは∴以降の変換が典型二種類の混在になっているので、影響を与えない方の典型パターンから順に当てはめて変形していっていることでしょうか。まとまりごとに別の数列で置き換えていないのは単に面倒なだけですので,適当に脳内補完していただけると幸いです。

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東京工業大学2014年数学第2問
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解説


平均値の定理のcがどの程度になるかに関する問題で,(2)で求めるt/aより必ず大きくなるという問題ですね。とりあえずこれ系の不等式の基本手順を繰り返すだけの問題で,難易度は簡単目だと思います。

(1)
まず,(1)も(2)も似たようなことをやらされるので,一般のaで計算しておくと,*に同値な不等式はt>0より,
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となり,この左辺をf(t)とすると,f(0)=1-1-0・1=0となります。あとは微分がどうなるかで判断していくことになるので,
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とあらかじめ求めておきます。

さて,こういう問題は必要条件,つまり,こうだったら楽勝なのにな,という妄想から検討するのが定石なので,f'(t)>0を言えばいいのですが,ぱっと見では分かりそうにありません。どこが分からないかって言うと,()の部分が分からないことが困っている要因なので,ここをg(t)とでもおいて,g(t)>0を示すことになります(()前の指数は常に0より大きいです)。同じようなことをすればいいので,g(0)=1-1-0=0,
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となり,a=2を代入すれば,
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となるので,g(0)とあわせればg(t)>0となり,f'(t)>0がいえます。f(0)なので,f(t)>0が示せ,*が成立します。

(2)
とりあえず,これもそれ以外の場合がないかは置いておいて,自信を持って成立しないaにはどのようなものがあるかで検討します。f(0)=0なのでf'(0)<0なら0の近傍ではf(t)<0となります。こうなるaはg'(0)<0なので,
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です。それ以外のa≧2では
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という感じに示せています。したがって,a≧2です。

【参考】優関数的な考え方
もとの*の左辺はaに無関係,右辺はaの単調減少関数なので,aを増加させればより簡単に成立することが分かります。a=2で成立しているならa>2でも成立するということですね(f(t)の形で言えば,a>2ならばa=2よりも常に大きい関数(優関数)になっています)。したがって本問(2)はa<2でどうなるのか検討することがメインになります。

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東京工業大学2014年数学第1問
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解説


割れる割れない系の基本的な解法をそのまま当てはめれば解ける問題です。(1)(2)ともに色々なアプローチの仕方があるのではないでしょうか。とりあえず別解答を1個ずつ置いておきます。

(1)
anに関しては各要素(k-1)k(k+1)は連続する3つの整数なので,どれかは3で割れ,連続する2つの整数を含むので2で割れます。よって,6でも割れます。
したがって,anは6の倍数の和を6で割ったものなので整数です。

一方,bnはnが3以上の奇数ということなのでn=2m+1(m≧1の整数)を代入してやります。
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となり,分子は連続する2つの整数なので2の倍数となり,bnは整数です。

【(1)別解答】
anを計算して求めます。
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連続する4つの整数の積なので,4の倍数,4では割れない2の倍数,3の倍数を含みます。よって,24の倍数になり,anは整数です。

(2)
nの問題なのでとりあえず数学的帰納法です。
(i)n=3のとき
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となり4の倍数です。

(ii)
n=mを仮定した場合,n=m+2のときの成立を示すためには,それらの差
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が4の倍数であることが同値になります(差で考える方がいいのはanが級数だからです)。mが奇数であることを使うためにm=2k+1を代入します。
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となり,これは(1)から整数であり,かつ,k(k+1)は連続する2数なので2の倍数となり,4の倍数であるといえます。

(i)(ii)より,すべての3以上の奇数において4の倍数となります。

【参考】
1/3が気になる場合は
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とでもしてやれば{}の前半は当然3の倍数,後半は{}の外とかけて連続する3数になります(このように無理やり連続する数になるように変形する手法は良く使う手なのでマスターしておきたいです)。

【(2)別解答】
(1)の別解答と同様に,anを計算したものでいきます。途中でn=2k+1を代入しています。
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連続する3数の積は6の倍数なので,4の倍数となります。

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東京工業大学2014年数学解説
東京工業大学2014年数学の解説です。全体的に普通でしょうか。余り引っかかりそうなところがなく,普通の問題集をしっかりこなしてきた人が点を取れる感じです。時間もたっぷりあり,別解答も多そうなセットですので,数学が得意な人は全大問に別解答を作る時間があったのかもしれません。
個人的な難易度順は5=3=4>2>1という感じでした。

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東京大学2014年前期生物第3問
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解説


DNA修復機構と細胞周期に関する問題(文1,2)と酵素活性や欠損に関する問題(文3)です。IIが全体的に難しめな印象で,細胞周期の監視が絡んでくることを押さえられないと点が取れません。

I
A (3)
選択的スプライジングではなく遺伝子再構成によるものである。

知識問題です。
(1)
正しいです。ヒストン8量体にDNAがまかれてヌクレオソームを形成し,これが更にコイル上になってクロマチン繊維になります。ヒストンはメチル化やアセチル化されることによって,クロマチン繊維がそれぞれ凝集と弛緩されるので,DNAの転写量調整にも関わっています。
(2)
正しいです。真核生物では基本転写因子を必要とし,転写制御に関わる因子がつく位置は原核生物とは異なり,構造遺伝子のすぐ側とは限りません。ある程度はなれたところについた因子がDNAの折り畳みによって制御に関わってきます。基本転写因子の制御の仕組みは,DNAの構造変化というよりもタンパク質-タンパク質間の相互作用によるものだと考えられています。これは,基本転写因子にはDNA結合部位と活性に必要な部位が別に存在することから推測されています。
(3)
誤りです。免疫グロブリンやT細胞レセプターの多様性は遺伝子の再構成によって実現されています。これはDNAレベルで起こるパターンメイドのようなものです。免疫グロブリンなら,H鎖はV,D,J,L鎖にはV,Jにそれぞれ何種類かのパターンが用意されていて,H鎖のVはこのパターン,H鎖のDはこのパターン・・・といった感じでランダムに選ばれて新しい遺伝子が作られます。そのため多様な遺伝子が作られ,そこから作られる免疫グロブリンも同じだけ多様になります。
一方,選択的スプライジングはRNAで起こるもので,転写されたRNAのうちで必要なエキソンのみを使ってmRNAが作られることを指します。つまり,スプライジングの際に使われるエキソンと使われないエキソンを選択するというものです。この意味は,一つの遺伝子から複数のタンパク質をコードできるということになります。選択的スプライジングが可能なのは,文3で取り扱っているようにタンパク質の各部分にそれぞれ役割があるからで,「リン酸化する」という部品を「△△と結合する」や「××と結合する」と組み合わせて,同じような機能を持っているが対象の異なるタンパク質を効率よくコードできるということです。
(4)
正しいです。塩基の種類は4種なので,4の6乗です(塩基対は一方だけ決めると対も決まるので片方のみでOK)。

B G1:a領域 G2:c領域 S:b領域 M:c領域
G1→S→G2→Mの順番で,S期でDNAが複製されるので,S期中は増えていき,S期が終わってからは分裂が終わるM期の最後までDNA量が2倍です。

II
A (7)
DNAの修復しないとG2の次に移行できないので(実験3を参照),どんどんG2期に溜まっていきます。もともと変異細胞AではG2期の割合も正常より多いので,1は正常細胞の50より大きくなければなりません。また,DNA修復ができない以上,正常細胞よりも生存率は低くなるので,2は正常細胞の50未満になります。よって答えは(7)です。

B
変異細胞Bでは正常細胞と異なり,DNA損傷の有無によってG2期の長さの延長は見られない。つまり,修復完了をチェックして次の期に進むわけではなく,完了前に次の期に進んでしまう細胞が一定割合出現し,死に至るから。

図3-2より,正常細胞ではX線照射(DNA損傷)によってG2から次の期の移行する細胞が明らかに減るが,変異細胞Bでは全く変化ありません。表3-1より,変異細胞Aと正常細胞の間ぐらいの生存率,つまり,修復酵素はあるけど十分機能していない状況です。
これら二つの関連性を,DNA修復はG2期で起こること,および,文2冒頭の細胞周期監視とを絡めて考える感じです。

C
紡錘体形成阻害剤によりG2期で停止させた正常細胞と変異細胞BにX線を照射し,修復に十分である8時間以上経過した後に阻害剤を除去する。変異細胞Bの生存率は正常細胞と同程度になる。

修復酵素が存在することを示せということなので,Bで考えられる別の原因を取り除いてやることになります。つまり,DNA損傷が生じてもG2期が延長されないという点を解消してやるということです。
紡錘体形成阻害剤って指定がなければもっといっぱい手段はありそうです。例えばRNA干渉で修復酵素を阻害してみたり,ウェスタンブロッティングで修復酵素の存在調べたりですね。

III
A e
活性が皆無になるのはeがないときのみで,それ以外は正常タンパク質XのYがない場合と同程度の活性は見られます。

B b
Yがあると活性が高まります。つまり,Yがあるにもかかわらず活性が高まっていない場合の欠失領域がYと結合していると考えられ,bが答えになります(もちろん結合だけではなくY関連で活性を有する領域の可能性もありますが,bしかないので深く考える必要はありません)。

C (4)
cの領域を欠くと,YがなくてもY有りと同じような高活性になります。
(1)(2)Yの有無が関係ないのでおかしいです。
(3)欠けたら活性は低くなっちゃいますね。
(4)正解。欠けたら抑制が外れて活性が高くなります。
(5)(6)もはや何が言いたいのか私には不明な選択肢です。

D
ホルモンZによってタンパク質Yが増加すると,タンパク質Xの領域bにYが結合する割合も増える。この結合によって,領域cによる活性の抑制が解除されて酵素活性が高まる。

E 3:(3) 4:(5)
a/bのみだとYと結合します。つまり,YをXから競合的に奪えるということです。
3:
YやXより多いのでYのほとんどを欠失型がさらっていきます。Yは分解されるわけでもないので,その後の変化はありません。よって,(3)です。

4:
Yが大量にあるので,例え欠失型が全部結合したところでまだ十分なYがあるので,Xに結合できるYは十分あります。Yは分解されたりしないので,その後の変化はありません。よって,(5)です。

東京大学2014年前期生物に戻る

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東京大学2014年前期生物第2問
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解説


窒素同化に関する問題で実験設計問題IDと片対数グラフを使ったIIAあたりは結構差が出たのではないでしょうか。IのBCも解答自体は簡単に出てきますが,なんだかんだで解いていて不安になりそうな問題です。

I
A RNA ATP コラーゲン DNA 尿酸
アミノ酸とタンパク質,その分解産物である尿素,尿酸,塩基を含むRNA及びDNAは窒素が入っています。他にはビタミンB群のほぼ全部(持たないのはイノシトールぐらいだろうか)に窒素が入っています。

B
電子供与反応 NO2+H2O→NO3+2H+2e
電子受容反応 2H+2e+1/2 O2→H2O

要するに酸化してそのエネルギーでATPaseをまわすわけであり,基本的にはグルコースの代謝と同じ感じです。そうすると,電子伝達系をまわすために水素イオンと電子を取り出し,最後に水とATPを作ると推測できるので,打ち消される水を入れて水素イオンと電子を作っていることがわかります。

アンモニアの反応としては,
(NH4→NH3+H
NH3+2H+O2→NH2OH+H2O+2e
NH2OH+H2O→NO2+5H
4H+O2→2H2O
となります。

C
なんとなく感覚的にも酸化部分でエネルギーを得ることができそうなので,2のみです。1と5についてはATPを利用する反応です。3および4はNADPHを利用する反応です。

D
窒素化合物有りかつグルホシネートで処理をしたものと,窒素化合物無しの培地で育てたものの生存期間を比較する。後者が早く枯死すれば窒素同化産物の欠乏が原因である。

窒素化合物有りかつグルホシネートで処理と,窒素化合物有りかつ高濃度のアンモニウムイオンの培地で育てたものの生存期間を比較する。前者が早く枯死すれば窒素同化産物の欠乏が原因である。

状況を整理すると考えられるパターンは表のようになります。

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このうちで空欄になっている部分を検討してやれば新たな知見が得られます。これが丁度2通りあるので解答なわけです(解答1つ目が右上,2つ目が左下です)。窒素化合物→アンモニウムイオン→グルタミンなので,アン→グのところで切ると必然的にアンモニウム濃度が上がってしまうことが実験の設計を難しくしています。
ちなみに,解答1つ目でも,窒素化合物無しではなくアンモニア除去という手段も考えられると思います。常に新しい培地を供給し続ければ、アンモニアは細胞膜を透過出来るはずなのでアンモニウムイオンも減少する気がします。

II
A 野生型:8日 変異体x:12日
指数関数のグラフになるので,片対数の方を使います。プロットして直線で結んでやれば,
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グラフ上で見やすいところとそれが2倍になるところを見ればいいので,野生型は21日で0.5,29日で1になっているので8日で2倍です。一方,変異体xは25日で0.5,37日で1.0になっているので,12日で2倍です。

ちなみにグラフ書くのがめんどくさい人向けの計算は,次のようになりますが,データにばらつきがあると使えません(でもデータがたかが3個でばらつきいれるとひどいことになるし,ばらつきありまくりで近似直線を目分量で引かせる入試問題とか冒険過ぎますよね)。

野生型:
20日と36日を比較すると4倍。よって,2回2倍になっているので,16÷2=8

変異体x:
16日と36日を比較すると3.2倍。よって,2倍を5回したあと10で割るので,20÷(5-log210)です。log210=(ln10)/(ln2)で,ln2は化学で頻繁に出てくるので0.3と覚えちゃっている人も多いはずです。要するに10/3になるので,20÷(5-10/3)=12です。

B
根粒が形成されるとその数に応じた量のシグナルが地上部に送られ,そのシグナル量に応じて地上部が抑制シグナルを送るため,根系1と根系2から出されるシグナル総量によって抑制の度合いが決まる。そのため個々の根系の根粒数ではなく合計の根粒数が約80になると抑制シグナルは新たな根粒形成が起こらない量に到達するから。

C (1)c (3)h

段階(1)または(3)に関わっているといえるのは,根が変異体のときのみ根粒数の増加が見られるからです。そして図2-6のような接ぎ木の意図は,形成を知らせるシグナル量が変わっているのか,抑制シグナルに反応しにくくなるのかを見るためです。

(1)の場合は接ぎ木された根系2は形成シグナルを送らないため,根系1の根粒数分だけしか地上部は受け取りません。したがって,根系1が限界根粒数に達するまで増え続けます。変異体yにおいて(3)の異常がなければ根粒数の増え方は同じなので,図2-7の一番左の根粒数の合計=根系1=根系2となります。よってcです。

(3)の場合は,根系1も根系2も抑制シグナルを誘導します。しかし根系2は抑制が余り効かないので,同濃度ならば根系2が根系1より増えていきます(図2-3で高濃度では増加が緩やかになっていくのは濃度増加によって増え方も緩やかになるからです。)。根系1は合計が図2-7A左の合計になった時点でとまるので,e,hに絞れ,eの抑制シグナル量ではまだまだ根系2は形成が進むので(A右),hが答えになります。

でもこれ,hの時点では合計数がまだA右より少ないので根系2は根粒形成が起きますよね。もし起きないならば抑制シグナルに対する反応が鈍化しているのではなく,一方の根系の数で決まる何か別の要因によって根粒形成が停止されていることになる気がするのですが,実際のところどうなんでしょうね。

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