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東京大学2002年前期物理第1問
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解説

確か標準問題精講にも載ってた問題でなかなかいい問題です。テーマは非破壊検査といったところですか。内容としては難しくも簡単でもないですが,I(5)あたりは少し差がつくのでしょうか。IIについては要望があったので,慣性モーメントによる解法も別解として挙げておきます。また,自分の生徒に解いてもらった際に出た疑問”重心系で考えてなぜだめなのか”について補足として書いておきます。

I
(1)
止まる直前なのでbがCにいるとして式を立てます。摩擦しかパイプ方向には働いておらず,bは動いていること,つまり動摩擦力になっていることに注意すると,
μNa=μ’Nb

(2)
パイプ方向は無視できるので,垂直抗力だけで式を立てます。垂直抗力は使ってはいけない文字なので,(1)を使って消してやります。
todai_2002_phy_a1_1.png

(3)
a,bの状況が逆転しただけなので,(1)及び(2)で文字を入れ替えれば成立しています。lがAからB側に向かう距離だったので,これをBからA側に向かう距離に直すとd1-lです。したがって,(2)に代入して(2)を利用して邪魔なlを消せばOKです。
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(4)
(3)を(2)に代入するだけのお仕事です。
todai_2002_phy_a1_3.png

(5)
同様に考えていけば,μ’/μ=dk+1/dkが得られます。また,lは以下の様にa,b間に存在します(というか間になかったらa,bのモーメントが同じ方向なので回ってしまいます)。
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であり,d3以降はパイプの関係のない部分を切り落として考えれば同様なので常にa,b間に重心は存在します。

μ’/μが1より小さいことを考えると,k→∞でa,b間は0になるので,a,bはともに重心で重なります。

II
(1)
複雑な運動の速度ほどエネルギー保存則です。各小球の角速度が一緒なので,速度=角速度×半径を利用すると,
todai_2002_phy_a1_5.png

(2)
(1)と等式をとるだけです。
todai_2002_phy_a1_6.png

【II(1)別解答】慣性モーメント(大学生向け)
角運動量r×vを微分すると
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|v|=|r|ωかつv⊥rなので,
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というオイラーの運動方程式を得られます(左辺のmr2が回りにくさを表す慣性モーメント)。右辺は力学的モーメント(つまりトルク)です。これをすべての物体について足してやれば,
todai_2002_phy_a1_9.png
が成立します(左辺のΣ部分が慣性モーメント)。本問でいえば,
todai_2002_phy_a1_10.png
となります。これは半径1で重力加速度が右辺からmsinθを除いたものと同じです。したがって,エネルギー保存則は
todai_2002_phy_a1_11.png

【補足】重心による解法がだめな理由
一般に重心にまとめても以下のようにエネルギー保存則は成立します(注:エネルギーの基準は異なるので,非重心系のエネルギーを表す時は重心の運動エネルギーと質点の相対的な運動エネルギーが必要です)。Fiは質点iに働く外力,Fikは質点iに質点kから働く内力です(つまり,Fik=-Fki)。各質点の運動方程式の和をとってエネルギー保存則まで持っていきます。M,F,A,V,Rはそれぞれ総質量,総外力,重心の加速度ベクトル,速度ベクトル,位置ベクトルです。
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となり,仕事込のエネルギー保存則が成立します。しかし,本問に適用してしまうと以下のように間違った答えになってしまいます。
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どちらかと言えば,(2)の方に近しい感じですね。これが間違っている理由としては内力が実はきれいに打ち消しあっていないというか,考慮していない外力が働いているというかといった感じです。そもそも,各質点が互いに剛体としての影響なく運動する場合には,パイプが180°回転した際の角速度が以下のように半径に依存してしまいます。
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つまり,2質点が同じ角速度で動くためには何らかの力が加わっていることがわかります。半径が大きいほど角速度は遅くなるので,質点1は減速方向,質点2は加速方向ですね。さて,この力なのですが,内力として打ち消すことはできません。例えば,長さLの棒の一点を固定し,どこか適当なところに力を加えます。この力に対抗して棒を回らないようにするためには加えた力と同じ力ではなく,同じ大きさの力学的モーメントを加える必要があります。すなわち,剛体の回転運動で作用反作用的にかかるものは力ではなく力学的モーメントになるということです。

以上から,モーメントの作用反作用で同じ角速度になるように立式すると,剛体として追加される力学的モーメント(Tとします)を計算できます(これって最早別解答の慣性モーメントの式ですね)。
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このTを代入してかかっている力を出してやれば,各質点単体だろうが重心まとめてだろうがエネルギー保存則で求めることができます。各見かけの重力を計算し(質点1,2はgに下添え字,重心はG),エネルギー保存則を使うと,
todai_2002_phy_a1_16.png
と全部一致します。質点1,2にかかっている力の差は固定したAから受ける力で補われており,この力の作用点は運動していないため,本解答のようなエネルギー保存則を立てたものには出てきません(仕事が0ということです)。

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テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

コメント
コメント
解説ありがとうございます。重心で解いて失敗してしまったので非常にためになりました。
いつもお世話になってます。
2015/09/01(火) 01:59:41 | URL | NaNrou #- [ 編集 ]
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