ひたすら受験問題を解説していくブログ
対称性を利用した求積問題(東京大学2005年前期数学第6問の類題)

Q


次の問題を東大2005年6問目と同じように解いてみたところ答と一致しません。どこがおかしいのでしょうか。問題自体はハイレベル理系数学という問題集のものです(ブログ主注:余計な部分をなくして書き換えています)。

rを正の実数とする。xyz空間において
x2+y2≦r2
y2+z2≦r2
z2+x2≦r2
をみたす点全体からなる立体の体積を求めよ。

==以下解答概略==
対称性をチェックすると,x,y,zの符号を入れ替えても同じなので,それぞれyz,zx,xy平面に対して対称。
また,x,y,zはどの二つを入れ替えても同じなので,x=y,y=z,z=xに対称。

z=tで切った断面を図示すると,tの値によって次の2通りが考えられる。いずれにおいてもyz,zx,xy平面の対称性から薄い灰色(iiでは濃い灰色と同一)の断面を考えてやればよく,さらにy=z,z=xの対称性からy≦t,x≦tの濃い灰色の断面だけ考えて32倍すればよい。

(i)0≦t≦r/√2
qa2_a1_1.png
qa2_a1_4.png

(ii)r/√2≦t≦r
qa2_a1_2.png
qa2_a1_5.png

(i)(ii)を足して32倍すると,
qa2_a1_6.png
==以上解答概略==

他の方法で求めた答えは
qa2_a1_7.png
となり一致しません。

A


この問題も対称性を上手く使っていくと楽な問題です。質問者様の間違っている点はx=zの対称性を使った後に,y=zの対称性を使っているところです。x=zで切ったものはもはやy=zで対称ではなくなってしまっています。条件式に書けば,”x≦z”という式が追加されており,yとzを交換するとこの”x≦z”が”x≦y”になってしまうため対称性は使えません。

本問の図形は複雑なので簡単な例で見てみましょう。例えば,下図の正方形ですが,x軸,y軸,x=y,x=-yに対称です。これを,x軸→y軸の順に対称性を活用すれば面積は1/4になりますが,初めにx=yを使った後にy軸の対称性を使おうとすると意味がわからなくなります。このように対称性を活用して図形を分割するときに別の対称性が崩れることはよくあります。そのため,互いに直交するなどのわかり易い対称性(x軸とy軸の対称性)以外はその都度確認する必要が出てきます(逆にもとの図形になかった対称性が出てくることもあります。例えば先ほどの正方形においてx軸で折り返した後,x軸に平行かつできた長方形の真ん中を通る直線による対称性です。)。
qa2_a1_3.png

以上から,本問でもx=zの対称性のみでy=zの対称性を導入しなければさくっと解けます。(i)の方で使えない対称性の条件y≦tを取っ払えば,
qa2_a1_8.png
となりコツコツやった積分と一致します。
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テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

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