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慶應大学医学部2013年第1問
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解説


問6の実験3がなかなかの重箱の隅なのか考えさせる問題なのか。普通に習うことだったらすみません。問7も重箱だろうか。

問1 ア:ヘム イ:2 ウ:4
知識問題で,レベル的にもはずしてはだめです。

ア:ヘムとは2価の鉄を中心元素に持つ錯体で,ヘモグロビンやミオグロビンを初め酸化還元に関わるタンパク質(カタラーゼや電子伝達系のシトクロム)の補欠分子族です。ちなみに鉄が3価になってしまったヘモグロビンはメトヘモグロビンと呼ばれ,酸素運搬能がありません。

イウ:αサブユニットとβサブユニットというのが2つずつ結合しています。これらは相互作用をしており,2013年の慈恵医大第2問のリード分にあるように,酸素がつくほど四次構造が変化して他のヘムに酸素がつきやすくなるようになっています。この意味合いとしては,酸素のあるとこではすぐ満タンになって,酸素の少ないところで一部の酸素を放出すると,ますます放出しやすくなるという性質になるため,酸素の運搬に都合がよくなるということです(これが酸素解離曲線がS字カーブをなす理由です)。

問2 四次構造
一次:アミノ酸配列
二次:主に主鎖による部分的な立体構造(αへリックスやβシートが有名)。ペプチド結合の二重結合性とNHとCO間の水素結合が鍵です。
三次:主に側鎖の相互作用による二次構造が折りたたまれた構造。水素結合,ジスルフィド結合,イオンのクーロン力,疎水親水相互作用辺りで維持されています。
四次:2つ以上のポリペプチドによってなされる構造。

問3 28%
グラフから,酸素濃度80%のときは多分97%ぐらいが酸素ヘモグロビンです。一方,酸素濃度が40%の場合は70%なので,(97-70)/97≒27.5。きわどすぎるが,±1%ぐらいは許されるのだろうか?

問4-1
曲線aから曲線bに移ると,曲線aの酸素濃度差による酸素の解離に加えて,曲線aと曲線bの酸素ヘモグロビンの割合の差分だけ多くの酸素を組織に供給できるようになる。また,酸素濃度以外の要因で解離がおこるので,末端の酸素濃度を極端に下げずに酸素を供給できるようになる。更に,pHの上昇は代謝の高い組織で起こるので,そこに酸素を多く供給できる。

慶應の問題っていつもどこまで書けばいいんだろうと思います。


問4-2
好気呼吸によって発生した二酸化炭素が血漿を経由して赤血球中に入り,炭酸脱水酵素によって二酸化炭素の炭酸水素イオンと水素イオンへの変換されてpHが下がる。

そんなこんなでpHで酸素解離度が変わるというお話でしたが,実際のところpH抜きで二酸化炭素自体も解離度の増加を招くらしいです。

問5
体温が上がると活動量も増えるのでより多くの酸素を必要とする。曲線がaからbに移ると酸素の解離する割合,つまり供給される酸素の割合が大きくなるので,活動量増による酸素需要増をまかなえるようになる点で有利である。

問6 実験1:a 実験2:a 実験3:c
実験1
胎盤において母親の血液から酸素を奪い取らなければなりません。そのためには母親の赤血球よりも酸素と結びつきやすくなければなりません。(厳密には母親の方が結びつきやすいようですが,2,3-ビスホスホグリセリン酸による右方シフトが胎児の方が弱いため,生体内では左方にシフトしてみえるだけのようです。って感じなことがうちに転がっている標準生理学に書いてありました。)

実験2
実験1と似たようなものですが,酸素解離曲線において,酸素濃度を100%以下で考えるのではなく,極端ですが40%以下で考えてみればわかると思います。酸素濃度が40%(肺)から20%(体組織)になったとすると,aが最も落差が大きく,最も多くの酸素を与えられることがわかります。

実験3
小さい恒温動物の方がkgあたりの代謝量が大きくなります。そのため,より酸素を供給できるcが答えです。

問7 筋組織
筋組織にはミオグロビンがあり,これがヘモグロビンから酸素を受け取って酸素を蓄えることができます。
ミオグロビンは単量体であり,ヘモグロビンのようなサブユニット間の相互作用はないため,S字の酸素解離曲線になりません。従って,下図のようになるため,ミオグロビンがヘモグロビンから酸素を受け取ります。
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wikiさんによると,肉の赤さはミオグロビンの色で,死肉が茶色になるのはメトミオグロビン(鉄が3価)をミオグロビンにもどす還元作用が起こらなくなるかららしいです。

【参考】解離曲線のシフト要因
[右方シフト]
温度上昇
pH低下(二酸化炭素増の効果と競合します)
二酸化炭素分圧上昇
塩化物イオンの増加
2,3-ビスホスホグリセリン酸やATPの増加(赤血球内の嫌気的解糖系の中間産物,pHの塩基シフトで増加する)

[左方シフト]
右方シフトの逆
CO中毒(COは優先的にヘムにつき,COがついたヘモグロビンの他のサブユニットは酸素結合能があがります)
メトヘモグロビン増(メトヘモグロビンは水と結合しているらしいので,部分的にメトヘモグロビンができると,他のサブユニットの結合能が増して左方シフトするのでしょうか?)
NO増(亜硝酸塩の摂取)

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テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

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