ひたすら受験問題を解説していくブログ
東京大学2014年前期化学第1問II
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解説


反応次数に関する問題で,よく「化学式を書いて,その係数を次数にすれば反応速度の式が立てられる」的なことを聞くかもしれないですが,実際はそうではないケースも多いというお話です。
内容的にはコサが上手く式をいじれない人は苦手かなという感じです。律速段階だとかボトルネックだとかそういう話を聞いたことがあると大分話が飲み込めたのではないでしょうか。

カ 吸熱
I2中のIは閉殻構造をとるのでI原子2つよりも安定であり,結合を切る際にエネルギーを要するため。

キ 右に移動する
温度を上げるとルシャトリエの原理によって吸熱方向に反応が進む。反応6の正反応は解離であり吸熱反応だから。

こういうのは大抵ルシャトリエです。変化を打ち消す方向ってやつですね。大学では平衡定数を圧力一定の元で微分したもので考えます。そもそもルシャトリエってただの経験則にすぎませんしね。

ク 活性化状態(遷移状態)
化学反応途中の高エネルギーの状態をこう呼び,その中間体を活性錯体と呼びます。この活性化状態と反応前の状態のエネルギー差が活性化エネルギーです。
今の高校では活性化状態で習いますが,遷移状態の方がなじみがあるのは私がおっさんだからでしょうか。

ケ 1.59×102 kJ・mol-1
6と7が起こった結果が4の9kJの発熱です。よって,
-150+Q=9⇔Q=159


常に平衡なので,”K=”の式が成立しています。
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サ [I2]にのみ比例する。
(6)の正反応が起こるとすぐにIが消費されるということになるので,Iのできる速度がすなわち全体の速度になります。このように一連の反応の中でボトルネックとなって全体の反応速度を決めてしまう反応段階のことを律速段階といいます。流れ作業をしていて一人遅い人がいるとその人の処理速度で決まってしまう感じですね。

したがって,Iのできる速度は[I2]に反応速度定数をかけたものになるので、[I2]に比例します。

【参考】計算による解法
I濃度が一定になると仮定します。6の正反応の定数をk,逆反応をkとします。
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コはk≫k2なので
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サは(実際は平衡が成り立たないので[I]は一定ではないですが)k2≫k,kより,
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【参考】化学式の係数と反応次数や平衡定数の関係
本問のように”反応速度式の次数≠化学式の係数”のケースはありますが”化学平衡の次数=化学式の係数”は常に成立します。高校では反応速度がつりあう的な議論で証明するため成立しないように思うかもしれませんが,化学平衡は反応速度式から来るものではなく,熱力学関数である自由エネルギーの減少からくる概念です。反応速度式的な考え方は全く必要としないので”反応速度式の次数≠化学式の係数”でも,”化学平衡の次数=化学式の係数”が成立します。


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テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

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