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東京大学2014年前期化学第2問II
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解説


物質の溶けやすさがどのように決まるのかの問題です。新研究とかで見たことのある受験生は少し対応しやすかったのではないでしょうか。

ク a:3 b:4
イオン化傾向が高い金属ほど水と激しく反応します。酸に溶けるか溶けないかは,水素よりもイオン化傾向が大きいか大きくないかで,水素よりもイオン化傾向が小さい銅や銀は溶けません。溶かすにはどうするかというと,酸化剤で酸化物にしてやれば塩基性酸化物として酸に解けるようになります。

ケ 8HNO3+3Cu→2NO+3Cu(NO3)2+4H2O
問題文にもありますが,とりあえず私が覚えている事項は希硝酸ならNOで,濃硝酸ならNO2です。これだけ覚えていれば書けるでしょう。希硝酸の場合の酸化数変化は+5→+2なので-3の変化です。一方,銅は0→+2の+2変化なので,化学式の骨格は

2HNO3+3Cu→2NO+3Cu+2+2H+4O-2

いつも通り酸素と水素の比をあわせるために,8-2=6のH分のHNO3を足してやります。

8HNO3+3Cu→2NO+3Cu(NO3)2+4H2O


コ c:2 d:1
式(1)のQが大きいほど,つまり発熱反応であるほど溶解度が大きくなるようなので(大学生向けに言えば,発熱反応ということはΔHが負であり,ΔGも負になりやすいということです),つまり,イオン化の吸熱過程は絶対値が小さく,水和の発熱過程は絶対値が大きいとQも正の大きな値になります。式で書くと,

Q=Qイオン化+Q水和=|Q水和|-|Qイオン化


e:
式(3)にそれぞれ代入して求めて差をとります。
todai_2014_chem_a2_5.png

f:
同じく式(6)をそれぞれで求めて差をとります。
todai_2014_chem_a2_6.png

シ α:2.2×102 kJ・mol-1・nm β:5.6×101 kJ・mol-1・nm
代入してやるだけです。
todai_2014_chem_a2_7.png
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”絶対値の変化量”って書かれている意味がわからないのですが,とりあえず溶解熱がどうなるかで考えます。B-Aなので,正だとBの溶解熱が大きいということです。

セ 最も高いLiI 最も低いLiF
参考にある事項から,定性的にLiの半径は小さいので,イオン化の際に相手のイオン半径の影響が強く出てしまうことから,陰イオン半径の小さなFが溶けにくく,大きいIが溶けやすいと計算しなくても推測はできます。
まじめに計算するにしても数値代入は赤本にでも任せるとして,多少誘導を無視して数理的に解いてしまいましょう。相手のイオン半径を陽イオン半径rのx倍だとします。
todai_2014_chem_a2_10.png
となり,x=1でQ'は負から正になるので,極小値です。したがって,全陰イオンがこのxより大きい値なので,近いほうから極小に近い溶解熱になり,LiF<LiCl<LiBr<LiIの順の溶解熱になり,溶解度もその順です。

【参考】イオン半径が溶解度に与える影響
よく挙げられる例としては,2族元素において,硫酸塩と水酸化物の各金属の溶解度が逆転する現象です。硫酸塩の溶解度はBe>Mg>Ca>Sr>Baですが,水酸化物ではBe<Mg<Ca<Sr<Baとなります。
なぜこのような逆転現象が起こるのかですが,陰イオン半径が大きい(硫酸イオン)とQイオン化は陽イオン半径に余り依存しなくなり(本問の式(3)参照),一方で,陽イオン半径が小さくなるとQ水和はその分大きくなるからです(本問の式(6)参照)。
逆に陰イオン半径が小さい(水酸化物イオン)とQイオン化は陽イオン半径が小さくなると急激に大きくなり溶けにくくなります(水和の方も当然大きくなりますがイオン化の変化が勝ちます。)

以上を図でまとめると,
todai_2014_chem_a2_4.png

のようになり,陰イオン半径が小さくなると水和は上シフト,イオン化は右シフトになるため,陰イオンが小さいものでは陽イオンが小さいものはイオン化が難しくなって解けなくなってしまいます。
一方,大きな陽イオンではもともとイオン化に要するエネルギーはある程度平らな範囲にいるので,陰イオンが小さくなってもそれほど影響は受けず,むしろ陰イオンが小さくなったことによって上シフトする水和熱の増加の影響を主に受けることになります。

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