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東京大学2014年後期総合科目II第1問A
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解説


ゲーム理論といわれる経済学の一分野の問題で,ほぼ同一の問題がゲーム理論の教科書にも載っているぐらい有名な問題です(載っている本の例は大学生向けになりますが,本記事の最後に挙げておきます)。1~3はクールノー複占市場に関する問題で,簡単ですが場合分けを忘れてしまいがちです。4は情報不完備(ゲームの情報を全て持っていないこと。本問では相手の費用に関する情報が確定したものではありません)なクールノー複占市場の問題で難しめです。

というか初めて解いてみた時より式がとんでもなく膨大になっているんで,何か大きな見逃しをしていると思います。

(A-1)
問題文の利潤の式に代入して最大値となるq1を求めるだけです(このq1のとり方を最適応答対応といいます)。利潤は,
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となります。ここでq1≧0なので,頂点を含められる場合と含められない場合で分ける必要があり,
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(A-2)
均衡点の定義から,ともに相手の生産量(戦略)に対して最適応答対応になっています(均衡点について興味ある方は”ナッシュ均衡点”や本問の場合は”クールノー・ナッシュ均衡点”あたりで検索してみるといいかもしれません。)。つまり,企業2においても(A-1)の添え字を入れ替えたものになります。ここで,問題は場合わけがあることであり,均衡点において生産量が0となる戦略があり得るのか考える必要があります。q2=0とした場合を考えてみると,
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このときの企業2の最適応答対応は,
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となり,初めに置いた最適応答q2=0よりもいい戦略が存在することになり,均衡点であることに矛盾します。また,添え字を入れ替えれば,同様のことがq1=0に関してもいえるので,
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これは
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となり,連立方程式の前提q1>0を満たしています。また,添え字を変えても同様に成立します(絶対値が出てくる辺りが添え字の交換を考慮した式展開です)。

(A-3)
つまり,均衡点が市場全体として最適であるか否かです(パレート最適とか言った気がします)。まじめに利潤の和を考えて平方完成してもいいのですが,コストが低い企業のみが作ったほうが利潤は大きくなるので,単位コストが一定であることから,コストの低い企業2が全力の場合が利益が最大になります。よって,q1=0にしてやればいいことになります(このときにq2≧0になることは既に(A-2)で議論済みです)。
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次に(A-2)との比較ですが,(A-2)の企業1,2の和から引いてやると(q2はq1の添え字を入れ替えただけです。),
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(A-4)
相手のコスト情報を確率的にしか分からない場合はその期待値で考えようということなので,企業2の生産量の組を所与とした場合のq1Lを利潤から求めると,
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他のものも添え字とH,Lを入れ替えただけのものになります。
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H>Lより,企業1と2のいずれでも0になる条件はqLの方がqHより厳しく,0にならない場合でもqH≦qLが成立します(等号成立はともに0の場合のみ)。さて,場合わけが面倒なので,0になるケースがあり得るかで考えます。対称性から企業2の生産量が0か否かで考えます。

(i)q2L=0,q2H=0のとき
この場合,
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となりq2L=0に矛盾します。

(ii)q2L≠0,q2H=0の場合
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となり,q2H=0に矛盾します。

(iii)q2L≠0,q2H≠0の場合
ただの連立方程式です。期待値に直してやれば,
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となり,(A-2)のコストが変わっただけです。結果に代入してやれば,
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次に引いて比較してやります。
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まあ当たり前に(A-4)の方が小さいです。これは相手が高コストの雑魚企業の可能性があるその分だけ有利になることから明らかな気もします。


【参考】ゲーム理論の教科書(大学生向け)
次の本において1~3のほぼそのまま(解法は一部が練習問題扱いです),4は一般化してコストを離散的ではなく連続的にしたものが取り扱われています。左の新版は手元にないので章数が分からないというかもしかしたら載っていないかもしれませんが,右の旧版では1~3が第2章6節(1),4が第5章7節(4)において扱われています。
全般的なゲーム理論に関する本としても,日本語で書かれたものの中では割としっかり書かれているので,ある程度数学ができてゲーム理論に興味がある人にはお勧めな気がしなくもないです。


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テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

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