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東京大学2014年前期生物第3問
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解説


DNA修復機構と細胞周期に関する問題(文1,2)と酵素活性や欠損に関する問題(文3)です。IIが全体的に難しめな印象で,細胞周期の監視が絡んでくることを押さえられないと点が取れません。

I
A (3)
選択的スプライジングではなく遺伝子再構成によるものである。

知識問題です。
(1)
正しいです。ヒストン8量体にDNAがまかれてヌクレオソームを形成し,これが更にコイル上になってクロマチン繊維になります。ヒストンはメチル化やアセチル化されることによって,クロマチン繊維がそれぞれ凝集と弛緩されるので,DNAの転写量調整にも関わっています。
(2)
正しいです。真核生物では基本転写因子を必要とし,転写制御に関わる因子がつく位置は原核生物とは異なり,構造遺伝子のすぐ側とは限りません。ある程度はなれたところについた因子がDNAの折り畳みによって制御に関わってきます。基本転写因子の制御の仕組みは,DNAの構造変化というよりもタンパク質-タンパク質間の相互作用によるものだと考えられています。これは,基本転写因子にはDNA結合部位と活性に必要な部位が別に存在することから推測されています。
(3)
誤りです。免疫グロブリンやT細胞レセプターの多様性は遺伝子の再構成によって実現されています。これはDNAレベルで起こるパターンメイドのようなものです。免疫グロブリンなら,H鎖はV,D,J,L鎖にはV,Jにそれぞれ何種類かのパターンが用意されていて,H鎖のVはこのパターン,H鎖のDはこのパターン・・・といった感じでランダムに選ばれて新しい遺伝子が作られます。そのため多様な遺伝子が作られ,そこから作られる免疫グロブリンも同じだけ多様になります。
一方,選択的スプライジングはRNAで起こるもので,転写されたRNAのうちで必要なエキソンのみを使ってmRNAが作られることを指します。つまり,スプライジングの際に使われるエキソンと使われないエキソンを選択するというものです。この意味は,一つの遺伝子から複数のタンパク質をコードできるということになります。選択的スプライジングが可能なのは,文3で取り扱っているようにタンパク質の各部分にそれぞれ役割があるからで,「リン酸化する」という部品を「△△と結合する」や「××と結合する」と組み合わせて,同じような機能を持っているが対象の異なるタンパク質を効率よくコードできるということです。
(4)
正しいです。塩基の種類は4種なので,4の6乗です(塩基対は一方だけ決めると対も決まるので片方のみでOK)。

B G1:a領域 G2:c領域 S:b領域 M:c領域
G1→S→G2→Mの順番で,S期でDNAが複製されるので,S期中は増えていき,S期が終わってからは分裂が終わるM期の最後までDNA量が2倍です。

II
A (7)
DNAの修復しないとG2の次に移行できないので(実験3を参照),どんどんG2期に溜まっていきます。もともと変異細胞AではG2期の割合も正常より多いので,1は正常細胞の50より大きくなければなりません。また,DNA修復ができない以上,正常細胞よりも生存率は低くなるので,2は正常細胞の50未満になります。よって答えは(7)です。

B
変異細胞Bでは正常細胞と異なり,DNA損傷の有無によってG2期の長さの延長は見られない。つまり,修復完了をチェックして次の期に進むわけではなく,完了前に次の期に進んでしまう細胞が一定割合出現し,死に至るから。

図3-2より,正常細胞ではX線照射(DNA損傷)によってG2から次の期の移行する細胞が明らかに減るが,変異細胞Bでは全く変化ありません。表3-1より,変異細胞Aと正常細胞の間ぐらいの生存率,つまり,修復酵素はあるけど十分機能していない状況です。
これら二つの関連性を,DNA修復はG2期で起こること,および,文2冒頭の細胞周期監視とを絡めて考える感じです。

C
紡錘体形成阻害剤によりG2期で停止させた正常細胞と変異細胞BにX線を照射し,修復に十分である8時間以上経過した後に阻害剤を除去する。変異細胞Bの生存率は正常細胞と同程度になる。

修復酵素が存在することを示せということなので,Bで考えられる別の原因を取り除いてやることになります。つまり,DNA損傷が生じてもG2期が延長されないという点を解消してやるということです。
紡錘体形成阻害剤って指定がなければもっといっぱい手段はありそうです。例えばRNA干渉で修復酵素を阻害してみたり,ウェスタンブロッティングで修復酵素の存在調べたりですね。

III
A e
活性が皆無になるのはeがないときのみで,それ以外は正常タンパク質XのYがない場合と同程度の活性は見られます。

B b
Yがあると活性が高まります。つまり,Yがあるにもかかわらず活性が高まっていない場合の欠失領域がYと結合していると考えられ,bが答えになります(もちろん結合だけではなくY関連で活性を有する領域の可能性もありますが,bしかないので深く考える必要はありません)。

C (4)
cの領域を欠くと,YがなくてもY有りと同じような高活性になります。
(1)(2)Yの有無が関係ないのでおかしいです。
(3)欠けたら活性は低くなっちゃいますね。
(4)正解。欠けたら抑制が外れて活性が高くなります。
(5)(6)もはや何が言いたいのか私には不明な選択肢です。

D
ホルモンZによってタンパク質Yが増加すると,タンパク質Xの領域bにYが結合する割合も増える。この結合によって,領域cによる活性の抑制が解除されて酵素活性が高まる。

E 3:(3) 4:(5)
a/bのみだとYと結合します。つまり,YをXから競合的に奪えるということです。
3:
YやXより多いのでYのほとんどを欠失型がさらっていきます。Yは分解されるわけでもないので,その後の変化はありません。よって,(3)です。

4:
Yが大量にあるので,例え欠失型が全部結合したところでまだ十分なYがあるので,Xに結合できるYは十分あります。Yは分解されたりしないので,その後の変化はありません。よって,(5)です。

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