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東京大学2008年前期物理第1問
質量mの箱が摩擦のない滑らかな水平面上に静止していたとする。この箱を,時刻0から移動させ始めてちょうど時刻Tに距離Lだけ離れた地点を通過させることを考えよう。A,B,Cの3人がそれぞれ別々の力の加え方をして箱を移動させた。Aの箱は最初から最後まで一定の加速度で運動した。Bの箱は距離L/2の中間地点まで一定の加速度で加速し,中間地点以降はその時の速度で等速度運動をした。Cはばねを用いて移動させた。図1のように,ばねが自然長の状態で箱がゴール地点にあるようにセットし,そこからばねを長さLだけ縮めて初速0で離した。A,B,C全ての場合において,箱は時刻0で静止した状態から動き始め,一直線上を同じ向きに進み,時刻Tにスタート地点から同じ距離Lだけ離れた地点を通過した。
todai_2008_phy_1q1.png

Ⅰ Cが用いたばねのばね定数kをm,Tを用いて表せ。

Ⅱ A,B,Cそれぞれの場合について,箱の速さv(t)を時刻t (0≦t≦T)の関数としてグラフにし,各々の場合の時刻Tにおける速さv(T)をT,Lを用いて表せ。

Ⅲ A,B,Cそれぞれの場合について,時刻Tまでに箱にした仕事をm,T,Lを用いて表し,どの場合が最も仕事が少なかったか答えよ。またそれぞれの場合について,箱にした仕事とⅡで求めた速さv(T)との関係を求めよ。

Ⅳ 箱を静止した状態から動かし始め,最小の仕事でちょうど時刻Tに距離Lだけ離れたところを通過させるための力の加え方を求めたい。ただし,箱に加えることのできる最大の力をF0とし,F0はA,B,Cの加えたどの力よりも大きいとする。また運動の向きと逆向きの力を加えることはないとする。箱にする仕事が最小の場合について,箱に加えた力F(t)の時間変化をグラフにし,時刻Tまでに箱にした仕事を答えよ。 


解説


基礎的な力学の事項、特に仕事とエネルギー保存則についての理解を問う問題です。IIIまではかなり標準的な問題なので、IVで本問において言わんとしていることをつかめたかが、点数の分かれどころかと思います。IIIでわざわざそれぞれの場合についての関係を問いているのが多分誘導です。

I
Lの位置は自然長で、t=0の位置も速度も0なので、Lの位置は1/4周期に相当します。よって、
todai_2008_phy_1a_1.png
II
[A]
等加速度(aとする)運動なので、
todai_2008_phy_1a_2.png
ここでx'(0)=0,x(0)=0,x(T)=Lという条件を代入すると、c=0,b=0,a=2L/T2となり、v(t)=at=2Lt/T2で、グラフは次のようになります。
todai_2008_phy_1a_3.png

[B]
x=L/2までは等加速度運動ということは、Aのv(t)とそこまでは似た形になり、それ以降は定数になる、つまり、台形ということになります。進む距離はv(t)下側の面積になるので、x=L/2までの三角形部分とそれ以降の長方形部分にわけると、その時間比は2:1になります。よって、x=L/2以降の所要時間はT/3です。この時間でL/2進む速度がv(T)なので、v(T)=3L/2Tとなります。よってグラフは次のようになります。
todai_2008_phy_1a_4.png

[C]
位相が-π/2から始まる振幅Lのsinカーブで、x=Lつまりt=Tで位相が0です。微分すると同位相のcosカーブになるので、v(t)=Lωcos(ωt-π/2)=(πL/2T)sin(π/2T)tで、グラフは以下のようになります。
todai_2008_phy_1a_5.png

III
仕事によって物体は運動エネルギーを得ているので、エネルギー保存則からABCのすべてにおいて、W=mv(T)2/2が成立しています。
この関係式にIIで求めたv(T)を入れると、
todai_2008_phy_1a_6.png
となり、Bが一番小さくなります。

IV
IIIの結果というかW=mv(T)2/2より、v(T)が小さければ仕事が最小です。負の力を加えることはないことからv(t)が単調増加であり、また、v(t)の0からTまでの積分が一定(=L)であることから、より早い段階から速度が大きいものの方が、最終的な速度が小さくなることがわかります(早い段階の距離の稼ぎを後半で帳尻合わせてなくすためには、その分だけ最終的に遅くなるということです)。
よって、初めから全力のF0で加速させ、後半なにもしないものが最も最終的な速さv(T)が小さくなり、Wも小さくなります。
以上から、加速をやめる時刻をT1とするとv(t)およびF(t)は下図のようになります。
todai_2008_phy_1a_7.png
todai_2008_phy_1a_8.png
T1まではF0/mの加速度なので、最終速度はT1F0/mです。よってv(t)グラフの台形の面積=Lで等式を立てると、
todai_2008_phy_1a_9.png
ここからv(T)経由でWを求めると、
todai_2008_phy_1a_10.png
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テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

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