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東京大学2014年前期化学第2問I
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解説


ウのような有機物の酸化還元反応は考え方を知らない人も少なからずいそうです。あとはカのような理論値からズレた理由を問う問題は過去にも出ており,今回は簡単ですが多くなる場合や少なくなる場合に結局何が考えられるのかを論理的に導けるかどうかです。

ア K2Cr2O7+2KOH→2K2CrO4+H2O
ニクロム酸イオンはpHによって可逆的にクロム酸イオンになります。価数が変わらずに+6であることを覚えていれば作ることができると思います。


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2-プロパノールが酸化されるので,アセトンになります。

ウ 8.6×10-1 mol・L-1
酸化還元反応なので,酸化数の変化を基準に式を立てていきます。
まず,ニクロム酸カリウムの方はクロムひとつ当たり+6→+3で(あんまり意味がないですが緑色ってのもヒントです),酸化数変化は-3です。ニクロム酸カリウムとしては-6の変化です。

次に,2-プロパノールの方は変化がある炭素で考えます。
ヒドロキシ基がついている炭素の酸化数は,その炭素についている元素と結合の本数から算出できます。Hと2CとOがそれぞれ単結合なので,-1+2×0+1=0が酸化数となります。一方,反応後のアセトンですが,2Cが単結合でOが二重結合なので,2×0+2=+2となり,酸化数変化は+2です。

以上から,次の化学式の骨格が決定します。
K2Cr2O7+3CH3CH(OH)CH3→3CH3COCH3+2Cr+3+6H+7O-2+2K
あとは硫酸でHなどを補います。酸素と水素の比的に14-6=8だけHが足りないので硫酸4つ追加します。
K2Cr2O7+3CH3CH(OH)CH3+4H2SO4→3CH3COCH3+Cr2(SO4)3+7H2O+K2SO4

この化学式から反応したニクロム酸イオン:アセトン=1:3だとわかります。
アセトンの分子量は58なので,ニクロム酸カリウムの濃度をxとすると,
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(一応プロパノールが十分あるかについてですが,プロパノールの比重的に2mlでは1g以上はありそうなので,生成物のアセトンの質量と比較するとプロパノールが余ってニクロム酸イオンが全量反応したと考えられます。)

エ 9.8×10 kJ
触媒では活性化エネルギーは変わるけれど,生成物と反応物のエネルギーが変わるわけでもないので,発生(吸収)するエネルギーも変わりません。

オ H2S 1,3
硫化鉄と希硫酸を混ぜて熱するので,弱酸遊離というか揮発酸が出てくるというかの反応で,硫化水素が出てきます。
性質としては水に微量に溶けて電離するので弱酸性であり,分子量は空気の平均28ぐらいよりも大きいため下方置換で収集します。硫化水素は無色で腐卵臭のする気体であり,5は塩素,6は二酸化窒素ではないでしょうか。


硫化水素が溶解したままであり,硫化物イオンが過マンガン酸カリウムと反応するので,その分鉄が多く見積もられてしまうから。

100%を超えるということから,硫化鉄を定量する物質と反応してしまう物質があると分かります。ここでは過マンガン酸カリウムで鉄(II)を酸化して定量しているので,鉄(II)と同様に酸化される物質が煮沸しないと残ることになります。
入れているもの的に硫化水素しか還元力を持つものはありませんし,”煮沸=気体を追い出す”というのは常識レベルなので,硫化水素が完全に合致します。

キ 96%
硫化鉄っぽいものを1gとかしたものを滴定しているので,ここに硫化鉄が何g入っているかということです。つまり,鉄のモル数を出して計算することになりますが,鉄は+2→+3の+1変化で,過マンガン酸カリウムは+7→+2の-5変化なので,5:1で反応します。過マンガン酸カリウムは分子量158,硫化鉄は87.9なので,
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1g中0.961gなので,96%です。

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2014/04/22(火) 21:17:09 | | # [ 編集 ]
ウの化学式の係数ミスを指摘していただきありがとうございます。
訂正しておきました。
本ブログは間違い探しだとも思っていたりしますが,今後気をつけます。
2014/04/22(火) 23:42:56 | URL | 解説の人 #- [ 編集 ]
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