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慶應大学理工学部2014年化学第3問
keio_riko_2014_chem_q3.png

解説


(1)のエ,つまりアセタール化がなじみのない受験生も多かったのではないでしょうか。(2)はメチル基=結合の邪魔者ととらえることができたかなだけでしょう。

(1)
ア:C6H8
燃焼産物から炭素と水素のモル比を出すいつものです。
C:13.2/44=1.2×11/44=0.3
H:3.6×2/18=0.4
よってC:H=3:4となります。

組成式がわかったので,大体の重さが必要です。これはある条件下の体積から行きます(以下ではまじめに計算していますが,さっきの比に自信があれば,概算でもOKです)。
keio_riko_2014_chem_a3_6.png
となるので,C3H4=40より,C6H8が分子式になります。

イ:
まずは不飽和具合をみると,本来はHが6×2+2=14あるべきところを8しかないので,(14-8)÷2=3だけ不飽和結合を持っています。

また,不斉炭素を持つので,その時点で決定する骨格が,
keio_riko_2014_chem_a3_1.png
となります(不斉炭素から同じにならないようにCをつけていきます。今回の場合はメチル基以外は同じ炭素数の基でも不飽和結合によって識別できることに注意します)。すでに6個の炭素を使っているので,不明としていた結合部分はHで,CC基部分の不飽和度を変えて別の基にしてやれば,二重結合と三重結合になるパターンしかないので,
keio_riko_2014_chem_a3_2.png
となります(不斉炭素の*は解答に不要です)。

ウ:
環になるということはその環の数だけ不飽和結合が減るということです。炭素数6で6員環ということは環は1つで二重結合を2つもしくは三重結合をひとつもつことになります。オゾン分解=二重結合部分できってカルボニル基(条件によりカルボン酸)を作る操作をすると2倍molのDができているので,2重結合が2つ,かつ,切れる位置が対称な位置であることがわかります。よって,
keio_riko_2014_chem_a3_3.png
となります。

エ:
オゾン分解の条件が不明なので,Dがただのカルボニル基かカルボン酸か不明ですが,あとから起こっているF生成の反応からカルボニル基だとわかります。これはカルボン酸の場合はエステル化(1:1の縮合重合),カルボニル基である場合にはアセタール化が起こるため,D:E=1:2に合うアセタール化が起こっていると考えられるからです(この辺は考えさせず,よく出てくるカルボニルの方で考える前提ですかね。慶應大学ってそういう大学ですし。)。以下のように反応が進みます(一応ヘミアセタール化が両方で起こって,その後アセタール化が起こるように書いていますが,実際には片側のアセタール化が完了してからもう一方が起こるのかは私にはわかりません)。
keio_riko_2014_chem_a3_4.png
まあ,アセタール化知らなければ,頑張って6員環を2つ作ってみて試行錯誤するか,電気的な偏りから(カルボニルのCはとても+です)考えるしかありませんね。
高校で出てくるアセタールといえばグルコースで,グルコースの鎖状⇔環状⇔多糖がそれぞれ,アルデヒド⇔環状ヘミアセタール⇔環状アセタールになっています。
ちなみに京都大学2013年化学第3問bでもでていますね。

オ:
5員環ということは,炭素がひとつ環に入れていません。そしてホルムアルデヒドは炭素数が1です。よって,このぼっち炭素が二重結合で環につながっていたと考えられます。Gには二重結合が1つ含まれることになり,そこで切断されて両端にアルデヒド基をもち,さっきのぼっち炭素がついていたところにもケトン基がついた化合物になります。よって,それを還元したHは1,5の両端のヒドロキシ基が確定したペンタトリオール(炭素数5で3価のアルコール)になるということがわかります。これが不斉炭素を持たないので,ぼっち炭素がついていた部分がまん中だとわかり,次のようになります。
keio_riko_2014_chem_a3_5.png

(2)
カ:1 キ:アルデヒド
まず銀鏡反応は還元性を調べるもので,糖ならばアルデヒドを調べているということです。
1位の炭素(ヘミアセタールな炭素)がアルデヒドと平衡状態であるため,ここが還元性を示します。要はこの炭素を結合によって封印してしまえば還元性を示さなくなります。つまり,1位と1位同士で結合させるということになります。

ク:8.57
アセチル化すると,CH3COOH=C2H4O2と反応して水が抜けるので,C2H2Oだけ増えます。
端を考えない場合のセルロースの繰り返し単位はグルコースからひとつ脱水したC6H10O5なので,トリアセチルセルロースの繰り返し単位は
C6H10O5+3×C2H2O=C12H16O8
となり,これとセルロースが2:1なので,規則正しく並んでるとした場合の繰り返し単位は,
2×C12H16O8+C6H10O5=C30H42O21
となります。よって,30×12÷42=60÷7≒8.57となります。

ケ:C10H20O6
要は,結合に使われているヒドロキシ基はメチル化されず,使われていなかったヒドロキシ基はメチル化されているということです。アミロースの場合,1位炭素を右に描いた場合の左端は1位以外すべてメチル化,右端は4位以外全てメチル化,間のグルコースは1位と4位以外は全てメチル化された3種類ができます(問題文で2種類といっているのは分子式の話です)。
一方アミロペクチンでは分岐部分のグルコースが,1,6グリコシド結合をしているため,1,4,6位にメチル基が結合していないグルコースが1種類増えます。

結合のためには手=ヒドロキシ基(正確にはただのヒドロキシ基同士ではなくヘミアセタールのヒドロキシ基=1位のヒドロキシ基と任意のヒドロキシ基)が2つなければなりません。
よって,端にあったグルコースは4箇所のOHがメチル基でふさがれていて,手が1本しかないので多糖にはなれません。メチル基がひとつつくとCH2ふえるので,C10H20O6がそれに該当します。

コ:C8H16O6
枝分かれ部分のグルコースは,5箇所のうち3箇所を結合に使っていたのでメチル基が2つつきます。

サ:リボース
知識問題です。

シ:アデノシン二リン酸(ADP)
ATPのTはトリです。ひとつリン酸が減るとジのDになり,2つ減るとモノのMになります。
ATPは本問の様にリン酸をひとつ出してADPになったり,二つ出してAMPになったりするときに多くのエネルギーを出すため,生体内でエネルギー通貨として使われています。
加水分解時に多くのエネルギーが出る理由としては,リン酸とリン酸が結合している構造(高エネルギーリン酸結合)をもっており,この結合は酸素の負電荷同士の反発が強く不安定であるため,非常に高いエネルギー準位にあるからです(他にも要因は色々ありますが)。

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テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

コメント
コメント
質問です
今、高校3年生です、
(2)の キ で、アルデヒド以外にケトンも還元性を示すことがあるので、カルボニル基と解答しました。
なんでカルボニル基ではなくアルデヒド基が答えなんですか??
教えてください、お願いします。
2015/12/30(水) 10:31:53 | URL | #- [ 編集 ]
本問においてはグルコースに限定されており,また,フルクトースなどのケトースのケトンは直接的に還元性を示しておらず,あくまでアルデヒドに変化して還元性を示しているからです。
2015/12/30(水) 20:43:30 | URL | 解説の人 #- [ 編集 ]
あぁ、分かりました!!

分かりやすい解説、ありがとうございます!!
2015/12/31(木) 02:15:06 | URL | #- [ 編集 ]
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