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東京大学2016年前期化学第3問I
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解説

ごく普通の有機の問題と見せかけて罠があります。真面目さが足りない人は引っかかったんじゃないでしょうか。あと,オは勝手にデータ改変しないとか当たり前のところですが,近年これ系の問題をよく見る気がします(生物かも)。まあ,学生実験なら変えちゃった方がレポート評価高くなりますけどね。実験は出席してテキトーに過ごし,それっぽい誤差含めて書けば優が来るのが東大教養の実験です。

ア (4)
フラスコ中の物質量が多くなり,正確な定量ができなくなるから。

(1)○ ホールピペットはモルを正確に測るために使っています。液量が保証されているのでモル濃度を正確にすればいいので,共洗い。
(2)○ メスフラスコは正確なモル濃度の正確な量の溶液を作るのに使っています。したがって,入れるモルが正確でなければなりません。共洗いすると増えます。
(3)○ モルを正確になので,薄くならなきゃいいです。ちなみに加熱乾燥は体積が変わるので厳禁です。生物系だと加熱殺菌しちゃう研究室とかありそうですけど。

イ エステル結合 2個
参考に記載したように,おさぼりは厳禁です。中和反応後のpHが11なので,使われた水酸化ナトリウムの量が出ます。
液量は変わらないので,中和の関係式から反応した酸のmolを求めると,

0.250×10m/10-10-3×50m=0.2 mmol

Aの分子量が194であり,19.4m/194=0.1mmolの2倍です。つまりAの分解産物にはカルボン酸が2個あります。また,けん化前は解けていないので,Aの段階ではカルボン酸ではないです。したがって,エステルが2つとなります。

ウ NaOH+CO2→NaHCO3
分子式を見たらまずは不飽和度をチェックしないとダメですね。(10×2+2-10)/2=で6です。エステル二つと芳香族のベンゼン環に使われているので,もう余りはありません。また,Oも余りがありません。
なのに実験1で銀鏡反応を示すので,エステル結合の一つはギ酸エステルだとわかります。けん化産物であるギ酸Naも二酸化炭素で遊離しないので,中和反応は残った水酸化ナトリウムと二酸化炭素の反応になります。

1.12m/22.4=1/20 mmol

の二酸化炭素で,水酸化ナトリウムの残量と等しいので上記のように一対一で反応します。


Bの分子式より不飽和度は5で芳香族確定です。
実験4において,Bは炭酸で遊離しないのでカルボン酸確定(もう不飽和はありません)で,残ったOがNaとついていないことからフェノール性ヒドロキシ基ではないことが分かります。またギ酸も出てくることから,もう一方のけん化産物がC一つのアルコールであることが分かります。
ギ酸とくっつくためにはというか,エステル産物でBのOが1つ余っているので,ヒドロキシ基になります(ケトに変わる可能性もありますが,不飽和度や炭素の数から否定できます)。
以上から,BはCOONaとアルコール性ヒドロキシ基をもつ芳香族で,実験5によって分子内脱水(炭素数が同じ)をしているのでオルト位についています。
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【参考】ちゃんと実験2で計算しないとどうなるか(アルデヒドの罠に気づけないとこうなります)
不飽和度6です。芳香族らしいので,ベンゼン環で4,実験1の記述からアルデヒド(不飽和度1),実験2のけん化からエステル(不飽和度1)でちょうどです。
酸素の数に着目すると,この時点で1個余るので,エーテルかヒドロキシ基(フェノールに注意)です。
実験4において,Bは炭酸で遊離しないので,COONaです。また不飽和度のチェックより,不飽和度5であり,ベンゼン環の4とCOONaの1で終わりなので,残りのO一個はエーテルかアルコール性ヒドロキシ基です(フェノールならpH11でNaが付く)。
実験5で分子内脱水しているので,アルコール性ヒドロキシ基に確定です。COONaとCH2OHがベンゼン環についていて,脱水できる距離にあるので,解答通りになります。

一方,Bの相方はアルデヒドとヒドロキシ基が確定します。つまり,CH2(OH)CHOとなり,Aが解答とは異なるものになってしまいます。

オ (2),(4)

(1)○ 実験で使用したものは記載すべきです。使わないのはだめですが,使ってないのに使用したと書くのはだめです。
(2)× 起こったままのことを記述することが重要です。
(3)○ 実験としてはだめですが,レポートはそのままを書くべきです。もしかするとそこから新たな発見があるかもしれませんね。
(4)× 実験データを改ざんしないでください。記載した上で原因を考察すべきです。
(5)○ 参考文献を当たることは良いことです。実験で分かった性質を虚偽の記載にするとか改ざんするとNGです。


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テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

コメント
コメント
実験5でスルホン化が起こることはないのでしょうか。
2017/02/07(火) 20:41:51 | URL | kaiji #3fIBvpkA [ 編集 ]
少しは起こるかもしれませんが,副産物であり,解答にはならないです。
実験5では濃硫酸は少量しか加えていません。つまり触媒量ということです。
2017/02/07(火) 23:08:08 | URL | 解説の人 #- [ 編集 ]
なるほど!少量だから反応には使われないのですか。ありがとうございました。
2017/02/09(木) 21:15:25 | URL | kaiji #3fIBvpkA [ 編集 ]
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