ひたすら受験問題を解説していくブログ
東京大学2017年前期化学第2問
todai_2017_chem_q2_1.png
todai_2017_chem_q2_2.png
todai_2017_chem_q2_3.png

解説

ク,コあたりは一応まともな記述でしょうか。他は全体的にレベル低すぎて落としたくないです。

I

(1)光を当てる
塩化物イオンで沈殿するのはAg,Pbで熱湯に溶けないのはAgです(アンモニアの話とかでも分かりますね)。銀化合物は銀の電気陰性度がそこそこ高いこともあり,光によって分解して銀が析出します(電子を奪い返すということです)。

(2)ギ酸
アンモニア性硝酸銀で銀鏡反応というやつです。したがって,還元性のあるカルボン酸を書けばいいので,アルデヒド基を持つギ酸になります。尚,ギ酸はフェーリング液は銅イオンとキレート錯体を形成するために陰性です。


x:Ba2++Na2CO3→BaCO3+2Na+
z:BaCO3+H2SO4→BaSO4+H2O+CO2

操作xでは塩基性になるのでZn,Fe,Alあたりも沈殿する感じではないでしょうか(Alはすぐに加水分解して水酸化物)。また,炭酸イオンではアルカリ土類金属であるBaは沈みます。
操作yでは煮沸によって硫化水素が逃げるので,Ba以外の上記の沈殿も解けると思います。
操作zでは酸性なので炭酸バリウムは溶けますが,硫酸イオンでもBaは沈みます。


a:煮沸する
b:濃硝酸を加えて加熱
c:アンモニア水を過剰に加える
aは硫化水素の追い出す。bは硫化水素でFe3+が還元されてできたFe2+をFe3+に戻す。cは水酸化ナトリウムの可能性もあるが,実験3でろ液にZnが行っているのでアンモニア過剰になります(また,炎色反応に影響も出ちゃいます)。

エ 赤 Li
いい加減にK村はそろそろリアカーぐらい買うべき

オ 1.0×10-3
H+が減るとS2-は増えて硫化物は沈殿しやすくなるので,下限を求めるにはZnSが沈殿しない条件を求めればよいです。電離定数からS2-をH+で表して溶解度積に代入します(手順は逆でもいいです)。
todai_2017_chem_a2_1.png

II
カ 最大: HNO3(もしくはN2O5) +5 最小:NH3(もしくはアニリンなどアミンの化学式) -3
原子の酸化数は,最大は最外殻電子をすべて除去したもの,最小は希ガス配置になるまで電子を受け取ったものになります。窒素の最外殻電子は5なので答えのようになります。

キ 3NO2+H2O→2HNO3+NO
2分子のNO2が酸化され,1分子が還元される仲間割れの式です。


キの反応式は平衡であり,硝酸濃度が高くなるとルシャトリエの原理より逆反応が進み,硝酸が減ると正反応が進むから。

こんな理由だったんですね。てっきり希硝酸だと酸化剤としてブラックな環境なのでこき使われてNOまで還元されると捉えていました。

ケ KNO3+H2SO4→HNO3+KHSO4
塩酸は硫酸と違って不揮発性ではないため,蒸留により硝酸のみを分離できないから。

反応式でK2SO4にならない理由は,硝酸は強酸であるためHSO4よりも強い酸だからです。
塩酸だと中途半端な王水な感じになってしまいます。

コ 発熱
二酸化窒素は不対電子を持ち不安定でエネルギーが高い。共有結合を形成してNが希ガス配置になると安定する分だけエネルギーを放出するから。

じゃあなんで平衡なのというと2NO2⇔N2O4の逆反応は気体分子数が増えるのでエントロピーが増大する方になっているからです(というか平衡のものは発熱とエントロピー増大が逆ですね)。


東京大学2017年前期化学に戻る

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2017年前期化学第1問
todai_2017_chem_q1_1.png
todai_2017_chem_q1_2.png

解説

第1問に有機とは珍しいですが,分量も圧倒的に少なく,内容もほとんど引っかかるところはない問題です。キが吸水性ポリマーの記述問題を丸暗記だと引っかかるぐらいです。

ア a:塩化カルシウム b:酸化カルシウム(水酸化カルシウム)
aは水だけを吸収しなければならないので,中性もしくは酸性の乾燥剤で,実際に使っている塩化カルシウムを書けばよいでしょう。
bは普段はソーダ石灰(酸化カルシウムを水酸化ナトリウム水溶液に浸して加熱乾燥)を使っていますが,化合物名で答えろとあるので,主成分である水酸化カルシウム(酸化カルシウムが水と反応しています)もしくは酸化カルシウムでしょう。

イ C4H6O2
1モルつまり86gのAを燃焼させると,2×27gの水つまり2×27/9=6モルのH,2×88gの二酸化炭素つまり2×88/44=4モルの炭素が存在します。酸素は86-6×1-12×4=32gであり,32/16=2モルです。


分子式から不飽和度を計算すると(2×4+2-6)÷2=2となります。エステルなので無条件で1使用し,炭素-炭素二重結合を持つので他に不飽和はありません。
炭素骨格を考えると,C3がカルボン酸であり,C1がアルコールだとわかります。よって,C3側にしか二重結合はありえないので,次の構造式に確定します。
todai_2017_chem_a1_1.png


不飽和度1のカルボン酸です。炭素の骨格を決めてから二重結合とか考えると楽かと思います。
todai_2017_chem_a1_2.png


エステルを加水分解で不安定と言えばアルコールのヒドロキシ基が二重結合のとなりだというアレです。Aとして考えられるものには次のものがありますが,ホルミル基を持たないので左のものになります。
todai_2017_chem_a1_3.png

加水分解して,エノールからアルデヒドへの変化も考えれば,
todai_2017_chem_a1_4.png

カ 1.0×103
共重合はまとまった比ごとに繰り返しとして考えるのが有効です。2×アクリロニトリル+A=2×53+86=192なので,Nの数はアクリロニトリルつまり繰り返し単位の2倍であることに注意して,9.6×104÷192×2=1.0×103


カルボン酸を多数持ち,カルボン酸が水素結合により水を捉えるから。

もしかして問題文ではけん化が正しいのでしょうか?吸水性ポリマーと言えばカルボン酸Naを持つものが代表的で,こちらは電離によるカルボン酸イオンの反発で網目構造が大きくなる,および,ナトリウムイオンがその網目構造に入ってきた水に溶けているので,浸透圧で水を吸収するという有名記述問題だったりしますが。
尚,浸透圧を利用したポリマーでは高張液ほど吸収しにくくなります。

東京大学2017年前期化学に戻る

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2017年前期化学解説
東京大学2017年前期化学の解説です。何と言いますか量質ともにかなり軽量化されていて,流石に東大受験生なめすぎでしょと言いたい所です。個人的には量はこの程度で難問がほとんどな東大入試が見てみたいです。第1問は満点が欲しいところですし,第2問第3問も論述が少しといった簡単な内容でなんとも。

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2016年前期化学第3問II
todai_2016_chem_q3_0.png
todai_2016_chem_q3_4.png
todai_2016_chem_q3_5.png
todai_2016_chem_q3_6.png
todai_2016_chem_q3_7.png

解説

ケのナフタレンが少し気づきにくいかもしれません。ベンゼン環とは嫌な言い方です。あとは普通ですね。平衡なんて入れるだけで近似もないですし。

カ a:(3) d:(1)
a:鏡像異性体において(OHとCH2を交換)OHを水素結合に合わせようとすると,CH2がL1のHの位置に来るため,イオン結合できなくなります。

d:平衡定数が大きいということは右に反応が進みやすいということなので(分子が大きいので),L2の方が付きやすいです。

キ (2)(4)
陰イオンになるものを選びます。中性アミノ酸の等電点は6,酸性アミノ酸は3,塩基性アミノ酸は10というのは覚えておくことです。7.4ならば中性アミノ酸も酸性アミノ酸も陰イオンになりますが,中性アミノ酸は主鎖のCOOHが陰イオンになるので,ペプチド結合している以上(というか側鎖と問題文に指定あり),酸性アミノ酸を選びます。側鎖にCOOHがついている(2)(4)になります。

ク 12通り
同じ置換基に変えても不斉炭素にはなりませんので,異なる二つを選ぶ感じです。また,CH2NH2は別の手と被るのでダメです。鏡像異性体が別扱いなので4つのもの(変えないHを含め)から二つ選んで並べるので,4×3=12です。


実験6より
C:H=165/44:27/9=5:4
C5H4=64
したがって,Oは(144-64)/16=5もしくは(144-64×2)/16=1のいずれかとなる。

実験7より
ベンゼン環を有するので,Cは6以上となり,C10H8Oとなる。Cはすべてベンゼン環なので,ベンゼン環が独立に2個はない(Cの数的にも)。したがって,ナフタレン環となる。
ナフタレンのHは8で,Hがついていない炭素が3つ並んでいるので,以下のようになる。
todai_2016_chem_a3_2.png


c:元のRの量をAとすると,ついていないRつまり[R]は0.2A。また,L1は一定に見なせるので,
todai_2016_chem_a3_3.png
e:[R・L1]=0.1Aと置け,[R]=BAとして平衡定数に代入する。
todai_2016_chem_a3_4.png

東京大学2016年前期化学解説に戻る

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

東京大学2016年前期化学第3問I
todai_2016_chem_q3_0.png
todai_2016_chem_q3_1.png
todai_2016_chem_q3_2.png
todai_2016_chem_q3_3.png

解説

ごく普通の有機の問題と見せかけて罠があります。真面目さが足りない人は引っかかったんじゃないでしょうか。あと,オは勝手にデータ改変しないとか当たり前のところですが,近年これ系の問題をよく見る気がします(生物かも)。まあ,学生実験なら変えちゃった方がレポート評価高くなりますけどね。実験は出席してテキトーに過ごし,それっぽい誤差含めて書けば優が来るのが東大教養の実験です。

ア (4)
フラスコ中の物質量が多くなり,正確な定量ができなくなるから。

(1)○ ホールピペットはモルを正確に測るために使っています。液量が保証されているのでモル濃度を正確にすればいいので,共洗い。
(2)○ メスフラスコは正確なモル濃度の正確な量の溶液を作るのに使っています。したがって,入れるモルが正確でなければなりません。共洗いすると増えます。
(3)○ モルを正確になので,薄くならなきゃいいです。ちなみに加熱乾燥は体積が変わるので厳禁です。生物系だと加熱殺菌しちゃう研究室とかありそうですけど。

イ エステル結合 2個
参考に記載したように,おさぼりは厳禁です。中和反応後のpHが11なので,使われた水酸化ナトリウムの量が出ます。
液量は変わらないので,中和の関係式から反応した酸のmolを求めると,

0.250×10m/10-10-3×50m=0.2 mmol

Aの分子量が194であり,19.4m/194=0.1mmolの2倍です。つまりAの分解産物にはカルボン酸が2個あります。また,けん化前は解けていないので,Aの段階ではカルボン酸ではないです。したがって,エステルが2つとなります。

ウ NaOH+CO2→NaHCO3
分子式を見たらまずは不飽和度をチェックしないとダメですね。(10×2+2-10)/2=で6です。エステル二つと芳香族のベンゼン環に使われているので,もう余りはありません。また,Oも余りがありません。
なのに実験1で銀鏡反応を示すので,エステル結合の一つはギ酸エステルだとわかります。けん化産物であるギ酸Naも二酸化炭素で遊離しないので,中和反応は残った水酸化ナトリウムと二酸化炭素の反応になります。

1.12m/22.4=1/20 mmol

の二酸化炭素で,水酸化ナトリウムの残量と等しいので上記のように一対一で反応します。


Bの分子式より不飽和度は5で芳香族確定です。
実験4において,Bは炭酸で遊離しないのでカルボン酸確定(もう不飽和はありません)で,残ったOがNaとついていないことからフェノール性ヒドロキシ基ではないことが分かります。またギ酸も出てくることから,もう一方のけん化産物がC一つのアルコールであることが分かります。
ギ酸とくっつくためにはというか,エステル産物でBのOが1つ余っているので,ヒドロキシ基になります(ケトに変わる可能性もありますが,不飽和度や炭素の数から否定できます)。
以上から,BはCOONaとアルコール性ヒドロキシ基をもつ芳香族で,実験5によって分子内脱水(炭素数が同じ)をしているのでオルト位についています。
todai_2016_chem_a3_1.png


【参考】ちゃんと実験2で計算しないとどうなるか(アルデヒドの罠に気づけないとこうなります)
不飽和度6です。芳香族らしいので,ベンゼン環で4,実験1の記述からアルデヒド(不飽和度1),実験2のけん化からエステル(不飽和度1)でちょうどです。
酸素の数に着目すると,この時点で1個余るので,エーテルかヒドロキシ基(フェノールに注意)です。
実験4において,Bは炭酸で遊離しないので,COONaです。また不飽和度のチェックより,不飽和度5であり,ベンゼン環の4とCOONaの1で終わりなので,残りのO一個はエーテルかアルコール性ヒドロキシ基です(フェノールならpH11でNaが付く)。
実験5で分子内脱水しているので,アルコール性ヒドロキシ基に確定です。COONaとCH2OHがベンゼン環についていて,脱水できる距離にあるので,解答通りになります。

一方,Bの相方はアルデヒドとヒドロキシ基が確定します。つまり,CH2(OH)CHOとなり,Aが解答とは異なるものになってしまいます。

オ (2),(4)

(1)○ 実験で使用したものは記載すべきです。使わないのはだめですが,使ってないのに使用したと書くのはだめです。
(2)× 起こったままのことを記述することが重要です。
(3)○ 実験としてはだめですが,レポートはそのままを書くべきです。もしかするとそこから新たな発見があるかもしれませんね。
(4)× 実験データを改ざんしないでください。記載した上で原因を考察すべきです。
(5)○ 参考文献を当たることは良いことです。実験で分かった性質を虚偽の記載にするとか改ざんするとNGです。


東京大学2016年前期化学解説に戻る

テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育