ひたすら受験問題を解説していくブログ
東京大学2016年前期物理第1問
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解説

理三や上位合格狙いじゃない人も満点を狙っていい問題です(一応III(2)(3)が立ちはだかる気はしますけど)。IIIが重心周りの単振動を導出させる問題ですが,正直なところ東大受験生なら類題を何問も難問も解いたことあるでしょう。また,計算はあまり煩雑にならないように問題の方が適当に文字において使わしてくれています。

I
(1)
完全弾性衝突なので反発係数と運動量保存則です。求めるものが反発係数にそのまま出てくるので,そちらだけで求まります。
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(2)
こっちはこれに運動量保存則を追加して連立方程式を解きます。
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最後のv'2を求めるところはMとmを置き換えて±反転してもOKです。

次に高さHですが,結局のところM/m→∞でv'1は3vになるので,運動エネルギーは9倍です。したがって,位置エネルギーも9倍にならねばならないので9倍です。

【別解答】
M/m→∞ならば壁がvで小球1に迫ってくることと変わりません。壁基準の座標系で小球1は-2vなので,衝突後は2vになります。壁基準を解除すると,3vになります。したがって9倍です。

II
(1)
M=3mにはその理由があるのでしょう。入れてみると小球2の直前の速度v2=0となります。したがって,
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(2)
力学的エネルギーが保存っていうのは弾性衝突と考えてOKということなので,Iと同じ感じで解きます。
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【別解答】座標変換による問題の同一化
同じ感じでということは座標変換をうまく使えば同じ問題にできるということですね。v1/2で運動する系から観測すれば,小球1と小球2がv1/2,-v1/2でぶつかる問題になります。したがって,符号に注意してI(2)に代入し,v1/2を足して元の座標系に戻すと,
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(3)イ
各線からここまでは絞れます。
実線(重心)なら,小球2が浮く前は-mgの力,浮いた後は-4mgの力なので,傾きが負で急になっているイウエに絞れますが,運動量保存則が成立するので速度が急に変わるエはだめです。

点線(小球1)なら,(2)でマイナスで半分になっているのでイエに絞れます。

破線(小球2)なら,初めは0で正になり,小球1と絶対値は同じなので,イエに絞れます(私には絶対値が同じに見えないですけど)。

個人的には破線と点線って同じものだと思っていたので,そこの方が本問より難しかったです。

III
(1)
小球2の運動方程式を考えれば,
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(2)
v1を使えとあるので,そこ基準のエネルギー保存則で行きます(要するにバネなのでこれぐらいしか手がないですね)。
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wは実数なので,
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【別解答】振動中心周りの保存則
振動中心は-mg/kなので,ここからの保存則ならば重力の位置エネルギーは内包されています。
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(3)
重心は外力である重力のみを受けるので加速度はgとなり,重心周りでは各小球にかかる重力は慣性力で打ち消されます。したがって,運動方程式は以下のようになります。ゴムの復元力は両者の位置の差から自然長を引いたものになることに注意し,単振動の証明は”加速度=負の定数×位置”の形なので,相対位置の方程式にしてやります。
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(Δlが十分小さいので半周期分とみなせます。)

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東京大学2016年前期物理解説
東京大学2016年前期物理の解説です。ほどほどに歯ごたえがあるのではないでしょうか?第1問は簡単だとして,第2問II(4),第3問I(4)II(3)あたりは難しめな気がします。

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東京大学2002年前期物理第1問
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解説

確か標準問題精講にも載ってた問題でなかなかいい問題です。テーマは非破壊検査といったところですか。内容としては難しくも簡単でもないですが,I(5)あたりは少し差がつくのでしょうか。IIについては要望があったので,慣性モーメントによる解法も別解として挙げておきます。また,自分の生徒に解いてもらった際に出た疑問”重心系で考えてなぜだめなのか”について補足として書いておきます。

I
(1)
止まる直前なのでbがCにいるとして式を立てます。摩擦しかパイプ方向には働いておらず,bは動いていること,つまり動摩擦力になっていることに注意すると,
μNa=μ’Nb

(2)
パイプ方向は無視できるので,垂直抗力だけで式を立てます。垂直抗力は使ってはいけない文字なので,(1)を使って消してやります。
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(3)
a,bの状況が逆転しただけなので,(1)及び(2)で文字を入れ替えれば成立しています。lがAからB側に向かう距離だったので,これをBからA側に向かう距離に直すとd1-lです。したがって,(2)に代入して(2)を利用して邪魔なlを消せばOKです。
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(4)
(3)を(2)に代入するだけのお仕事です。
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(5)
同様に考えていけば,μ’/μ=dk+1/dkが得られます。また,lは以下の様にa,b間に存在します(というか間になかったらa,bのモーメントが同じ方向なので回ってしまいます)。
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であり,d3以降はパイプの関係のない部分を切り落として考えれば同様なので常にa,b間に重心は存在します。

μ’/μが1より小さいことを考えると,k→∞でa,b間は0になるので,a,bはともに重心で重なります。

II
(1)
複雑な運動の速度ほどエネルギー保存則です。各小球の角速度が一緒なので,速度=角速度×半径を利用すると,
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(2)
(1)と等式をとるだけです。
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【II(1)別解答】慣性モーメント(大学生向け)
角運動量r×vを微分すると
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|v|=|r|ωかつv⊥rなので,
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というオイラーの運動方程式を得られます(左辺のmr2が回りにくさを表す慣性モーメント)。右辺は力学的モーメント(つまりトルク)です。これをすべての物体について足してやれば,
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が成立します(左辺のΣ部分が慣性モーメント)。本問でいえば,
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となります。これは半径1で重力加速度が右辺からmsinθを除いたものと同じです。したがって,エネルギー保存則は
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【補足】重心による解法がだめな理由
一般に重心にまとめても以下のようにエネルギー保存則は成立します(注:エネルギーの基準は異なるので,非重心系のエネルギーを表す時は重心の運動エネルギーと質点の相対的な運動エネルギーが必要です)。Fiは質点iに働く外力,Fikは質点iに質点kから働く内力です(つまり,Fik=-Fki)。各質点の運動方程式の和をとってエネルギー保存則まで持っていきます。M,F,A,V,Rはそれぞれ総質量,総外力,重心の加速度ベクトル,速度ベクトル,位置ベクトルです。
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となり,仕事込のエネルギー保存則が成立します。しかし,本問に適用してしまうと以下のように間違った答えになってしまいます。
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どちらかと言えば,(2)の方に近しい感じですね。これが間違っている理由としては内力が実はきれいに打ち消しあっていないというか,考慮していない外力が働いているというかといった感じです。そもそも,各質点が互いに剛体としての影響なく運動する場合には,パイプが180°回転した際の角速度が以下のように半径に依存してしまいます。
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つまり,2質点が同じ角速度で動くためには何らかの力が加わっていることがわかります。半径が大きいほど角速度は遅くなるので,質点1は減速方向,質点2は加速方向ですね。さて,この力なのですが,内力として打ち消すことはできません。例えば,長さLの棒の一点を固定し,どこか適当なところに力を加えます。この力に対抗して棒を回らないようにするためには加えた力と同じ力ではなく,同じ大きさの力学的モーメントを加える必要があります。すなわち,剛体の回転運動で作用反作用的にかかるものは力ではなく力学的モーメントになるということです。

以上から,モーメントの作用反作用で同じ角速度になるように立式すると,剛体として追加される力学的モーメント(Tとします)を計算できます(これって最早別解答の慣性モーメントの式ですね)。
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このTを代入してかかっている力を出してやれば,各質点単体だろうが重心まとめてだろうがエネルギー保存則で求めることができます。各見かけの重力を計算し(質点1,2はgに下添え字,重心はG),エネルギー保存則を使うと,
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と全部一致します。質点1,2にかかっている力の差は固定したAから受ける力で補われており,この力の作用点は運動していないため,本解答のようなエネルギー保存則を立てたものには出てきません(仕事が0ということです)。

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東京大学2002年前期物理解説
東京大学2002年前期物理の解説です。とりあえず要望のあった第1問だけ。


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東京大学2015年前期物理第3問
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解説


指示されている変化が何変化なのかはっきりさせてから望むのが定石で,本問ではIIで少し気づきにくいです。逆に言えば,何が固定になるかさえ気づいてしまえば,ただのよくある浮力と気体の混合問題です。

I
(1)
容器と気体をセットに考えると,かかっているのは容器の重力と浮力のみです(PSは打ち消されます)。したがって,
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(2)
PV=nRTにおいて一定なものはnRTなので,PV=一定です。初めの体積をV0とすると,水位が外と同じなら圧力は外気圧Pと同じになるので,
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II
(1)
問題文的にTもVも一定ではないのは明確ですが,Pが一定かは不明です。しかし,上昇後に静止することを考えれば,結局のところI(1)と同じ釣り合いの式が得られるので,Pは一定です(ゆっくりと上昇なのでつり合いが成立しています)。したがって,
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(2)
定圧変化なので,
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III
(1)
Tが一定でPがhからわかっていて,Vが不明です。とりあえずつり合いの式を立ててみると,
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(2)
まず,加圧するとPが増えるので,(1)よりhは小さくなります。これでウエですが,時間がないとついつい復元力としてウを選んでしまいそうですが,結構復元力にならないケースは多いです。本問の場合はつり合いより深くなると圧力が上がるため体積が減り,結果として浮力が減るため重力に負けます。したがって,エが正解です。

IV
(1)断熱変化なので,ΔU=-Wが思いつきますが,圧力一定ではないので,直接3RΔT/2で求めたほうが楽でしょう。
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【別解答】
無理やり仕事で行くならば,
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(2)
容器の位置エネルギーの減少分と浮力に逆らってする仕事

直接仕切りを押す場合との違いになるので,それ以外にかかっている力を考えます。かかっている力といえば重力と浮力です。
文字数的にはもうちょっと分けたほうがいいんですかね。浮力に逆らってした仕事は,水の位置エネルギーの変化と記載してもいいだろうし,浮力を容器上面と仕切り板に分けて書いてもよさそうです。



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