ひたすら受験問題を解説していくブログ
慶應大学医学部2014年化学第3問
keio_med_2014_chem_q0.png

keio_med_2014_chem_q3.png

解説


基本的な内容のみで構成されている大問です。是非満点を取りたいところです。2,5がぎりぎり中級な感じです。

1.
名前の通りアセチル化したアニリンです。
keio_med_2014_chem_a3_1.png
合成法は,ベンゼン―ニトロ化(濃硝酸+濃硫酸)→ニトロベンゼン―還元(SnまたはFe,もしくは金属触媒)→アニリン塩酸塩―アセチル化(無水酢酸または酢酸+酢酸Na,酢酸Naは塩酸塩をアニリンに戻して求核性にするため)→アセトアニリド

2.
酢酸は水素結合によって二量体を形成するため,見かけの分子量が大きくなって分子間力が増すから。

加水分解が起こり,アニリン塩酸塩と酢酸になります。前者は塩なので水層に,後者は酸ではありますが,電離度が低い上に塩酸下なので酢酸のままです。酢酸は水層にも有機層にも溶けます。
カルボン酸がアルコールより沸点が高い理由なので,ニ量化について書いてやればいいでしょう。

3.
keio_med_2014_chem_a3_2.png
アセチレンに付加ということは,付加するもののプラスマイナスを考えればかけます。酢酸はCH3COOとHから構成されているので,ここで分かれて付加します(Hがついて,逆側から酢酸イオンがつく感じだと思います)。
ちなみに,重合してできるポリマーはポリ酢酸ビニルです。木工用ボンドですね。

4.
keio_med_2014_chem_a3_3.png

酢酸とアニリン塩酸塩です。

5.赤紫色
水酸化ナトリウムによって弱塩基遊離がおこってアニリンが出てきます。アニリンとサラシ粉(CaCl(ClO)で参考書によっては水が二つ結晶水でついています)。
厳密な化学式なんて見たことすらありませんが,水素を酸化剤で引き抜かれたアニリンを基点にしてアニリン同士が重合していき,共鳴部分(二重結合と単結合の繰り返し)がどんどん長くなって,吸光量が増し,また長波長側に吸収波長がずれることによるものではないでしょうか。これはアニリンブラックも同様ですし,共鳴領域の拡大による着色は様々な染料で見られる事象です。

6.アゾカップリング
亜硝酸ナトリウムといえばジアゾ化です。ジアゾ基は+を帯びているので,電子が豊富なオルトとパラにつくことになりますが,立体的に込み入っているために,オルトではなくパラに尽きます。(2-ナフトールはナフタレンのオルト位の電子密度が高くなるためオルトにつきます。1-ナフトールとかだと当然パラです)。できる化合物はp-フェニルアゾフェノールです。

keio_med_2014_chem_a3_4.png

ジアゾ化合物の特徴で他に抑えたいのは分解です。芳香族は氷冷下である程度安定ですが,アルキル基のものは即刻分解します。いずれの分解でも窒素を出し,そこに存在している陰イオンとジアゾ基が置換します(窒素が出る際に炭化水素部部から電子を奪うので炭化水素が正電荷を帯びるためです。多くの高校向け参考書ではOHと置換すると書いています)。

慶應大学医学部2014年化学に戻る
スポンサーサイト

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

慶應大学医学部2014年化学第2問
keio_med_2014_chem_q0.png
keio_med_2014_chem_q2.png

解説


デンプンに関する問題で,コロイドの性質についても問われています。難易度は4(1),5が高めであとは普通です。4はめんどくさいだけな気もしますが。

1. ブラウン運動
溶媒分子がランダムな方向に熱運動しており,微粒子にこの溶媒分子達がランダムに衝突することによって,微粒子に不規則な運動,すなわちブラウン運動が生じます。溶媒の熱運動がその源泉なので,ブラウン運動は温度が上がると激しくなります。

2. 界面活性剤が形成するミセルがブラウン運動を観察するのに適した大きさになった。
ブラウン運動はいわゆるコロイドといわれるものよりも小さくても大きくても起こっています。ただ,小さい場合には溶媒分子に衝突されると大きく移動してしまい,まともに観測できません(溶媒分子もぶつかり合ってブラウン運動しています)。逆に大きいと,溶媒分子が衝突しても大して移動しないため,目に見えるレベルでのブラウン運動は見られなくなります。ちなみにブラウン運動を定式化したのはあのアインシュタインさんです。

3.
ア:銀鏡反応 イ:.還元 ウ:アルデヒド
Ag++e-→Agです。アンモニア性にしているのは,アルデヒドは塩基性になるほど還元性が増しますが(OHが+になっているカルボニル炭素を攻撃することが基点です),AgがAg2Oと沈殿していては仕方ないのでアンモニアで錯イオンにしています(この辺はフェーリング液で銅を酒石酸イオンでキレート錯イオンにしているのも同じです)。

酸化されるアルデヒドはRCHO+2OH→RCOOH+H2O+2eなので(Oのついている炭素の酸化数が+1→+3です。構造式で結合ごとに電気陰性度を考えて±を割り振れば出せます),錯イオンであることと中和に注意すると,
RCHO+2[Ag(NH3)2]+2OH→2Ag+RCOO+NH4+H2O+3NH3
という反応式になります。

エ:環状 オ:鎖状 
糖の多くはアルデヒドやケトンの部分でヘミアセタール構造を形成して環状構造になることができます。環状じゃないものは鎖状構造といいますが,環状構造⇔鎖状構造の平衡が成り立っており(グルコースだとα4割弱,β6割強,鎖状ほぼ0です),鎖状構造のときのみアルデヒドがあるので銀鏡反応に関与します。ただ,銀鏡反応で鎖状構造が消費されると平衡が移動するので,結局すべての糖が銀鏡反応で消費されることになります(このため,環状構造になる糖はただの鎖状アルデヒドよりも穏やかに銀イオンと反応します)。
また,ニ糖などになった場合にはヘミアセタール部分(すなわちアルデヒドや還元性を示す一部のケトンに戻る部分)があるのかないのかで還元性が決まります。多糖になると端の部分にはヘミアセタール構造が残っていますが,濃度としては小さくなるため反応性を示さなくなります。

4.
(1)
凝固点降下なので質量モル濃度を計算するだけのお仕事ですが,加水分解であるために溶媒である水の減少も考慮しなければなりません。マルトースのモルをx,不純物のモルをyだとすると,マルトースの両端から1/2モルずつ水が抜けているので,
keio_med_2014_chem_a2_1.png

(2)
分子量が数十万ならば,単糖繰り返し単位の式量162で割ると,重合度は5000程度であり,両端のHとOHは無視できます。したがって,グルコースのモル数から逆算すると,
162×4.38×10-2=7.0956≒7.10
のデンプンになるので,7.10÷8.00×100=88.75≒89%

5.
光のエネルギーによって液温が上がり,熱運動が激しくなるため,ブラウン運動は激しくなる。

別に光で運動しているわけではなく,溶媒の熱運動がどうなるかなだけです。少し盲点ですが,光はエネルギーを持っているので,溶媒分子が吸収して熱になります。

慶應大学医学部2014年化学に戻る

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

慶應大学医学部2014年化学第1問
keio_med_2014_chem_q0.png
keio_med_2014_chem_q1.png
keio_med_2014_chem_q1_2.png

解説


多少見慣れないものもありますが,基本知識から複雑な思考を要せずに考えられるものばかりで,余り落としたくない感じです。1は用語の定義が謎です。

1.122kcal
炭素が15/12=5/4molなので,これに97.2kcalをかけて121.5≒122kcalとなります。
(でも,生成熱って1molなので,97.2kcalですよね)

2.
官能基の隣の炭素からギリシャ文字でα炭素,β炭素・・・・と呼ばれます。α-アミノ酸はカルボキシ基のα炭素にアミノ基がついた化合物です。脱炭酸した結果がGABA(γ-アミノ酪酸)なので,アミノ基の隣についた炭素がα炭素だったことが分かります(仮に,脱アミノされた結果だとしたらGABAのカルボキシ基の隣の炭素にアミノ基がつくと考えられます)。よって,構造式は
keio_med_2014_chem_a1_1.png

となり,グルタミン酸です。

3.
(1)潮解
固体表面に生じる飽和水溶液の飽和蒸気圧が大気中の蒸気圧よりも小さいために(不揮発性の溶質を溶かすと蒸気圧降下が起こります),大気中の水分が水溶液に取り込まれていきます。

(2)風解
こちらも蒸気圧が絡んできます。水和水を持つ結晶は水部分の着脱が平衡状態にあります。つまり,飽和蒸気圧を持っており,その飽和蒸気圧より外の蒸気圧が低くなると,平衡が水を失う側に移動します。

(3)光分解(感光) 2AgBr→2Ag+Br2
保存方法:褐色ビンに入れて,暗所に保存する。

銀化合物は光分解されやすいです(褐色ビンだけだと不十分だと思います。)。ハロゲン化銀の特色は難溶性(フッ化銀は溶ける)と光分解であり,チオスルファトやシアノ錯体を作って解けることは押さえておきたいです。また酸の強さもたまに聞かれます(HF<<HCl<HBr<HI)。

4.
(1)二次電池
対義語は一次電池です。

(2)1.96g
問題文中の反応式から正極,負極ともに硫酸鉛(II)と硫化物イオンが1:1の関係で反応が進みます。よって,硫酸鉛(II)の式量は303なので,6.06/303×98=1.96gだけ減少します。

(3)
リチウムはイオン化傾向が高く,水とは反応してしまうが,有機溶媒だとリチウムと反応しにくいから。

水で何が問題であるかを考えて見ましょう。リチウムを水につけると水素を出しながら熱を発します。

5.14個
まず飽和か否かを確認すると,ベンゼンの時点でCが6,Hも6です。Cの残りは2個であり,BrとHで計4つ余っているので飽和だと分かります。ベンゼンにつくアルキル基としては,CCかC,Cの2通りがあり,炭素骨格を作った後にBrをつけていきます。
(i)CC
CC部分で2通り,オルトメタパラで3通りで計5通りです。

(ii)C,C
(ii-i)炭素骨格がオルト
メチル基につく場合に1通り,ベンゼン環につく場合が2通りで,計3通り。

(ii-ii) 炭素骨格がメタ
メチル基につく場合が1通り,ベンゼン環につく場合が3通りで,計4通り。

(ii-iii)炭素骨格がパラ
メチル基につく場合が1通り,ベンゼン環につく場合が1通りで,計2通りです。

以上から14通りです。

慶應大学医学部2014年化学に戻る

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

慶應大学医学部2014年化学解説
慶應大学医学部2014年化学の解説です。今年の化学はあまりやる気ないんでしょうかね。なんか無味乾燥なつまらない問題です。難易度的には多少記述があるものの全体的に平易な内容です。定期試験じゃないんだから,もうちょっと頑張ってくれと思います。

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

大阪大学2014年数学(挑戦枠)第2問
handai_2014_mc_2q.png

解説


本問もどこかで見たことあるような形で,素数を公比とする等比数列同士の積で全ての整数を表すことは有名どころ過ぎます(正の約数の和が乗法的関数であること,つまりσ(mn)=σ(m)σ(n)であることの証明とかで見る形ですね)。まあ見たことなくても気づいて欲しいところです。(3)が少し難しめでしょうか。

(1)
理想は左辺が全部右辺に含まれると楽勝です。”×”でつながれた各部分は,素数の逆数を公比とする等比数列のn+1項目までの和です。
handai_2014_mc_2a_1.png
また,pn,p1n>nかつなので,nまでの数は素因数分解するとp1からpnのn乗未満の積で表せます。左辺にはpnがないので,右辺が左辺を含み,逆は含まないので,左辺<右辺が成立します。

(2)
形的に(1)の分母ですし,logの和なので積だと捉えると,(1)の両辺のlogをとってみるのが自然な流れでしょう。
handai_2014_mc_2a_2.png
左辺がn→∞で無限に発散すればいいので,左辺のlogの中が無限になることを示します(もはや常識レベルの無限級数になりますが)。単調な無限級数なので積分ではさみます(∞になる予定なので,下だけでOKです)。
handai_2014_mc_2a_3.png

(3)
私の第1感は形を作ってみることでしたが,無理だったので(参考参照),各項の対応が取れたら楽勝という戦法に打って出ました。つまり,(2)の各項<(3)の各項ならそれで終わりです(積分の不等式で優関数を考えることと同じですね)。
handai_2014_mc_2a_4.png
あれえええええええええ,これだと大小関係が逆になってしまいますよね。こういうときは正の定数をかけてやるのが,まずやるべき定石です。つまり正の定数Mをかけて,-log(1-x)<Mxとなれば,題意は示せるということです(もしxの和が収束するならば,Mxの和も収束します)。2以上をかけて,
handai_2014_mc_2a_5.png

【参考】形を作ってみる
(2)のlogを掛け算して,
handai_2014_mc_2a_6.png
これって,第2項が目的のもの,第3項以降は余計なものですが,(2)から左辺が0に収束するので右辺も・・・とか考えたのですが,私には無理そうなので,誰かにバトンタッチします。


【参考】素数の密度について
1/kの和から分母に1を含む項を除いたものを考えてみると,素数の密度がなかなか高いことが分かります。つまり,
handai_2014_mc_2a_7.png
という和です。この級数において,分母がk桁になっているものの個数は,8×9k-1です。そして,k桁となる最初のものは,1/2×10-(k-1)であり,その桁数のいかなる項よりも大きい値になります。よって,次のような級数は先ほど考えた級数よりも大きい値になります。
handai_2014_mc_2a_8.png
n桁になっているものまでの和をSnとでもすれば,
handai_2014_mc_2a_9.png
となります。丁度n桁すべてまでの切りがよいところ以外も,和の単調増加性を考慮すれば同じ値に収束し,40となることがわかります。以上から元の級数も当然40未満に収束し,たった1文字を禁止にするよりも素数は多く存在することになります(1禁止の級数は桁が大きくなってくる後半において密度がガクッとさがることが大きいでしょう)。

大阪大学2014年数学(挑戦枠)に戻る

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

大阪大学2014年数学(挑戦枠)第1問
handai_2014_mc_1q.png

解説

なんかそのまま大学の教科書とかに載っていそうな内容です。特に工夫もなく,これでいけたら楽なのにな的な形から入れていくだけの作業です。ただ,普段指導していて思いますが,その楽なのになという妄想を実際に手を動かせない受験生は多いです。

簡単な形は二つの関数の和や差です。微分したものが同じになることを考えれば差の方が消えてよさそうです(どっちもためしてみればいいです)。他の原始関数をG(x)とでもして,H(x)=G(x)-F(x)とします。平均値の定理より,

H(x)-H(p)=H'(c)(x-p)=(G'(c)-F'(c))(x-p)=(f(c)-f(c))(x-p)=0   (cはxとpの間の数)
∴G(x)-F(x)-G(p)+F(p)=0⇔G(x)=F(x)+G(p)-F(p)
G(p)-F(p)=Cとすれば終わりです。

【参考】コーシーの平均値の定理
分母が0にならなければ,
handai_2014_mc_1a_1.png


大阪大学2014年数学(挑戦枠)に戻る

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育